用語集 在留資格・ビザ関連

高度専門職1号こうどせんもんしょくいちごう

高度専門職1号とは?

高度専門職1号とは、日本の学術研究や経済発展に寄与することが見込まれる高度の専門的能力を持つ外国人を受け入れるために設けられた在留資格です。

学歴・職歴・年収・研究実績などの項目ごとに付与されるポイントの合計が70点以上に達した者に対して、他の就労系ビザよりも大幅に緩和された活動範囲と多彩な優遇措置が与えられます。

高度専門職1号は活動内容によって「イ(学術研究)」「ロ(専門・技術)」「ハ(経営・管理)」の3分類に分かれ、それぞれに対応するポイント表が用意されています。

在留期間は一律5年が付与され、配偶者の就労・親や家事使用人の帯同・入国在留手続の優先処理など、他の在留資格にはない優遇措置を受けられる点が大きな特徴です。

制度の背景・法的根拠

高度専門職は、2012年にポイント制として導入された後、2015年に独立した在留資格「高度専門職」として正式に新設されました。国際的な人材獲得競争の中で、日本の研究開発力・産業競争力を高めるために高度人材の呼び込みを図る政策的意図が背景にあります。

ポイント制では、学歴・職歴・年収などの客観的指標でスコア化することで、個別の裁量を排した透明な審査を実現しています。

1号ロ・ハについては最低年収300万円が申請の絶対条件であり、これを満たさない場合はポイント合計が70点を超えても申請自体ができません。また、2023年には別途「J-Skip」という高度人材向けの特別ルート(学歴・職歴・年収の単独基準による認定)も導入されています。

主な種類と要件

高度専門職1号は活動内容に応じて3分類に分かれており、それぞれ対応するポイント表と要件が定められています。

自身の業務内容がどの分類に該当するかを確認することが申請の第一歩となります。

① 1号イ:高度学術研究活動

対象となる活動大学・研究機関での研究・研究指導・教育活動
代表的な職種大学教授・准教授・研究員・研究指導者
主な取得要件ポイント合計70点以上。学歴・職歴・研究実績がポイント獲得の中心

大学や公的研究機関で研究・教育に従事する高度人材が対象です。

博士号・論文数・特許取得・国際的受賞歴などがポイント評価で重視され、ノーベル賞級の受賞歴があれば単独で高得点が付与されます。最低年収の下限は設定されていませんが、研究機関からの安定した雇用が前提となります。

② 1号ロ:高度専門・技術活動

対象となる活動自然科学・人文科学の知識や技術を活かした専門的業務
代表的な職種ITエンジニア・プログラマー・コンサルタント・専門職
主な取得要件ポイント合計70点以上。最低年収300万円が必須

民間企業で専門・技術業務に従事する高度人材が対象で、3分類の中で申請数が最も多い区分です。

ITエンジニア・データサイエンティスト・会計専門家・技術顧問などが典型例で、学歴・職歴・年収・年齢・日本語能力などをバランスよく加点していきます。

年収ポイントは年齢によって異なり、若年層ほど低い年収でも高得点が付く仕組みとなっています。

③ 1号ハ:高度経営・管理活動

対象となる活動事業の経営・管理活動
代表的な職種会社の代表取締役・役員・事業部長・経営管理職
主な取得要件ポイント合計70点以上。最低年収300万円が必須

企業の経営者・管理職として事業運営に従事する高度人材が対象です。

年収・経営実績・上場企業での経営経験・企業規模などが評価項目となり、1号イ・ロとは異なるポイント表が用意されています。事業投資家として日本法人を設立するケースや、グローバル企業の日本法人トップなどが該当します。

年収1,000万円以上で大きなポイントが付与される傾向にあります。

立場別の実務ポイント

高度専門職1号の取得と運用には、申請人本人・受入企業・家族帯同の観点からそれぞれ押さえるべきポイントがあります。ポイント制の特性を理解して戦略的に準備することで、優遇措置を最大限活用できます。

申請人本人

ボーナスポイントの活用

日本語能力試験N1・N2の取得、日本の大学卒業、成長分野での業務、特別加算対象大学(東大・京大等のトップ校や海外一流校)の卒業など、ボーナスポイントを積み上げることで70点到達の可能性が高まります。日本語学習や資格取得は申請前の計画的な準備が効果的です。

