用語集 在留手続き・入管関連

入管法にゅうかんほう

入管法とは?

入管法とは、日本に入国・出国するすべての人の出入国管理と、日本に在留するすべての外国人の在留管理、および難民認定手続の整備を目的とした日本の基本法です。

1951年(昭和26年)にポツダム命令として公布され、政令第319号として現在まで継承されています。所管は法務省(出入国在留管理庁)で、外国人の在留資格・期間・上陸・退去強制・難民認定の全般を規定しています。

在留資格の種類や要件、上陸許可の基準、退去強制事由、不法就労助長罪などの罰則は、すべてこの入管法に根拠があります。外国人を雇用する企業や外国人本人にとっては日常業務や生活に直結する法律であり、ほぼ毎年のように改正が行われて運用が変化するため、最新動向を把握しておくことが不可欠です。

制度の背景

入管法は戦後の占領期、1951年10月4日にポツダム命令として公布され、1952年4月28日のサンフランシスコ平和条約発効と同時に法律として効力を持つようになりました。

当初は「出入国管理令」でしたが、1981年の難民条約加入に合わせて「出入国管理及び難民認定法」に改称され、難民認定手続が法律の柱に加わりました。

法律の目的は第1条で「本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国及び本邦に在留するすべての外国人の在留の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする」と明文化されています。

所管官庁の出入国在留管理庁は2019年4月、従前の入国管理局を格上げする形で法務省の外局として発足し、体制と権限が強化されました。2025年末時点で約412万5,000人(出入国在留管理庁発表)。前年末から約35万人増加し、初めて400万人を超えました。

主な規定内容

① 上陸・出国の管理

主な規定上陸審査(第7条)、上陸拒否事由(第5条)、査証・在留資格認定証明書(第7条の2)、特例上陸許可(第16条〜18条)
対象日本に上陸しようとするすべての外国人、出国するすべての人
主なポイント上陸許可の基準として、有効な旅券・査証、活動が虚偽でないこと、在留資格該当性、上陸拒否事由に該当しないことが要求される

外国人が日本に上陸する際は、入国審査官による上陸審査を受けます。過去の退去強制歴、一定期間内の刑罰歴、感染症保有者、テロリスト該当などは上陸拒否事由となり、原則として上陸できません。

特例上陸は乗員・船舶観光客・一時庇護などの限定的な場合に認められます。

② 在留資格と在留期間

主な規定在留資格の種類(別表第一・第二)、在留期間更新(第21条)、在留資格変更(第20条)、永住許可(第22条)、在留資格取消(第22条の4)
対象日本に在留するすべての外国人
主なポイント別表第一は活動類型(就労・留学など)、別表第二は身分類型(永住者・日本人の配偶者等)。それぞれに在留期間の上限が定められる

現行の在留資格は合計29種類(特別永住者を含めず)で、別表第一に「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「留学」「家族滞在」など、別表第二に「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」などが規定されています。

2027年4月から新設される「育成就労」は別表第一の改正で追加されます。

③ 退去強制と収容

主な規定退去強制事由(第24条)、違反調査(第27条〜)、収容令書(第39条)、違反審査・口頭審理(第47条〜)、在留特別許可(第50条)、仮放免・監理措置(第54条・44条の2)
対象不法入国・不法残留・資格外活動違反等に該当する外国人
主なポイント2024年6月施行の令和5年改正で、収容に代わる「監理措置制度」が創設され、社会内処遇の選択が可能となった

退去強制手続は、違反調査から違反審査、口頭審理、法務大臣の裁決を経て退去強制令書の発付に至る複数段階の行政手続です。人道的事情がある場合は在留特別許可が認められ、日本での在留継続が可能となるケースもあります。

④ 難民認定・補完的保護

主な規定難民認定手続(第61条の2以下)、補完的保護対象者の認定(第61条の2の2)、送還停止効の例外(第61条の2の9第4項)
対象難民条約上の難民、紛争避難民等の補完的保護対象者
主なポイント2023年改正で「補完的保護対象者」制度が創設され、紛争地からの避難民等も難民に準じた処遇を受けられるようになった

難民認定は条約上の5事由(人種・宗教・国籍・特定の社会的集団・政治的意見)に基づく迫害のおそれがある場合に限定されますが、補完的保護は紛争避難民など条約上の難民に当たらない保護対象を救済します。

難民・補完的保護対象者として認定されると「定住者」等の在留資格が付与されます。

⑤ 罰則

主な規定不法入国罪(第70条)、不法就労助長罪(第73条の2)、資格外活動罪(第73条)、偽装認知・偽装結婚罪
対象違反行為を行った外国人および受入企業・仲介者
主なポイント不法就労助長罪は現行3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金。2026年6月14日施行予定の改正により5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金に厳罰化される見通し

不法就労助長罪は「知らなかった」だけでは免責されず、在留カードの確認を怠ったなど過失がある場合も処罰対象となります。受入企業には雇用前の在留カード確認・記録保存が強く求められます。

