用語集 技能実習関連

技能実習移行対象職種ぎのうじっしゅういこうたいしょうしょくしゅ

技能実習移行対象職種とは?

技能実習移行対象職種とは、技能実習1号(入国〜1年目)から2号(2〜3年目)および3号(4〜5年目)への移行が認められる職種・作業のことです。

技能実習法および主務省令別表に定められ、各職種に公的な評価システム(技能検定または技能実習評価試験)が整備されているため、技能実習生の修得度を客観的に測定できる仕組みとなっています。

移行対象職種外の場合、技能実習1号(最長1年)のみの受入となり、実習生は1年で帰国しなければなりません。

2026年4月10日時点で92職種169作業が移行対象として指定されており、農業・漁業・建設・食品製造・繊維衣服・機械金属など幅広い産業分野をカバーしています。

2027年4月1日施行予定の育成就労制度により技能実習制度は段階的に廃止され、移行対象職種の概念も育成就労制度の対象分野に継承される見通しです。

具体的な意味・内容

移行対象職種は単なる職種リストではなく、技能実習制度の中核を支える制度的骨格です。

対象職種として指定されるには厳格な審査プロセスがあり、業界団体・業所管省庁・学識経験者・労使代表の合意が必要です。

① 分野別の職種・作業数(2026年4月時点)

農業関係3職種7作業(耕種農業、畜産農業等)
漁業関係2職種10作業(漁船漁業、養殖業)
建築関係22職種33作業(とび、大工、左官、型枠施工、鉄筋施工、塗装、配管、建築板金、内装仕上げ施工等)
食品製造関係11職種19作業(缶詰巻締、食鳥処理加工、加熱性水産加工食品製造、惣菜製造業等)
繊維・衣服関係14職種23作業(紡績運転、織布運転、染色、ニット製品製造、婦人子供服製造等)
機械・金属関係17職種34作業(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、電気機器組立て等)
その他21職種39作業(家具製作、印刷、製本、プラスチック成形、強化プラスチック成形、塗装、溶接、介護等)
告示で定める職種・作業2職種4作業
合計92職種169作業(2026年4月10日時点)

移行対象職種は段階的に拡大されており、2023年3月時点で80職種144作業、令和6年9月30日時点で91職種167作業と増加を続けています。

介護職種は2017年に追加された比較的新しい対象で、その他に空港グランドハンドリング、宿泊(2025年追加)など業界動向を反映した追加が行われています。

② 移行対象職種の意義

技能実習期間の延長1号の1年から2号(2〜3年目)・3号(4〜5年目)へ移行可能で、最長5年の在留が認められる
公的評価システム各職種に技能検定(基礎級・随時3級・随時2級)または技能実習評価試験(初級・専門級・上級)が整備
特定技能への接続2号を良好に修了すれば、業務関連性のある特定技能分野への移行時に技能試験・日本語試験が免除
技能の客観的証明国家資格水準の技能認定を取得可能。本国帰国後のキャリア形成にも活用

移行対象職種に指定されていることは、単に実習期間が延びるだけでなく、外国人技能実習生にとって「国家的な技能認証を受けられる」「特定技能への移行ルートが開ける」「長期雇用で安定した収入を得られる」という重要な意味を持ちます。

実習実施者側でも、人材の長期定着による生産性向上が期待できます。

③ 非移行対象職種の場合

在留期間技能実習1号のみで最長1年
2号・3号への移行不可(公的評価システムが整備されていないため)
追加的な義務写真付き工程表(フローチャート)の提出、実習内容の詳細立証が必要
特定技能への移行技能実習2号を修了していないため免除ルートは使えず、通常の試験受験が必要
実習修了後原則として本国へ帰国

非移行対象職種は1年のみの短期実習となるため、受入企業側・実習生側双方にメリットが限定的です。

業界として技能実習制度を長期活用したい場合は、移行対象職種への追加指定を業所管省庁・OTITに申請する必要があります。

関連する法律・制度と追加プロセス

移行対象職種の指定・追加は「技能実習制度における移行対象職種・作業の追加等に係る事務取扱要領」(厚生労働省人材開発統括官)に詳細手順が定められており、業界団体が主導する形で進められます。

業界団体の主導

職種追加を希望する業界団体が業界内の合意形成を行います。海外からの実習需要の把握、試験制度の設計、業界統計の整備などを進め、追加の必要性を客観データで示します。

業所管省庁との協議

業界を所管する省庁(介護は厚生労働省、建設は国土交通省、農業は農林水産省等)と協議し、業所管庁の同意を得ます。省庁間の調整もこの段階で行われます。

OTITへの申請

外国人技能実習機構(OTIT)に対して正式に職種追加の申請を行います。実習計画の認定基準案、試験実施体制、評価基準等を含む詳細な申請書類が必要です。

専門家会議の審議

学識経験者と労使代表からなる専門家会議が申請内容を審議します。技能移転の意義、実習生の保護、労働市場への影響などが総合的に評価されます。

省令別表への掲載

審議で了承されると、省令別表が改正されて官報に掲載され、正式に移行対象職種として追加されます。この手続きを経ずに追加されることはありません。

実務上の注意点

移行対象職種の選択・管理は技能実習受入の成否を左右する重要な実務です。2027年4月の制度廃止を見据えた情報更新と、業務区分の対応確認が特に重要となります。

最新の職種一覧の確認

移行対象職種は継続的に追加されるため、OTIT・厚生労働省の公式ページで最新版を必ず確認します。2025年〜2026年にかけても追加が行われており、情報は月次程度で確認することが推奨されます。

