用語集 在留手続き・入管関連

就労可否確認しゅうろうかひかくにん

就労可否確認とは?

就労可否確認とは、外国人を採用・雇用する際に、その外国人が日本で合法的に就労できるかどうかを事前に確認する手続きの総称です。在留資格・在留期間・就労制限の有無・資格外活動許可の有無などを在留カードやその他の公的書類で確認し、違法な雇用を未然に防ぐための重要なプロセスとなります。

適切な就労可否確認を怠ると、雇用主は不法就労助長罪(2024年改正で5年以下の懲役または500万円以下の罰金)の対象となります。知らなかったとしても「過失」があれば処罰を免れないため、企業にとって外国人採用時の重要コンプライアンス事項です。

在留カードの原本確認、失効情報照会、ICチップ読取アプリの活用など、複数の手段を組み合わせることが推奨されます。

具体的な意味・内容

就労可否確認の対象となる情報は多岐にわたります。雇用主は在留カードの各項目を体系的に確認し、業務内容との適合性まで判断する必要があります。

在留カードの確認項目

在留カード表面では氏名・顔写真在留資格在留期間満了日就労制限の有無を確認します。裏面では資格外活動許可の有無と条件を確認します。特に「就労制限の有無」欄の記載内容によって対応方法が変わるため、この欄の読み取りが最重要のポイントです。

就労制限の有無欄の表示パターン

就労制限なし」なら日本人と同じように雇用可能、「在留資格に基づく就労活動のみ可」なら業務内容の適合性確認が必須、「指定書により指定された就労活動のみ可」なら指定書の確認が必要、「就労不可」なら裏面の資格外活動許可欄を確認します。

偽造・変造の有無

近年は精巧な偽造在留カードが出回っており、目視だけでは見抜けないケースもあります。出入国在留管理庁が提供する在留カード等読取アプリでICチップを読み取り、表示内容とカード表記が一致するかを確認することが推奨されます。偽造カードでの就労は即座に退去強制対象となります。

関連する法律・確認手段

就労可否確認の方法は複数あり、目的と精度に応じて使い分けます。複数の手段を組み合わせることで、確認の信頼性が飛躍的に高まります。

在留カードの原本確認最も基本的な確認手段。写真・氏名・在留期間・就労制限・資格外活動許可を目視で確認
在留カード等番号失効情報照会出入国在留管理庁のオンラインサービスでカード番号の失効有無を即時確認。24時間利用可(深夜メンテあり)
在留カード等読取アプリスマートフォンアプリでICチップを読み取り、偽造の有無を確認。目視では見抜けない偽造も判別可能
就労資格証明書入管発行の公的書類で、転職後の業務適合性を証明。最も確実な就労可否の立証手段
在留資格オンラインシステム自社で在留管理する大企業向け。従業員の在留情報を一括管理

法的根拠は入管法第73条の2(不法就労助長罪)で、2024年6月の改正で罰則が5年以下の懲役または500万円以下の罰金に引き上げられ、法人にも両罰規定が適用されます。

「知らなかった」という弁明は過失認定を免れる事由にならず、確認を怠った責任が厳しく問われる仕組みです。

実務上の注意点

就労可否確認を適切に行うための実務ポイントを整理します。採用時だけでなく、在留期間中の継続的な管理も重要です。

採用時の確認フロー

採用面接・内定前のタイミングで在留カードの原本を確認し、写真・氏名・在留資格・在留期間・就労制限を1項目ずつチェックします。コピーやスキャンだけでは不十分で、必ず原本を手に取って確認することが過失否定の要件となります。コピーを採用記録に保管することも重要です。

業務内容の適合性判断

在留資格と採用予定の業務内容のマッチングを判断します。技人国なら大卒水準の業務、技能なら熟練技能の独占業務など、資格ごとの業務範囲を理解しておく必要があります。判断に迷う場合は就労資格証明書の取得申請を検討し、入管のお墨付きを得る対応が確実です。