年収証明の準備

年収には賞与(ボーナス)も含まれるため、雇用契約書・給与規定・過去の源泉徴収票などで年間ベースの金額を明確に示します。1号ロ・ハでは最低年収300万円が絶対条件のため、年収300万円を超えるオファーでなければ申請自体が不可となります。

受入企業

高度専門職としての業務設計

業務内容が「高度専門・技術活動」または「高度経営・管理活動」に明確に該当することを示す必要があります。単純な事務作業や補助業務ではなく、専門知識を活用した裁量ある業務であることを業務内容書・職務分掌で立証することが重要です。

企業側の必要書類

登記事項証明書・決算書・会社案内・雇用契約書・給与証明などが必要です。上場企業・大企業の場合は審査がスムーズに進みやすい傾向にあり、中小企業でもIPO準備企業や成長分野では審査で有利に働く場合があります。

類似制度との比較

高度専門職1号は技人国などの一般就労ビザや高度専門職2号と大きく異なる優遇措置を持ちます。自身のキャリアに応じて最適な資格を選択することが重要です。

比較項目高度専門職1号高度専門職2号技術・人文知識・国際業務
在留期間一律5年無期限5年・3年・1年・3月
ポイント70点以上1号で3年以上活動実績ポイント制なし
配偶者就労可(要件緩和)可(要件緩和)資格外活動許可で週28時間
親・家事使用人の帯同条件付きで可条件付きで可原則不可
永住申請70点で3年、80点で1年永住申請不要原則10年

高度専門職1号はポイント制での認定5年の在留期間が特徴です。1号で3年以上活動すると高度専門職2号に移行でき、2号では無期限の在留が認められます。

一般就労ビザと比べて永住許可が大幅に早く取得できる(通常10年→70点で3年、80点で1年)点が最大のメリットです。

よくある質問

Q. ポイントが70点に届かない場合はどうすればよいですか?

A. 70点に達しない場合は高度専門職1号の申請はできず、技術・人文知識・国際業務などの他の就労ビザで申請することになります。将来的に年収上昇や日本語能力取得でポイントが加算されれば、更新時または変更申請で高度専門職への切り替えが可能です。

ポイントは申請時・更新時のいずれの時点で計算しても70点以上あれば要件を満たします。日本語能力試験の合格、研究実績の積み上げ、ボーナス大学のオンライン学位取得など、戦略的に加点することで後からでも高度専門職に到達できる可能性があります。

Q. 配偶者の就労優遇とはどのようなものですか?

A. 高度専門職1号保有者の配偶者は、本来の学歴・職歴要件を満たさなくても技人国相当の業務に従事可能となる特例があります。通常の家族滞在ビザでは週28時間までの制限がありますが、この優遇を使えばフルタイム就労が可能です。

対象となる業務は「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」等に該当するもので、年収・勤務時間の制限もありません。共働き家庭にとって経済的メリットが大きく、高度専門職を選択する大きな理由の一つとなっています。

Q. 親や家事使用人の帯同条件は何ですか?

A. 親の帯同は、高度専門職1号保有者またはその配偶者の7歳未満の子の養育または妊娠中の配偶者の介助が必要な場合に認められます。世帯年収800万円以上などの要件を満たす必要があります。

家事使用人の帯同は、本国から継続雇用している場合や、一定年収以上の経営層の場合など、条件を満たせば1人まで帯同可能です。これらは他の在留資格では認められない優遇措置であり、海外からの高度人材誘致の目玉となっています。

Q. J-Skipとはどのような制度ですか?

A. J-Skipは2023年から導入された特別高度人材制度で、ポイント制を経ずに単独の高学歴・高年収・高職歴の基準で高度専門職相当の認定を受けられる制度です。修士号+年収2,000万円、職歴10年+年収2,000万円などの基準があります。

J-Skipで認定されると、永住申請が1年で可能となり、その他の優遇措置も受けられます。超高度人材を迅速に呼び込むための特別ルートであり、ポイント計算の手間がない点が特徴です。年収要件が高いため該当者は限られますが、対象者にとっては最短ルートとなります。

参考資料

用語集
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