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特定技能の社員が退職するときの手続き|申し出の日から辞めた後2週間までに会社がすること

特定技能の社員が退職するときの会社の手続きを、店を去る社員と書類を確認する担当者で示した図

最終更新:2026年11月 titp360.jp編集部

「来月で辞めて、大阪の友人の店で働きたいです」。特定技能で働く外国人社員からそう言われて、会社として何をすればよいか迷っていませんか。結論から言うと、申し出を受けた日にすることは、届出ではなく、退職日と理由の確認と登録支援機関への連絡です。入管への届出は、実際に辞めた後に14日以内に出せば足ります。あとは、退職日までに本人へ大事なことを伝えておけば、慌てる場面はありません。

この記事では、架空の会社の例で順番に見ていきます。例の会社は、郊外で定食店を3店舗営む外食の会社です。特定技能の社員は、入社2年目のMさん1人です。Mさんは特定技能1号で、調理と接客を担当しています。生活面の支援は、登録支援機関に全部任せています。11月上旬、Mさんが店長に「12月15日で辞めて、大阪の友人の店で働きたい」と申し出ました。会社は引き止めましたが、本人の気持ちは変わりません。担当は総務のあなたです。(例は説明のための架空のものです)

申し出の時点では、入管への届出はいらない

まず、多くの担当者が迷う点から片づけましょう。入管への届出の1つに「受入れ困難に係る届出」があります。会社の経営上の都合や、本人の病気・行方不明などで、雇い続けられなくなったときに会社が出すものです。出入国在留管理庁は2025年4月の運用の見直しで、本人からの自己都合退職の申し出はこれに当たらず、申し出の時点での届出は不要と整理しました。古い解説には「申し出の段階で出す」と書いたものが残っているので、注意しましょう。

ですから、申し出を受けた日にすることは確認です。退職日と、辞める理由を本人と確かめ、書面に残しましょう。Mさんの場合は「12月15日に退職」「友人の店で働くため、本人の希望で辞める」の2つです。この理由は、あとで入管やハローワークへの届出、退職証明書にも書きます。書類ごとに理由が食い違わないよう、最初にそろえておくのがこつです。

もう1つ、その日のうちに登録支援機関へ連絡します。支援を全部任せていても、雇用契約の届出は会社の義務です。どの書類を誰が用意するか、ここで分担を決めておきましょう。

では、退職日までの1か月余りで、本人に何を伝えればよいのでしょうか。

辞めるまでに本人へ伝えておくこと

閉店後の定食店で、退職する外国人社員と総務担当者が手続きについて話している様子

Mさんは「次の店ですぐ働ける」と思っているかもしれません。けれども特定技能は、雇用契約を結んだ会社で働くことを前提にした在留資格です。会社が変わるときは、本人が転職先の会社の書類をそろえて在留資格の変更を申請し、許可を受ける必要があります。許可が出る前に新しい店で働くと、在留資格を取り消されたり、国外へ退去させられたりする対象になり得ます。「12月16日から大阪で働く」とは、すぐにはいかないのです。

出入国在留管理庁が受入企業向けに示している説明書の様式には、退職する本人に案内したかを確かめる項目が並んでいます。Mさんに伝えておきたいのは、次の5つです。

  • 転職先で在留資格の変更の許可が出るまで、新しい店では働けない
  • 退職した日から14日以内に、本人が入管へ「所属機関に関する届出」を出す(会社の届出とは別)
  • 引っ越したら、14日以内に新しい住所の市区町村に届け出る
  • 正当な理由なく3か月以上、特定技能の仕事をしないで日本にいると、在留資格の取消しの対象になる
  • 特定技能1号で日本にいられるのは通算5年まで。転職先を探している期間も5年に含まれる

本人の届出は、出入国在留管理庁の電子届出システムなら24時間出せます。窓口や郵送でも出せます。会社が代わりに出す義務はありませんが、退職日の前に一緒に確かめておくと安心です。

転職先の許可がいつ出るかは、まだ分かりません。退職日は本人と会社の合意で決めるものなので、見通しが立たないうちに急いで決めないよう伝えておきましょう。

転職先が決まっているなら、先方の会社に「退職日」と「在留カードの期限」を早めに伝えてもらいましょう。転職先での手続きの流れは、「特定技能の転職者を中途採用する手続き」で詳しく扱っています。

