用語集 在留資格・ビザ関連

技術・人文知識・国際業務ビザぎじゅつ・じんぶんちしき・こくさいぎょうむびざ

技術・人文知識・国際業務ビザとは?

技術・人文知識・国際業務ビザ(正式名称:在留資格「技術・人文知識・国際業務」)とは、日本国内の公私の機関との契約に基づき、自然科学・人文科学の分野における専門的な技術や知識を要する業務、あるいは外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務に従事する外国人が取得する在留資格です。

いわゆる「就労ビザ」の中で最も利用者が多い在留資格のひとつであり、ITエンジニア・通訳・デザイナー・経理・人事など、幅広い職種をカバーしています。

この在留資格は「技術」「人文知識」「国際業務」という3つの業務区分をひとつに統合したもので、2015年(平成27年)の法改正以前は「技術」と「人文知識・国際業務」として別々に規定されていました。

現在は一体化されていますが、実務では依然として「どの区分に当たるか」が審査の焦点となります。

制度の背景

平成28年(2016年)の入管法改正により、従来の「技術」と「人文知識・国際業務」の2つの在留資格が「技術・人文知識・国際業務」として一本化されました。これにより、ITエンジニアが通訳業務を兼任するといった複合的な業務にも一つの在留資格で対応できるようになりました。

在留外国人統計(令和5年末)によると、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を保有する外国人は362,346人(全在留外国人の10.6%)に達しており、日本で就労する外国人の中でも主要な在留資格となっています。

主な業務区分と取得要件

「技術・人文知識・国際業務」は、従事する業務の性質によって大きく3つの区分に分かれます。それぞれ対象となる職種と取得要件が異なるため、採用・申請の前に区分を正確に把握しておくことが重要です。

① 技術(自然科学系)

対象となる職種ITエンジニア・システムエンジニア・機械設計・電気・化学研究・建築設計など
在留期間5年・3年・1年・3ヶ月
主な取得要件理工系の大学・大学院を卒業、または自然科学分野で10年以上の実務経験

理学・工学・農学などの自然科学分野の専門知識を活かした業務が対象です。日本で最も需要の高い区分のひとつで、IT人材の採用に際して活用されるケースが多くなっています。

従事する職務と専攻・職歴の関連性が審査で重視されるため、業務内容の説明を具体的に記載することが重要です。

② 人文知識(人文科学系)

対象となる職種経理・財務・法務・人事・営業企画・マーケティング・経営管理など
在留期間5年・3年・1年・3ヶ月
主な取得要件人文系の大学・大学院を卒業、または人文科学分野で10年以上の実務経験

法律・経済・社会学などの人文科学分野の知識を要するホワイトカラー業務が対象です。経理・人事・法務といった管理部門職や、営業企画・マーケティングなどのビジネス職が典型例です。

単なる受付・接客や単純な事務補助は対象外となるため、職務内容の専門性を明確にすることが求められます。

③ 国際業務(外国文化系)

対象となる職種通訳・翻訳・語学講師・デザイナー・ファッション・商品開発・広報など
在留期間5年・3年・1年・3ヶ月
主な取得要件大学卒業以上、または国際業務分野で3年以上の実務経験(翻訳・通訳・語学指導は除く)

外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務が対象で、他の2区分と異なり「外国文化への素養」が評価の軸となります。実務経験の要件が「3年以上」と短めに設定されている点が特徴ですが、翻訳・通訳・語学指導については実務経験による代替が認められていません。

立場別の実務ポイント

受入企業(雇用主)の注意点

  • 業務内容と学歴・職歴の関連性を確認する
    採用前に、外国人が担当する職務と本人の専攻・実務経験の関連性を必ず確認してください。無関係な職種への配置は不許可の主な原因となります。例えば、文学部卒業者を営業事務に充てる場合でも、業務に専門知識が必要であることを具体的に説明できなければ許可が得られないことがあります。
  • 報酬は日本人と同等以上に設定する
    在留資格の許可基準として、同等業務に従事する日本人と同等以上の報酬が求められます。新卒採用の場合は同期の日本人と同等の初任給を設定することが原則で、月額13万円台など低すぎる報酬設定は不許可事例として出入国在留管理庁の資料にも記載されています。
  • 単純労働・軽作業への従事は禁止
    この在留資格では、専門知識や技術を要しない単純労働・繰り返し作業への従事は認められていません。工場でのライン作業や倉庫でのピッキング作業などは対象外です。兼務で補助的業務を行う場合も、主たる業務が専門職であることが必要です。
  • 在留カード(表裏)の確認を徹底する
    雇用時に在留カードの表裏を確認し、在留資格・在留期限・就労制限の有無を確認することが法令上の義務です。確認を怠ると、不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
  • 在留期限前に更新手続きを進める
    在留期限の3ヶ月前から更新申請が可能です。業務内容に変更がある場合は、変更許可申請も必要になるため、早めに確認・準備することが重要です。

