仮放免申請とは?
仮放免申請とは、出入国在留管理庁の入国者収容所や地方出入国在留管理官署の収容場に収容されている外国人について、健康上・人道上その他これらに準ずる理由により一時的に収容を解除するよう求める申請手続きです。
申請が許可されると保証金の納付と遵守事項の受諾を条件に、指定された期間・住居の範囲で収容施設の外で生活することが認められます。
収容の根本的な解除ではなく、あくまで「一時的な収容の解除」にとどまるため、仮放免中も退去強制手続は継続しており、在留資格が与えられるわけではありません。
2024年6月10日施行の改正入管法で「監理措置制度」が創設されて以降、仮放免は本来の制度趣旨である健康上・人道上の理由による救済措置に重点化され、収容回避のための制度としては監理措置が中心的な位置づけとなりました。
必要になる場面
仮放免申請は、収容令書または退去強制令書により収容されている外国人について、収容の継続が本人の健康・人権等の観点から適当でないと考えられる場合に提出されます。
近年は傷病・高齢・育児・介護など、個別の事情による申請が中心となっています。
- 健康上の理由による収容継続の困難
被収容者が重篤な疾病を患っている、継続的な通院や専門医療が必要な場合です。収容施設内での医療では対応しきれない場合に、仮放免による外部医療機関での治療継続が認められやすくなります。 - 人道上の配慮が必要な場合
日本人・永住者の配偶者や扶養すべき未成年の子がいる、収容により家族が著しい不利益を被るなど、家族関係の保護が求められるケースです。在留特別許可を争っている期間の一時解除としても使われます。 - 長期収容による心身への影響
収容期間が長期化し、精神状態の悪化や自殺企図などが懸念される場合に、人道的観点から仮放免が検討されます。収容の上限期間の定めがないため、長期収容者からの申請は少なくありません。 - 難民認定申請中で送還停止効が継続する場合
難民認定申請者のうち送還停止効が及ぶ間は退去強制が執行されないため、収容の継続より社会内での生活を認めるのが相当と判断されるケースがあります。
申請・取得の手順
仮放免申請は被収容者本人、代理人、保佐人、配偶者、直系親族、兄弟姉妹が行うことができます。
申請先は、被収容者が入国者収容所に収容されている場合は当該収容所長、地方出入国在留管理官署の収容場に収容されている場合は当該官署の主任審査官となります。
審査には通常2週間〜2ヶ月程度を要します。
- 身元保証人を確保する。日本に居住する家族・親族・友人・知人など1名が必要です。法令上の資格制限はありませんが、年齢・職業・収入・資産・素行・被収容者との関係・引受け熱意などが審査対象となり、監督能力が問われます。弁護士・行政書士が引受けるケースも一般的です。
- 必要書類を準備する。仮放免許可申請書、身元保証書(本人用・身元保証人用の2通の誓約書を含む)、仮放免を申請する理由を疎明する資料(診断書・家族関係を示す戸籍謄本等)、身元保証人の資産・収入を示す書類(源泉徴収票、納税証明書、預貯金通帳写しなど)を揃えます。
- 収容先の入国者収容所長または主任審査官あてに申請書類を提出します。郵送・窓口のいずれでも可能で、代理人による提出にも対応しています。
- 審査を受けます。逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれ、遵守事項違反のおそれ、日本国の利益・公安への影響などが総合的に判断されます。必要に応じて身元保証人への面接・聴取が行われることもあります。
- 許可された場合は指定された保証金を納付し、身元保証人とともに遵守事項を確認した上で仮放免されます。保証金は法律上300万円以下の範囲で決定されますが、実務上は5万円〜数十万円が相場です。許可後は一定期間ごとに更新申請(期間延長申請)が必要となります。
注意点・よくある失敗
仮放免は「収容の一時解除」にすぎず、在留資格が付与されるわけではないため、就労や自由な移動には厳しい制限が課されます。
遵守事項違反があれば許可が取消され、保証金が没収されて再収容されるリスクがあるため、仮放免中の生活には細心の注意が必要です。
- 就労は原則禁止
仮放免中の就労は原則として認められません。収入を得る活動を行えば遵守事項違反となり、仮放免許可の取消事由となります。生活費は身元保証人の援助や親族からの送金に頼るほか、NPOや支援団体の援助を受けるケースが一般的です。 - 居住地・行動範囲の制限
仮放免時に居住地が指定され、原則として住居地の属する都道府県の区域を越えて移動することはできません。他県への移動には事前に「一時旅行許可」の申請と許可が必要となります。 - 出頭義務と定期報告