本人への説明が済んだら、次は社内の準備です。

退職日までに社内でそろえること

社内の準備は、日本人の社員が辞めるときとほとんど同じです。有給休暇の残りや最後の給与の払い方も、日本人と同じ扱いです。そのうえで、抜けやすい点が3つあります。

1つ目は住民税です。給与から天引きしている住民税は、辞めた後の分をどうするかを決めます。Mさんのように6月から12月の間に辞める人は、本人が申し出れば、残りを最後の給与からまとめて差し引きます。申し出がなければ、本人が自分で納める形に切り替わります。どちらにするか、本人に聞いておきましょう。

2つ目は書類です。源泉徴収票は、退職日から1か月以内に本人に渡す決まりです。転職先の年末調整にも使います。本人から退職証明書を求められたら、遅滞なく渡します。失業給付などで本人が離職票を必要とする場合は、会社がハローワークに「離職証明書」を出し、それをもとに本人へ「離職票」が届きます。離職の理由は本人も確認するので、ここでも申し出の日にそろえた理由を使います。

3つ目は、寮や貸していたものです。寮の退去日、鍵や制服の返却、立て替えている家賃や光熱費の精算を、退職日までに本人と確認します。最後の給与から寮費などを差し引くには、法令で決まったもの以外は、労使協定(社員の過半数の代表などと結ぶ書面の協定)が必要です。協定があるか、先に確かめておきましょう。

ここまで準備できれば、残るのは辞めた後の届出です。期限がそれぞれ違うので、Mさんの日付で並べてみます。

辞めた後の届出は「5日・10日・14日」

退職日の後に会社が出す届出は、年金、ハローワーク、入管の3か所です。入管には2つ出すので、全部で4つになります。どれも退職した事実を知らせるものなので、退職日より前には出せません。Mさんの退職日は12月15日ですから、年末の2週間に集中します。期限が短い順に見ていきます。

最初は、健康保険・厚生年金保険の資格喪失届です。日本年金機構へ、資格を失った日から5日以内に出します。資格を失う日は退職日の翌日で、Mさんなら12月16日です。12月20日ごろまでが目安です。あわせて、本人から健康保険の資格確認書(保険証にあたるもの)などを回収します。詳しくは「外国人社員の社会保険」の記事で扱っています。

次は、ハローワークです。外国人を雇う事業主は、雇入れと離職のたびに「外国人雇用状況の届出」を出す義務があります。雇用保険に入っている人なら、雇用保険の資格喪失届を出せば、この届出も済んだことになります。期限は、離職の翌日から数えて10日以内です。Mさんなら12月16日から数えて10日目の、12月25日までです。

最後が入管です。1つ目は、会社が出す「特定技能雇用契約の終了」の届出で、契約が終わった日から14日以内に出します。書式は、出入国在留管理庁の届出の案内ページにある参考様式(第3-1-2号)を使います。終了した日と、終了の理由(本人の都合による退職)を書きます。出し方は、電子届出システム、窓口、郵送の3つです。窓口と郵送の宛先は、会社の本店の所在地を受け持つ地方出入国在留管理局などです。この届出を出さなかったり、うその届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象です。

Mさんの場合、14日の期限は12月29日ごろで、年末年始の休みにかかります。窓口は平日しか開いていません。電子届出システムは事前の利用者登録が必要なので、初めてなら窓口か郵送で、退職日の翌週(12月22日の週)に出す計画が確実です。

入管への2つ目は、登録支援機関との契約にかかわる届出です。

登録支援機関との契約も見直す

Mさんの会社では、特定技能の社員はMさん1人です。Mさんが辞めれば、支援を頼む相手がいなくなるので、登録支援機関との支援委託契約は終えることになります。契約を終えたら、その日から14日以内に、会社が「支援委託契約に係る届出」を入管に出します。契約の終了日をMさんの退職日にそろえれば、2つの届出を同じ日に出せます。解約の時期や費用の扱いは契約書の定めによるので、申し出の日の連絡で確かめておきましょう。

ほかにも特定技能の社員がいて、同じ契約で支援を続ける会社は、契約を終えません。その場合は、契約の内容が変わるかどうかを登録支援機関と確かめ、変わるときは変更の届出を出します。

ここまでの入管への届出は、まとめて「随時届出」と呼ばれます。出来事があるたびに出す届出、という意味です。

ここまでは、Mさんのように「本人の希望で辞め、国内で転職する」場合でした。もしMさんの退職が会社の都合だったら、あるいは帰国するのだったら、何が変わるのでしょうか。