外国人本人の注意点

  • 転職・業務内容変更時は在留資格変更が必要な場合がある
    転職先の業務内容が現在の在留資格の範囲外となる場合は、在留資格変更許可申請が必要です。申請せずに従事すると資格外活動となり、在留資格の取り消しや帰国命令の対象となります。
  • 就労制限の範囲を確認する
    「技術・人文知識・国際業務」では許可された業務のみ従事できます。副業・兼業を行う場合も、別途「資格外活動許可」が必要になるケースがあります。

類似の在留資格との比較

「技術・人文知識・国際業務」は就労系在留資格のなかでも間口が広い一方、「特定技能」や「高度専門職」といった資格との違いを理解しておくことで、外国人材採用の選択肢を正確に把握できます。

比較項目技術・人文知識・国際業務特定技能1号高度専門職1号
対象業務自然科学・人文科学・外国文化に基づく専門業務特定12産業分野の現場業務高度な専門職(研究・技術・経営等)
学歴・試験要件大学卒以上または一定年数の実務経験技能評価試験+日本語試験(N4相当)学歴・職歴・年収をポイント制で評価
在留期間5年・3年・1年・3ヶ月1年・6ヶ月・4ヶ月(通算5年)5年(1号)・無期限(2号)
家族帯同可能原則不可(1号)可能
対象職種の幅広い(ホワイトカラー全般)特定12分野の現場業務に限定高度専門職に限定

特定技能は現場系の産業分野(製造業・建設・農業・飲食料品製造など)の人材確保を目的とした制度であるのに対し、技術・人文知識・国際業務はホワイトカラー職・専門職全般に対応しています。

高度専門職はポイント制による高度人材の優遇制度で、永住許可の要件緩和などのメリットがある代わりに、年収・学歴・研究実績などの高いハードルがあります。

よくある質問

Q. 専門学校卒業の外国人は「技術・人文知識・国際業務」を取得できますか?

A. 日本国内の専門学校(専修学校専門課程)を卒業した場合は、「専門士」の称号が付与され、専攻と業務内容に関連性があれば取得が認められるケースがあります。

ただし、海外の専門学校卒業者は原則として学歴要件を満たさないと判断されることが多く、その場合は10年以上(国際業務は3年以上)の実務経験で代替する必要があります。

専門士資格の有無や業務との関連性は個別に審査されるため、事前に出入国在留管理庁に相談することをおすすめします。

Q. 転職した場合、在留資格の手続きは必要ですか?

A. 転職先の業務内容が現在の在留資格「技術・人文知識・国際業務」の範囲内であれば、在留資格の変更手続きは不要です。ただし、転職後14日以内に「契約機関に関する届出」を出入国在留管理庁に提出することが義務付けられています。

転職先の業務が在留資格の範囲外(例:単純労働・飲食店のホール業務など)となる場合は、別の在留資格への変更許可申請が必要となります。無届・無資格での就労は在留資格取り消しの対象となるため、注意が必要です。

Q. 在留期間の更新は何回でもできますか?

A. 在留期間の更新回数に上限はなく、要件を満たせば繰り返し更新が可能です。

更新申請は在留期限の3ヶ月前から受け付けており、申請中は期限を過ぎても在留が認められます(特例期間)。ただし、毎回の審査で業務内容・報酬・雇用先の経営状況などが改めて確認されるため、必ず許可されるわけではありません。

継続的に日本に在留し、一定の条件を満たせば永住許可や帰化申請への道も開かれています。

Q. 留学生が卒業後にこの在留資格へ変更することはできますか?

A. 日本の大学・専門学校を卒業した留学生が就職する場合、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更申請を行う必要があります。

出入国在留管理庁では「留学生の在留資格変更許可のガイドライン」を公表しており、大学での専攻と従事する職務の関連性・日本語能力・採用企業の安定性などが審査されます。

卒業後に就職活動を継続する場合は、「特定活動(就職活動)」への変更で最大1年間の就職活動期間を得ることもできます。

参考資料

[1] 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
[2] 出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」
[3] 出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について(令和6年12月最終改定)」(PDF)
[4] 出入国在留管理庁「令和6年末現在における在留外国人数について」
[5] 法務省「留学生の在留資格『技術・人文知識・国際業務』への変更許可のガイドライン」

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