資格外活動許可の条件確認

留学・家族滞在などのビザでアルバイトを雇う場合は、資格外活動許可の記載内容を詳細に確認します。一般的には週28時間以内風俗営業関連禁止の条件があり、これを超えると雇用主も違反責任を負います。複数のバイト先で合計28時間を超えないよう管理することも重要です。

在留期限の継続管理

採用時だけでなく雇用中の在留期間管理も不可欠です。期限切れに気づかず就労を続けさせると、雇用主はオーバーステイ者を雇用したことになり、不法就労助長罪の対象となります。在留期限の2〜3ヶ月前にリマインドを行い、更新申請の進捗を確認するシステムが必要です。

関連用語との違い

就労可否確認は、他のビザ関連手続きと関連しながらも独自の位置づけを持つ概念です。類似する手続き・書類と比較して整理します。

比較項目就労可否確認就労資格証明書在留カード
性質雇用主が行う確認プロセス入管発行の公的書類在留資格を示す身分証
目的採用時の合法性判断業務適合性の公的証明中長期在留の身分証明
手続き在留カード確認・アプリ利用等入管への申請上陸時に自動交付
発行主体企業自身の社内管理出入国在留管理庁出入国在留管理庁
必要性雇用時の必須プロセス任意の取得中長期在留者は保有義務

就労可否確認は雇用主が実施するプロセス、就労資格証明書は入管が発行する公的書類、在留カードは外国人本人が保有する身分証明書という役割分担です。

就労可否確認の中で、在留カードの確認と就労資格証明書の活用が具体的な手段として位置づけられます。

よくある質問

Q. 就労可否確認はどのタイミングで行うべきですか?

A. 原則として採用面接・内定前のタイミングで行います。内定後に就労不可が判明すると採用取消しとなり、企業・候補者双方に大きな負担が生じるため、面接時に在留カードを持参してもらい確認することが推奨されます。

採用後も入社日までに再確認し、入社後は定期的に在留期限をモニタリングする体制を構築します。特に転職者の場合は、前職での資格と新しい業務の適合性を改めて確認する必要があります。

Q. 在留カード等読取アプリはどのように使いますか?

A. 出入国在留管理庁が提供する公式アプリ「在留カード等読取アプリケーション」をスマートフォンにインストールし、在留カードをNFC機能でかざすことでICチップ内の情報を読み取れます。カードの表面情報と一致するかを確認することで偽造カードを判別できます。

アプリ利用の記録を残しておくことで、採用時の注意義務を果たしたことの証拠となり、無過失立証の重要な材料になります。採用プロセスの一部として、アプリ利用を標準化している企業が増えています。

Q. 雇用主はどこまで責任を負いますか?

A. 雇用主は外国人雇用に関して注意義務を負います。通常求められるレベルの確認を行わずに不法就労者を雇用した場合、知らなかったとしても不法就労助長罪に問われる可能性があります。

罰則は5年以下の懲役または500万円以下の罰金(2024年改正以降)と重いものです。

また両罰規定により、違反行為をした従業員だけでなく法人自体にも罰金刑が科される場合があります。派遣会社経由で雇う場合でも、派遣先の企業が直接確認を行うことが求められ、派遣会社に任せきりでは責任を免れません。

Q. 在留カードの確認記録はどの程度残すべきですか?

A. 採用時の確認記録として、在留カードの表裏のコピー、確認実施日、確認者の署名、失効情報照会の結果、読取アプリの確認結果などを保管します。これらは「注意義務を果たした」ことの証拠として機能します。

記録保管期間は法定では明確に定められていませんが、外国人雇用状況届出の保管義務(3年)に準じて最低3年、可能であれば雇用期間中は継続的に保管することが推奨されます。個人情報保護規程との兼ね合いも考慮して運用することが重要です。

参考資料

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