資格外活動違反とは?
資格外活動違反とは、日本に在留する外国人が、現に有する在留資格で認められた活動の範囲を超えて、報酬を得る活動や収入を伴う事業を、出入国在留管理庁長官の許可を受けずに行うことを指します。
出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)第19条に規定された資格外活動の制限に違反する行為であり、本人が処罰されるだけでなく、違反を知りながら雇用した受入企業も不法就労助長罪に問われる重大な違反です。
たとえば「留学」の在留資格で滞在する留学生が資格外活動許可を取得せずにアルバイトをする、許可を得ていても週28時間を超えて働く、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格者が許可なく副業で別の収入を得る、といった行為がすべて資格外活動違反に該当します。
具体的な意味・内容
就労系の在留資格で在留する外国人については「当該在留資格に応じた活動に属しない収益活動」を、就労不可の在留資格者については「一切の収入を伴う活動」を原則禁止しています。
これを超える活動を行うには、あらかじめ資格外活動許可を受ける必要があります。
違反パターンは大きく分けて次の3つです。
① 無許可でのアルバイト・就労
| 典型例 | 留学生や家族滞在者が資格外活動許可を取得せずにアルバイトを行う |
|---|---|
| 該当する在留資格 | 留学・家族滞在・文化活動など就労不可の資格 |
| 違反となる根拠 | 入管法第19条第1項第2号 |
就労不可の在留資格では、コンビニや飲食店のアルバイトも含めて、報酬を伴う活動はすべて許可が必要です。許可なしで1回でも働けば資格外活動違反が成立します。
② 許可時間・条件の超過
| 典型例 | 留学生が週28時間を超えて働く、長期休業期間外に1日8時間働く |
|---|---|
| 該当する在留資格 | 留学(週28時間以内)・家族滞在(週28時間以内) |
| 違反となる根拠 | 資格外活動許可の条件違反 |
包括許可を取得していても、定められた上限時間や風俗営業関連の禁止業種で働いた場合は違反となります。複数のアルバイト先で働く場合は合計時間で判定される点に注意が必要です。
③ 就労資格者による無許可の副業・収益活動
| 典型例 | 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格者が許可なく別業務で報酬を得る |
|---|---|
| 該当する在留資格 | 就労系在留資格全般 |
| 違反となる根拠 | 入管法第19条第1項第1号 |
本来の在留資格で認められた業務以外の収益活動を行う場合は、個別の資格外活動許可が必要です。無許可で講演謝礼や執筆料を継続的に受け取るケースも違反に該当する場合があります。
関連する法律・罰則
資格外活動違反は、違反した外国人本人だけでなく、雇用した受入企業にも重い刑事罰が科されます。根拠法令と罰則は次のとおりです。
- 外国人本人への罰則(通常の違反)
入管法第73条により、1年以下の懲役もしくは禁錮または200万円以下の罰金、あるいはその併科となります。加えて在留資格の取消しや次回更新の不許可につながります。 - 外国人本人への罰則(専従的な違反)
資格外活動を「専ら」行っていると認められる場合、入管法第70条第1項第4号により、3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金、あるいはその併科となります。学業をほとんど行わず就労が主になっている留学生などが該当します。 - 退去強制の対象
入管法第24条第4号イにより、資格外活動を専従的に行った者は退去強制事由に該当します。前科がつくだけでなく、原則として日本から強制退去となります。 - 受入企業への罰則(不法就労助長罪)
入管法第73条の2により、違反と知らずに雇用した場合でも、過失がない場合を除き3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその併科が科されます。「知らなかった」は原則として免責されません。
実務上の注意点
受入企業と外国人本人の双方が、採用時と在職中の双方で確認を徹底する必要があります。確認を怠ると、企業側も刑事責任を問われるため、以下のポイントを必ず運用に組み込んでください。
- 在留カードの裏面確認を徹底する