指定された日に入管へ出頭する義務があり、通常1〜3ヶ月ごとに出頭して仮放免の期間延長申請を行います。出頭を怠ると仮放免取消・再収容の対象となります。 - 保証金の没収リスク
遵守事項違反や逃亡があった場合、納付した保証金は没収されます。また、身元保証人にも監督責任を果たさなかったとして責任が問われる可能性があります。 - 健康保険・各種社会保障の対象外
仮放免者は住民登録ができず、国民健康保険にも原則加入できないため、医療費は全額自己負担となります。医療を受けづらいことが長期化するケースが多く、生活上の大きな負担となります。
類似制度との違い
退去強制手続中の外国人を収容しない形で扱う制度には、仮放免のほかに2024年6月施行の「監理措置」があります。両者は目的・要件・就労可否などで大きく異なるため、個別事案ごとに適切な選択が求められます。
| 項目 | 仮放免 | 監理措置 |
|---|---|---|
| 制度の位置づけ | 収容後に収容を一時解除する | 収容に代わる社会内処遇 |
| 根拠 | 入管法第54条 | 令和5年改正入管法(2024年6月施行) |
| 主な理由 | 健康上・人道上の理由 | 逃亡・証拠隠滅のおそれが低い場合 |
| 身元保証人・監理人 | 身元保証人1名 | 監理人1名(監督責任あり) |
| 保証金 | 300万円以下(実務上5万円〜数十万円) | 300万円以下(事案により無償の場合も) |
| 就労 | 原則不可 | 報酬活動許可を得れば可能 |
| 社会保障 | 住民登録不可・原則保険加入不可 | 同左(ただし許可後の取扱いは事案による) |
2024年の改正以降、新規に退去強制手続に入る外国人については監理措置が主要な収容回避手段となり、仮放免は「既に収容された被収容者の健康上・人道上の救済」に役割が整理されています。
ただし、監理人の確保が困難な場合や健康悪化時には仮放免が選択されるため、両制度の使い分けは個別事情に応じて判断されます。
よくある質問
Q. 仮放免が認められるのはどのような場合ですか?
A. 健康上の理由(重篤な疾病、通院の必要性)、人道上の理由(家族の扶養、未成年の子の世話)、長期収容による心身への影響などが認められる場合に仮放免が許可されやすくなります。
個別事案ごとに、逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれ、日本国の利益や公安への影響などが総合的に判断されるため、一律の基準はありません。収容が長期化している場合や在留特別許可を争っている場合も考慮されます。
Q. 仮放免中に働くことはできますか?
A. 仮放免は在留資格ではないため、原則として就労は認められません。
収入を得る活動を行うと遵守事項違反として仮放免許可が取消される可能性があります。生活費は身元保証人からの援助、親族の仕送り、NPO・支援団体からの支援で賄うのが一般的です。
2024年6月施行の改正入管法で創設された「報酬活動許可」は監理措置の場合に取得できるものであり、仮放免者が直接取得できる制度ではありません。
Q. 保証金はいくら必要ですか?返還されますか?
A. 法律上は300万円以下の範囲で決定され、実務上は5万円〜数十万円が相場で、事案の性質・身元保証人の資力・逃亡のおそれなどを考慮して個別に決定されます。
保証金は仮放免の取消しや遵守事項違反がなければ返還されますが、違反があった場合は全額または一部が没収されます。保証金の納付は本人・親族・身元保証人のいずれでも可能です。
Q. 身元保証人になれる人に制限はありますか?
A. 法令上、身元保証人となれる人の資格に制限はありません。
日本に居住する家族・親族・友人・知人・弁護士・行政書士などが身元保証人となることができます。ただし、審査では年齢・職業・収入・資産・素行・被収容者との関係・引受け熱意が判断されるため、一定の経済的基盤があり、被収容者の生活を実質的に支えられる人が望ましいとされています。
未成年者や無収入の学生は原則として適切ではありません。
Q. 仮放免の期間はどのくらいですか?延長はできますか?
A. 仮放免は期間が指定されて許可され、通常1〜3ヶ月程度ごとに入管への出頭と期間延長申請が必要となります。
延長申請時に新たな事情や遵守状況が審査され、問題がなければ継続が認められます。逆に遵守事項違反や逃亡のおそれが認められれば延長が不許可となり、再収容される可能性があります。
退去強制手続が完全に終結するまで、または在留特別許可が認められるまで、この延長手続きを繰り返すことになります。