職種と作業の組み合わせ

移行対象は「職種+作業」の組み合わせで指定されます。同じ職種でも作業によっては対象外の場合があるため、自社で実施する実習内容と指定作業との厳密な一致確認が必要です。

特定技能業務区分との対応

技能実習2号修了者が特定技能1号に移行する際、業務関連性の判断に対応表が使われます。厚生労働省公表の「技能実習2号移行対象職種と特定技能1号における分野(業務区分)との関係」を参照し、候補者のキャリアパスを設計します。

非移行対象職種の場合の判断

自社の業務が非移行対象の場合、1年のみの受入となるため採用コスト対効果が低くなりがちです。特定技能制度の利用や、業界団体を通じた移行対象への追加申請を検討することが経営判断として重要です。

2027年4月以降の取扱い

技能実習制度廃止後、育成就労制度の対象分野として継承される見込みですが、業務区分の再編成や新制度独自の対象職種追加が行われる可能性があります。2026年9月1日から育成就労計画の施行日前申請受付が開始される予定で、制度移行期の情報更新が重要です。

関連用語との違い

移行対象職種と類似する概念として、特定産業分野・特定技能業務区分・育成就労対象分野などがあります。

それぞれの制度での「対象となる仕事の範囲」を示す概念ですが、制度・目的が異なります。

概念制度特徴
技能実習移行対象職種技能実習(〜2027年3月)1号→2号・3号移行可能な92職種169作業
特定産業分野特定技能16分野(2026年以降19分野)
特定技能業務区分特定技能分野内の具体的業務区分(例:建設3区分、工業製品製造業17区分)
育成就労対象分野(2027年4月〜)育成就労17分野(技能実習の移行対象職種を再編)
非移行対象職種技能実習(〜2027年3月)1号のみ可能、1年で帰国

「職種・作業」という単位で技能実習制度が設計されているのに対し、特定技能・育成就労では「分野・業務区分」という単位で設計されている点が構造的な違いです。

技能実習2号修了者が特定技能1号に移行する際、職種・作業と業務区分の対応表で業務関連性が判定される仕組みになっており、両制度の接続を円滑にする橋渡し機能を果たしています。

よくある質問

Q. 移行対象職種の最新一覧はどこで確認できますか?

A. 外国人技能実習機構(OTIT)の公式サイト「移行対象職種情報」ページで、最新の職種・作業一覧が公開されています。

厚生労働省の「技能実習制度 移行対象職種・作業一覧」(PDF)も公式情報として参照可能です。

一覧は継続的に更新されるため、採用計画を立てる前に必ず最新版で確認してください。

Q. 自社の業務が移行対象職種に含まれているかどう確認しますか?

A. OTITの移行対象職種情報ページで、自社の業務が「職種+作業」の組み合わせで一致するかを確認します。

例えば建設業でも「とび」「大工」「左官」など作業により区分が分かれるため、実習で予定する具体的業務と指定作業との一致が必要です。

判断が難しい場合は監理団体や業所管省庁に事前相談することが推奨されます。

Q. 非移行対象職種でも技能実習生を受け入れられますか?

A. 技能実習1号のみ(最長1年)であれば受入可能です。

ただし、2号・3号への移行ができないため1年で帰国となること、写真付き工程表(フローチャート)の提出が必要なこと、特定技能移行時の試験免除ルートが使えないことなど、運用上の制約が大きくなります。

業界全体として長期受入を希望する場合は、移行対象職種への追加申請を業界団体主導で進めることが実践的な選択肢です。

Q. 新しい職種を移行対象に追加するにはどうすればよいですか?

A. 業界団体が主導して、①業界内の合意形成、②業所管省庁との調整・同意取得、③OTITへの申請、④厚生労働省の専門家会議での審議、⑤省令別表の改正・官報掲載、というプロセスを経て追加されます。

追加には数年を要するのが通例で、試験制度の設計、実習計画モデル例の作成、評価基準の整備など包括的な準備が必要です。

厚生労働省人材開発統括官付が問い合わせ窓口となっています。

Q. 2027年の技能実習制度廃止後、移行対象職種はどうなりますか?

A. 技能実習制度は2027年4月1日施行の育成就労制度に段階的に廃止され、移行対象職種の概念も育成就労制度の対象分野・業務区分に継承される見込みです。

ただし、育成就労制度では「分野」という単位で対象を設計する見通しで、現在の「職種+作業」の細かな区分から再編される可能性があります。

2026年中に政府から詳細な制度設計が公表される予定で、経過措置と新制度の関係を継続的に確認することが重要です。

参考資料

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