用語集 在留手続き・入管関連

監理措置制度かんりそちせいど

監理措置制度とは?

監理措置制度とは、退去強制手続きの対象となる外国人を収容せず、監理人による監理の下、社会内で生活させながら手続きを進める制度です。

2023年6月の入管法改正で新設され、2024年6月10日から施行されました。従来の「全件収容主義」に対する代替的な仕組みで、逃亡や証拠隠滅のおそれを防止しつつ、人道的配慮から収容を回避する選択肢として設計されています。

監理措置は主任審査官の判断で決定され、家族関係・健康状態・逃亡リスクなどを総合的に考慮して許可されます。監理対象者は住居・行動範囲の制限や3ヶ月ごとの届出義務を負い、違反すると1年以下の懲役または20万円以下の罰金の対象となります。

収容所内での生活を免れる反面、一定の拘束が伴う点が特徴です。

制度の背景

監理措置制度は、2023年6月成立の改正法で新設され、従来の「収容・仮放免」の二択に加えて第三の選択肢として位置づけられました。長期収容問題への対応と、国際的な入管収容の人権配慮の潮流を受けた制度改正です。

制度の特徴は監理人の存在を前提とすることです。監理人は対象外国人を見守り、その生活や活動状況を入管に報告する役割を担います。

従来の仮放免が「収容中の身分を一時的に解除」する制度であったのに対し、監理措置は最初から収容せずに社会内で生活させる制度設計となっており、対象者にとっての負担軽減が期待されています。一方で、監理人の選任が困難な場合や、条件違反のリスクなどの課題も指摘されています。

主な種類と要件

監理措置は退去強制手続きの段階によって2つのタイプに分かれます。それぞれの要件と効果を整理して理解することが重要です。

① 退去強制令書発布前の監理措置

根拠条文入管法第44条の2以下
対象者退去強制手続中で、収容令書が発布される前の段階の外国人
特徴主任審査官の判断で、収容せずに社会内で手続きを進める。生計維持に必要な範囲での就労が例外的に許可される場合あり

違反調査の段階で監理措置に付される類型です。退去強制令書が発布される前の段階なので、在留資格の有無・事案の性質などに応じて判断されます。

生計維持のための就労が条件付きで認められる場合があり、対象外国人の日常生活を維持しながら手続きを進めることが可能です。

② 退去強制令書発布後の監理措置

根拠条文入管法第52条の2以下
対象者退去強制令書が発布された後も、送還の準備中で社会内での生活が認められる外国人
特徴送還実施までの期間、監理人の監理の下で生活。就労は原則として認められない

退去強制令書発布後も、本国への送還が直ちにできない事情(パスポート発給待ち・難民申請中・家族事情等)がある場合に適用されます。従来は収容施設で送還を待つケースが多かったものを、社会内での監理に切り替えることで長期収容を回避します。

就労は原則不可で、生活費は家族や支援者の援助で賄うケースが多くなります。

③ 監理人の選任要件

適格要件対象外国人の監理人として職務を遂行する能力があり、本人の同意を得て主任審査官が適切と認めた者
主な候補日本人配偶者・親族、日本在住の友人、弁護士、支援団体の関係者など
義務対象外国人の生活・行動の把握、入管への定期報告、条件違反の際の通知

監理人は外国人本人の配偶者・親族・支援者・弁護士などが務めるケースが一般的です。責任の重さから監理人を確保することが難しいケースも多く、監理人がいないと監理措置自体が適用されないため、実務的に重要な前提条件となっています。

支援団体・行政書士・弁護士等に相談することで、適切な監理人を見つけることもあります。

立場別の実務ポイント

監理措置は対象外国人・監理人・雇用主・家族など複数の関係者の協力で成り立ちます。それぞれの立場での注意点を整理します。

対象外国人本人

条件の厳格な遵守

住居・行動範囲の制限、出頭義務、条件違反の報告など、監理措置には多様な条件が付されます。条件違反は監理措置の解除と収容につながる可能性があるため、条件を正確に理解し遵守することが重要です。条件変更が必要な場合(住居変更・医療通院等)は事前に入管に相談します。

