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留学生の新卒採用、在留資格の変更はいつ何をする?内定から入社までの流れ

留学生が内定から在留資格の手続きを経て入社するまでの流れを、3つの段階で示した図

「アルバイトで頑張ってくれている留学生を、来年の4月から正社員として迎えたい。でも、何の手続きを、いつまでにすればいいのか分からない」。留学生の新卒採用を初めて考える会社で、よく聞く迷いです。

結論から言うと、必要なのは「在留資格」の変更です。在留資格は、外国人が日本で何をして暮らせるかを決める資格のことです。4月入社なら、前の年の12月1日から1月末までに申請するよう、入管(出入国在留管理庁)が案内しています。申請するのは本人ですが、どの在留資格を選ぶかは会社が本人に任せる仕事の内容で決まり、会社が作る書類も欠かせません。

この記事では、架空の会社を例に、内定から入社までに会社が決めること、確かめること、用意するものを順に見ていきます。

例:土産菓子の会社が、アルバイトのDさんを正社員にしたい

ここからは、次の架空の会社を例に話を進めます(運営会社の事例ではなく、説明のための例です)。

地方で土産用の菓子を作り、直営店とネット通販で売っている、従業員50名ほどの会社です。直営店では、地元の大学の経営学部に通う留学生のDさんが、2年前からアルバイトで販売を担当しています。Dさんは日本語能力試験のN1(いちばん上のレベル)に合格しています。

会社は、来年3月に卒業するDさんに、4月入社の内定を出したいと考えています。任せたいのは、海外向けネット通販の運営と、外国語での問い合わせへの対応、それに新商品の企画の手伝いです。ただ、夏休みと年末年始の観光シーズン、合わせて3か月ほどは、週3日ほど直営店の販売にも入ってほしいと考えています。

土産菓子の店で、店員が旅行客に商品を説明している様子のイラスト

Dさんの今の在留資格は「留学」です。留学のままでは、卒業後に正社員として働くことはできません。では、何に変えればよいのでしょうか。その前に、つまずくと何が起きるかを確認しておきます。

準備を誤ると、4月に間に合わない

つまずきやすい点は2つあります。在留資格の選び方と、本人のこれまでの働き方です。

留学生を正社員にするとき、多くの会社が思い浮かべるのは「技術・人文知識・国際業務」、略して「技人国(ぎじんこく)」です。大学などで学んだ知識を使う、企画・事務・技術・通訳などの仕事のための在留資格です。

ところが、技人国の対象にならない仕事が中心だと、許可は出ません。入管の公表資料では、求人で「未経験可、すぐに慣れます」と書くような仕事や、学歴などの条件を満たさない日本人社員がふだん担っている仕事は、対象にならないとされています。店頭での販売そのものは、こうした対象外の仕事に入りやすいものです。

申請が通らなければ、4月1日に正社員として働き始めることはできません。審査にかかる期間の目安は1〜2か月で、1月から3月は申請が集中します。不許可の知らせを受けてから書類を直して申請し直しても、入社日に間に合わないことがあります。

もう1つは、本人のこれまでの働き方です。留学生は「資格外活動許可」というアルバイトのための許可を受けて働いており、時間は原則として週28時間以内と決まっています。入管の資料では、この条件に反して28時間を超えるアルバイトを続けていた場合、審査で不利に扱われるとされています。シフトを多めに入れてもらっていた会社は、内定を出す前に勤務記録を見直しましょう。超えていた時期が見つかったら、自社だけで判断せず、申請の前に行政書士や入管に相談してください。

では、在留資格は何を基準に選べばよいのでしょうか。決め手は2つです。

決め手は「仕事の中身」と「学歴・日本語の力」

1つ目の決め手は、入社後に任せる仕事の中身です。入管は、ある日の仕事だけでなく、日本にいる間の活動を全体として見て判断するとしています。職種名や部署名ではなく、1年を通して何に時間を使うのかで考えます。

2つ目は、本人の学歴と日本語の力です。大学か専門学校か、何を専攻したか、N1などの試験に合格しているかによって、選べる在留資格が変わります。

この2つを組み合わせると、留学生の新卒採用で使われる在留資格は、主に次の2つに絞られます。

  • 大学などで学んだことを使う仕事が中心なら「技人国」
  • 学んだことを使う仕事に加えて、接客・販売・製造などの現場にも入るなら「特定活動46号」

「特定活動」には国が定めた種類がいくつもあり、そのうち日本の大学などを卒業して高い日本語力がある人向けのものが、一般に「46号」と呼ばれています。それぞれ、どんな人のどんな仕事なら認められるのでしょうか。まず技人国から見ていきます。