立場別の実務ポイント

受入企業が押さえるべきポイント

  • 在留カードの必須確認と記録保存
    雇用時・更新時に在留カードの表裏を確認し、在留資格・在留期間・就労制限の有無を人事台帳に記録します。確認を怠ると不法就労助長罪(現行3年以下の拘禁刑/300万円以下罰金、2026年6月予定の改正後は5年以下の拘禁刑/500万円以下罰金)の対象となります。
  • 所属機関届出の徹底
    外国人の入社・退職・移籍があった場合、本人は14日以内に出入国在留管理庁へ所属機関届出を行う義務があります。企業は届出を促し、必要に応じて代行支援することが望まれます。
  • 在留期間の一覧管理
    外国人社員ごとに在留期間満了日を管理し、3ヶ月前から更新準備を開始します。忙期や転職直後は審査期間が長引くため、余裕をもった対応が重要です。

外国人本人が押さえるべきポイント

  • 活動の適法範囲を守る
    在留資格ごとに許可される活動範囲は法律で限定されています。資格外活動(週28時間を超える就労など)は資格外活動違反となり、退去強制事由となります。許可されない就労を始める前に資格外活動許可や在留資格変更の手続きを経る必要があります。
  • 住居地・所属機関変更の届出期限
    住居地を変更した場合は市区町村に14日以内、所属機関を変更した場合は出入国在留管理庁に14日以内の届出が必要です。怠ると20万円以下の罰金・在留資格取消事由となります。
  • 在留期間を守る
    在留期間満了日を過ぎると不法残留(オーバーステイ)となり、退去強制の対象です。満了日の3ヶ月前から更新申請が可能なため、早めに準備を始めましょう。

類似法令との比較

外国人に関する法制度は入管法を中心としつつも、目的別に複数の法律が並立しています。制度変更時にはどの法律が改正されたかを確認することが重要です。

法令名主な目的所管
出入国管理及び難民認定法(入管法)外国人の出入国・在留管理・難民認定の基本法法務省(出入国在留管理庁)
入管特例法在日韓国・朝鮮人等(特別永住者)の法的地位に関する特例法務省
技能実習法技能実習制度の適正化・実習生保護(2027年3月末までに廃止)厚労省・法務省
育成就労法2027年4月施行の育成就労制度の運用枠組み厚労省・法務省
国籍法日本国籍の取得・喪失・帰化法務省

2024年成立の改正では、入管法と育成就労法が一体的に整備され、技能実習制度を廃止して育成就労制度へ移行する流れが決まりました。

2027年4月の施行に向けて省令・告示が順次整備されており、企業は最新情報を継続的にチェックする必要があります。

よくある質問

Q. 入管法は毎年改正されるのですか?

A. 毎年ではありませんが、近年は2〜3年おきに大規模改正が行われています。

直近では2023年(令和5年)改正で「補完的保護対象者」の認定制度や送還停止規定の例外が設けられ、2024年(令和6年)改正では「育成就労制度」の創設や永住許可制度の適正化が決定されました。

施行日は内容により段階的に設定されるため、成立から数年かけて実務に反映されていくのが一般的です。

Q. 不法就労助長罪は「知らなかった」では逃れられないのですか?

A. 入管法第73条の2は「過失のあるとき」も処罰対象としており、単に「知らなかった」では免責されません。

在留カードを確認せずに雇用したり、形式的な確認だけで就労制限を見落としたりすると、過失とみなされる可能性が極めて高いです。

特に2026年6月14日から施行される改正法により、罰則は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」から、「5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金」へと大幅に厳罰化されます。

Q. 在留資格と査証(ビザ)の違いは入管法でどう整理されていますか?

A. 査証(ビザ)は外務省が所管し、海外の日本大使館等が入国前に発行する「推薦状」のようなものです。一方、在留資格は入管法に基づき法務大臣(出入国在留管理庁)が付与する「日本での活動と滞在の根拠」となる許可です。

査証は入国時の審査用、在留資格は入国後の生活・活動の根拠という役割分担になっています。

Q. 育成就労制度はいつから始まりますか?

A. 育成就労制度は2027年(令和9年)4月1日から施行されることが確定しています(2025年9月の閣議決定による)。

原則3年間の就労を通じて、特定技能1号水準の技能を育成することを目的としています。

現行の技能実習制度からの移行については経過措置が設けられており、新制度へのスムーズな切り替えが求められています。

Q. 入管法違反があった場合、企業はどこに相談すればよいですか?

A. まずは行政書士や弁護士など、最新の入管実務に精通した専門家に相談することをお勧めします。

公式な窓口としては、全国の地方出入国在留管理官署(地方局や支局)で相談や届出が可能です。

違反を隠蔽せず自発的に申告することで処分の軽減が考慮される場合もあります。また、労働条件に関する問題が重なる場合は、労働基準監督署への相談も必要となります。

参考資料

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