定期的な届出の履行

監理に付されてから、または前回の届出から3ヶ月以内に主任審査官に対して届出を行う義務があります。届出は郵送不可で、必ず本人が管轄入管に出頭する必要があります。届出を怠ると条件違反となります。

監理人

責任の重さの理解

監理人は対象外国人の生活全般を見守る責任を負い、条件違反を認識した場合は入管に通報する義務があります。家族・親族が監理人となる場合、本人との信頼関係と責任のバランスに葛藤するケースもあるため、事前に役割を理解しておくことが重要です。

入管への協力

監理人は対象外国人の生活状況・行動範囲を把握し、必要に応じて入管の質問に応じる必要があります。対象外国人が失踪した場合の通報、条件違反が疑われる事態が発生した場合の情報提供などが期待されます。

雇用主(就労が許可される場合)

許可範囲内での雇用

退去強制令書発布前の監理措置で生計維持のための就労が許可された場合、雇用主は許可内容(業種・時間・給与等の制限)を正確に把握して雇用します。許可条件を超えた雇用は資格外活動とみなされる可能性があります。

監理人との連携

雇用に際しては監理人の存在を確認し、必要に応じて連携します。監理人の連絡先を把握しておくことで、緊急時の対応がスムーズになります。

類似制度との比較

監理措置は仮放免制度・収容と並ぶ退去強制手続き中の身柄の扱いに関する選択肢です。それぞれの特徴を整理することで、制度の位置づけが明確になります。

比較項目監理措置仮放免収容
基本姿勢最初から社会内で生活収容を一時的に解除収容施設内で生活
監視体制監理人による監理特定の監理者なし入管職員による管理
就労条件付きで可(令書前)原則不可不可
保証金最大300万円最大300万円なし
届出3ヶ月ごとに出頭月1回程度日常的な管理
施行2024年6月10日〜従来から存在従来から存在

監理措置は最初から社会内で生活、仮放免は収容解除の延長、収容は施設内拘束という本質的な違いがあります。

監理措置は人権配慮と手続き推進の両立を目指した新制度ですが、監理人の選任困難や条件の厳しさから、実務運用は発展途上です。対象者の事情に応じて最適な手続きが選ばれる仕組みとなっています。

よくある質問

Q. 監理措置を希望すれば必ず認められますか?

A. 認められるとは限りません。主任審査官が逃亡・証拠隠滅のおそれ・健康状態・家族関係などを総合的に判断し、収容しないで手続きを進めることが相当と認めた場合に限り許可されます。

特に監理人が確保できない場合は監理措置自体が適用されません。また、過去の違反歴が重大な場合や、送還の実現性が高く速やかな収容が必要と判断される場合なども、許可されにくい傾向があります。申請の際は事情を詳しく説明する必要があります。

Q. 監理措置中でも働くことはできますか?

A. 退去強制令書発布前の監理措置では、生計維持に必要な範囲で就労が例外的に許可される場合があります。具体的な許可範囲・業種・労働時間は主任審査官が個別に決定します。

退去強制令書発布後の監理措置では、就労は原則として認められません。この場合、家族や支援者からの援助で生活することが前提となります。就労許可の有無は措置決定時の文書で確認できます。

Q. 条件違反があった場合はどうなりますか?

A. 条件違反があると監理措置が取り消され、収容される可能性があります。また、出頭義務違反や虚偽の届出などは1年以下の懲役または20万円以下の罰金の刑事罰の対象となります。

住居変更や行動範囲の制限超過、就労許可範囲外の労働などが典型的な違反例です。やむを得ない事情で条件を守れない場合は、事前に入管や監理人に相談することで、条件変更の申請が可能な場合もあります。

Q. 監理人になるのは誰でも良いのですか?

A. 誰でも良いわけではなく、職務遂行能力と本人の同意に基づき、主任審査官が適切と認めた者に限られます。多くの場合、家族・親族・日本人配偶者・弁護士・支援団体関係者などが選ばれます。

監理人には入管への定期報告義務などの責任が伴うため、責任を果たせる人物であることが前提です。適切な監理人が確保できない場合、監理措置自体が適用されず収容継続となる可能性があるため、支援団体等のネットワークを活用することも選択肢となります。

参考資料

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