会社の都合のとき、帰国するとき

仮に、店を1つ閉めることになり、会社からMさんに辞めてもらう場合を考えてみます。本人の希望で辞めるときは、辞めた後に届出を出すだけでした。会社の都合のときは、辞める前にも届出が要ります。雇い続けられない事情が生じた日から14日以内に「受入れ困難に係る届出」を出し、契約の終了の届出はその後に出します。会社の都合で辞めてもらう人には、次の勤め先探しを手伝う支援も、支援計画で決められた義務になります。

もう1つ重いのは、次の採用への影響です。特定技能の雇用契約を結ぶ会社には、契約の前1年以内に、同じ種類の仕事をする労働者を会社の都合で辞めさせていないという基準があります。日本人の社員も含みます。会社都合の離職を出すと、新しく特定技能の外国人を雇えない期間が生まれるおそれがあるのです。一方、Mさんのように本人の希望で辞める場合は、この基準の対象外です。次の人の採用は、すぐに動き出せます。

帰国する場合は、旅費に注意します。本人が帰国の旅費を払えないときは、会社が負担し、出国が円滑に進むよう手を尽くすことが、特定技能の雇用契約の基準になっています。厚生年金に入っていた人は、出国後に「脱退一時金」を請求できる場合があります。帰国の予定を聞いたら、市区町村への転出の届出とあわせて案内しましょう。

ここまでの内容を、Mさんの例で日付順に並べると次のようになります。

Mさんの退職までの段取り

時期やること出す先・相手
申し出の日(11月上旬)退職日と理由を書面で確認する。登録支援機関に連絡し、届出の分担と契約の終え方を決める(入管への届出はまだ出さない)本人、登録支援機関
11月中本人に5つを説明する(許可前は新しい店で働けない/本人が出す入管への届出は14日以内/転居の届出/3か月仕事をしないと取消しの対象/1号は通算5年)本人
12月15日まで住民税をまとめて引くか本人に聞く。寮・貸与品・立替金を精算する本人、社内
12月20日ごろまで健康保険・厚生年金保険の資格喪失届(資格を失った日から5日以内)日本年金機構(事務センター・年金事務所)など
12月25日まで雇用保険の資格喪失届(外国人雇用状況の届出を兼ねる)。必要なら離職証明書ハローワーク
12月29日ごろまで(14日以内。年末の休み前の22日の週が確実)会社が出す:特定技能雇用契約の終了の届出、支援委託契約の終了の届出地方出入国在留管理局など(電子届出も可)
1月15日まで源泉徴収票を本人に渡す本人

会社が手を動かす山は「申し出の日」と「退職日の後の2週間」の2回です。最後に、よく受ける質問に答えておきます。

よくある質問

退職日より前に、新しい店で働き始めたいと言われたら?

転職先で在留資格の変更の許可が出るまでは、新しい店で働けません。退職日と転職先での開始日は、転職先が許可の見通しを確かめてから決めるよう、本人に伝えましょう。

登録支援機関に全部任せていれば、会社は届出をしなくてよいですか?

いいえ。特定技能雇用契約の終了の届出は、雇っている会社の義務です。支援を任せていても、届け出る責任は会社に残ります。

退職日を待たずに、急に来なくなったら?

連絡が取れず、行方が分からなくなった場合は、「受入れ困難に係る届出」の対象になります。分かった日から14日以内に、行方不明になった状況の説明書を付けて出します。まずは寮や友人を通じて連絡を試み、登録支援機関にもすぐ知らせましょう。

今日から始めること

特定技能の社員から退職の申し出を受けたら、今日のうちに次の3つを済ませましょう。

1つ目は、退職日と辞める理由を本人と確かめ、書面に残すことです。2つ目は、登録支援機関に連絡し、入管への届出(契約の終了・支援委託契約)を誰がいつ用意するか、契約をどう終えるかを決めることです。3つ目は、本人に伝える5つの項目を紙にまとめ、退職日より前に説明する日を決めることです。届出の書式は、参考資料に載せた出入国在留管理庁のページから手に入ります。

届出の言葉の意味は、用語集の「随時届出」「外国人雇用状況届出」「雇用契約の解除」で確かめられます。

特定技能の社員の退職や、次の採用の進め方で迷ったら、外国人採用ツナガル24で無料で相談できます。

参考資料

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