留学生や家族滞在者を雇用する際は、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」の記載があるかを必ず確認します。記載がなければアルバイトとして雇用できません。 - 勤務時間を正確に管理する
週28時間ルールは「どの曜日から起算しても週28時間以内」で判定されます。シフト管理システムで週跨ぎの時間超過を自動検知する仕組みを導入すると安全です。複数アルバイトの通算時間も本人にヒアリングして把握しておきます。 - 長期休業期間の運用を正確にする
学則で定める夏休み・春休み・冬休みの長期休業期間中に限り1日8時間・週40時間まで就労可能です。ただし休業期間の定義は学校ごとに異なるため、学生証や学則の写しで確認します。 - 風俗営業関連業種での雇用を避ける
スナック・バー・キャバクラ・パチンコ店・麻雀店などは、たとえホール業務や皿洗いであっても資格外活動許可の対象外です。店舗の営業形態を客観的に判断する必要があります。 - 採用時に雇用契約書と業務内容を明示する
就労系在留資格者を副業・兼業で受け入れる場合、個別許可が必要な可能性が高いため、採用前に入管や行政書士に相談します。業務範囲が在留資格と一致するかも合わせて確認します。
関連用語との違い
資格外活動違反は「不法就労」の一形態ですが、他の不法就労類型とは法的根拠と処分内容が異なります。混同されやすい用語との違いを次の表で整理します。
| 用語 | 定義 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 資格外活動違反 | 在留資格はあるが、許可外の就労や時間超過を行う | 入管法第19条 |
| 不法残留 | 在留期限を超えて日本に滞在する状態(就労の有無は問わない) | 入管法第24条第4号ロ |
| 不法入国・不法上陸 | 正規の上陸許可を受けずに入国した外国人が就労する | 入管法第24条第1号・第2号 |
| 不法就労助長罪 | 受入企業が不法就労と知りながら、または過失で雇用する | 入管法第73条の2 |
資格外活動違反は「適法に在留している外国人」が起こす違反である点が他の不法就労と異なります。
そのため在留カードを持っていても違反状態にある可能性があり、企業側は書類の有無だけでなく、就労条件や時間管理まで含めた確認が欠かせません。
よくある質問
Q. 留学生を週29時間働かせてしまいました。どうなりますか?
A. たとえ1時間の超過であっても資格外活動違反が成立します。
留学生本人は在留資格の更新不許可や取消しのリスクを負い、雇用した企業も不法就労助長罪に問われる可能性があります。超過が発覚した時点でシフトを是正し、今後は週の起算日を明確にして勤怠管理を徹底してください。
故意ではないことを説明できる記録を残しておくことも重要です。
Q. 在留カードに資格外活動許可の記載があれば、どの業種でも雇用できますか?
A. 包括許可でも風俗営業・風俗関連営業の場所での就労は禁止されているため、すべての業種で雇用できるわけではありません。
スナック・バー・キャバクラ・パチンコ店・麻雀店などは、ホール業務や清掃・皿洗いであっても対象外です。雇用前に店舗の営業許可形態を確認し、該当する場合は雇用を見送ってください。
Q. 資格外活動違反で摘発されたら、在留資格は必ず取り消されますか?
A. 違反の態様や悪質性によって処分は異なります。
軽微な時間超過で初回であれば在留資格更新時の指導にとどまる場合もありますが、専従的な違反や虚偽申告がある場合は在留資格の取消しや退去強制処分となります。
いずれにしても前科がつくリスクがあるため、違反に気付いた時点で速やかに行政書士や入管に相談することをおすすめします。
Q. 受入企業が「知らなかった」と主張すれば処罰を免れますか?
A. 入管法第73条の2では「過失がないとき」を除き処罰対象となるため、「知らなかった」だけでは免責されません。
在留カードの確認を怠った、許可時間を確認しなかったなど、通常の注意を払えば発見できた違反は過失ありと判断されます。
採用時と在職中の両方で確認記録を残し、通常の注意義務を果たしていたことを示せる体制を整えてください。
Q. 副業をしたい就労系在留資格の外国人にはどう対応すべきですか?
A. 本来の在留資格で認められる業務以外の収益活動を行う場合、原則として個別の資格外活動許可を取得する必要があります。たとえば「技術・人文知識・国際業務」の社員が休日に飲食店でアルバイトをする場合は個別許可が必要です。
許可範囲は職務内容ごとに判断されるため、副業開始前に管轄の出入国在留管理局に相談するよう本人に指導してください。