用語集 育成就労関連

日本語能力N5にほんごのうりょくN5

日本語能力N5とは?

日本語能力N5とは、日本語能力試験(JLPT)の5段階レベル(N1〜N5)のうち、最も初級のレベルで、「基本的な日本語をある程度理解することができる」と公式に定義されています。

CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のA1相当で、学習を始めたばかりの初学者・基礎段階の言語使用者の水準です。日本国内では公益財団法人日本国際教育支援協会(JEES)、海外では独立行政法人国際交流基金(JF)が共同主催し、年2回(7月第1日曜日・12月第1日曜日)に実施されます。

育成就労制度では、N5合格が就労開始前および入国時の到達目標であり、在留資格「育成就労」取得時の日本語要件として位置づけられます。

代替手段として、認定日本語教育機関での100時間以上の講習受講、またはJFT-Basic A1判定(2026年8月から145点以上で対応)でも要件充足が可能です。

具体的な意味・内容

読む能力(A1相当)

ひらがな・カタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文・文章を読んで理解できる水準です。簡単な看板・標識・自己紹介文・挨拶文等の理解が可能となります。

職場での名札・部署名・基本的な掲示物の理解がやっとできる段階です。

聞く能力(A1相当)

教室や身の回りなど日常生活でよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話から必要な情報を聞き取れる水準です。簡単な挨拶・基本的な指示・数字や時間に関する基本的な情報の理解が可能となります。

試験構成と時間

言語知識(文字・語彙)20分、言語知識(文法)・読解40分、聴解30分の合計90分です。N4(115分)より短く、より基礎的な内容が中心の構成となっています。初学者でも比較的取り組みやすい試験設計です。

合格基準と区分基準点

総合得点は180点満点中80点以上が合格基準で、加えて各区分の基準点(言語知識・読解120点満点中38点以上、聴解60点満点中19点以上)をクリアする必要があります。総合得点が合格点に達しても、いずれかの区分が基準点未満なら不合格です。N4より合格点が10点低く設定されています。

関連する制度・試験概要

項目内容
正式名称日本語能力試験 N5
レベル定義基本的な日本語をある程度理解することができる(A1相当)
主催(国内)公益財団法人日本国際教育支援協会(JEES)
主催(海外)独立行政法人国際交流基金(JF)
試験時間(合計)90分
試験科目言語知識(文字・語彙)20分/言語知識(文法)・読解40分/聴解30分
満点180点
合格点(総合)80点以上
区分基準点言語知識・読解38点以上/聴解19点以上
受験料(国内)2026年4月以降の試験から7,700円
実施頻度年2回(7月第1日曜日/12月第1日曜日)
育成就労での位置づけ就労前・入国時・1年経過時の到達目標
JFT-Basic A1相互認証2026年8月以降、145点以上のA1判定で同等
講習による代替認定日本語教育機関での100時間以上の講習受講で代替可能

実務上の注意点

就労前合格の必須要件

育成就労制度では、就労開始前までにN5合格、JFT-Basic A1判定(145点以上)合格、または認定日本語教育機関での100時間以上の講習受講のいずれかが必須要件となります。技能実習制度の介護以外には日本語要件がなかった点との大きな違いです。送出国での事前学習・受験を計画的に進める必要があります。

100時間講習による代替

試験合格に代えて、文部科学省所管の認定日本語教育機関の「就労」課程で100時間以上の日本語講習を受講することでも要件を満たせます。試験対策が苦手な学習者にとって有効な選択肢となります。試験合格者は100時間講習を免除されます。

JFT-Basic A1判定への対応(2026年8月から)

2026年8月からJFT-BasicがA1・A2.1判定にも対応します。A1判定は145点以上、A2.1判定は175点以上が基準です。CBT方式で年6回程度実施されるため、JLPT N5(年2回のみ)より受験機会が大幅に多くなります。育成就労制度の入国前要件への対応が容易になります。

1年経過時の再受験対応

1年経過時点でもまだN5(A1相当試験)に合格していない場合、受入機関がN5を受験させる義務を負います。日本語学習が遅れている場合の継続的支援が重要となります。社内研修・eラーニング・地域日本語教室への参加支援等の体制整備が定着率向上の鍵です。

関連用語との違い

項目JLPT N5JLPT N4JFT-Basic A1(2026年8月〜)JFT-Basic A2
CEFR相当A1A2A1A2
育成就労での位置づけ就労前・1年経過時の目標3年終了時の目標就労前の代替3年終了時の代替
試験時間90分115分CBT・約60分CBT・約60分
合格点80/18090/180145点以上200点以上
受験料(2026年4月〜)7,700円7,700円7,000円7,000円
実施頻度年2回年2回年6回程度年6回程度
講習による代替100時間以上で可不可同等扱い不可

JLPT N5は最も基礎的な日本語試験で、合格しなくても認定日本語教育機関の100時間講習で代替できる柔軟性があります。N4以降は試験合格が必須となります。

JFT-BasicはCBT方式で受験機会が多く、海外送出時の選択肢として有効です。

よくある質問

Q. 100時間の講習受講で本当にN5合格と同等とみなされますか?

A. はい、認定日本語教育機関の「就労」課程で100時間以上受講していれば、N5合格と同等の要件充足とみなされます。

講習を提供する教育機関は文部科学省の認定を受けた機関である必要があります。登録日本語教員資格を有する教員による教育が前提となります。

Q. JLPT N5とJFT-Basic A1のどちらを選ぶべきですか?

A. 受験機会の多さを重視するならJFT-Basic A1(年6回程度・CBT方式)、伝統的な試験を選ぶならJLPT N5(年2回・紙ベース)がおすすめです。

送出国の事情に応じて選択肢が異なります。JFT-Basicは2026年8月からA1判定に対応するため、それ以前はJLPT N5が確実な選択肢でした。

Q. 入国前にN5不合格でも入国できますか?

A. 育成就労では原則として就労開始前にN5合格・JFT-Basic A1合格・100時間講習受講のいずれかが必須要件です。

これらが達成されていない場合、原則として在留資格「育成就労」の取得ができません。送出国で事前に対応する必要があり、送出機関の役割も重要となります。

Q. 区分基準点の意味を教えてください

A. 言語知識・読解(120点満点)で38点以上、聴解(60点満点)で19点以上が必要です。総合得点が80点以上でも、いずれかの区分が基準点未満なら不合格です。

例えば、言語知識・読解で50点取っても聴解が18点なら不合格となります。聴解の対策が苦手な学習者でも、最低限のリスニング訓練が必須です。

参考資料

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