技人国は「学んだこと」と「仕事」がつながっているか

技人国で見られるのは、大学などで学んだことと、任せる仕事のつながりです。ここで、卒業した学校の種類によって見方が変わります。

入管の資料では、大学を卒業した人は、専攻と仕事のつながりを「柔軟に判断」するとしています。経営学部のDさんがネット通販の運営や商品企画に就くのは、学んだことを使う仕事として説明しやすい組み合わせです。

一方、専門学校を卒業した人は、原則として「相当程度の関連性」が求められます。大学より厳しく、学んだ分野と仕事の分野がはっきり重なっていることが必要です。観光の専門学校で学んだ人を経理に就ける、といった組み合わせは説明が難しくなります。ただし、専門学校のうち、文部科学大臣が「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」として認定した課程を修了した人は、大学と同じように柔軟に判断されます。認定を受けた課程かどうかは、学校に聞けば分かります。

入社直後の研修については、日本人の新入社員も同じ研修を受け、その後の仕事に必要なものであれば、技人国の対象外の仕事が含まれていても認められるとされています。新入社員が全員、最初の数か月を店頭での実習にあてる会社なら、その期間がこれに当たり得ます。

給与は、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上であることが求められます。

では、研修ではなく、毎年の繁忙期に店頭に立ってもらう場合はどうでしょうか。ここで2つ目の選択肢が関わってきます。

現場にも入るなら「特定活動46号」

特定活動46号は、日本の大学などを卒業した留学生の就職を後押しするための在留資格です。入管のガイドラインでは、技人国では認められない一般的なサービスや製造の仕事も、条件を満たせば任せられるとしています。Dさんに当てはめながら、条件を見ていきましょう。

まず、本人の条件です。日本の大学の卒業者や大学院の修了者などに限られ、専門学校の場合は、さきほどの認定課程を修了し、さらに「高度専門士」の称号を得た人だけが対象です。日本語は、N1か、ビジネスの場面の日本語力を測るBJTビジネス日本語能力テストで480点以上が必要です。日本の大学を卒業見込みでN1に合格しているDさんは、どちらも満たします。

次に、仕事の条件です。指示どおりに作業するだけでは足りず、自分から相手に働きかける日本語のやり取りが求められます。Dさんなら、お客様に商品の特徴を説明したり、外国人のお客様の通訳をしたりする場面がこれに当たります。あわせて、商品企画や営業のような、大学で学んだことを使う仕事が含まれていることも必要です。

ガイドラインには、小売店で仕入れや商品企画を行いながら、通訳を兼ねた接客販売もする例が、認められ得るものとして載っています。日本人のお客様への接客もできます。ただし、商品の陳列や店舗の清掃だけをする場合は認められません。

働き方にも決まりがあります。対象は常勤の社員だけで、パートや派遣社員として働くことはできません。在留資格は勤め先の会社を指定して許可されるため、同じ会社の中での異動なら手続きは要りませんが、別の会社に移るときは在留資格の変更が必要です。また、最初に許可される在留期間は原則1年なので、1年後には更新の申請があります。

Dさんの場合は「特定活動46号」で申請する

ここまでを、Dさんに当てはめてみます。この会社は、毎年3か月ほど、週3日はDさんに店頭に立ってもらうつもりです。これは入社直後の研修ではなく、毎年くり返す仕事です。技人国では、対象外の仕事がどこまで混じってよいかに決まった割合は示されていません。店頭販売がこれだけの重さを持つなら、技人国で申請すると、仕事の全体が技人国に当たるかを疑われるおそれがあります。

一方、特定活動46号なら、通販の運営や商品企画とあわせて、通訳を兼ねた店頭販売も、ガイドラインの例に近い形で説明できます。Dさんは学歴と日本語の条件も満たしています。そこでこの会社は、特定活動46号で申請すると決めました。

もし店頭に立つのが年に数日の応援程度で、仕事のほとんどが通販と企画なら、技人国が自然な選択になります。ただし46号では、さきほど見たとおり、1年後の更新に向けた書類の準備や、常勤での雇用といった決まりを会社も引き受けます。そうした手間を避けたい場合、店頭の仕事を研修期間や年数日の応援に絞れるなら、仕事の中心を通販と企画にして技人国で申請する道もあります。どちらとも言い切れないときは、仕事の書き出しを持って、申請先の地方出入国在留管理局に問い合わせるか、入管への申請の取次ぎができる行政書士に相談しましょう。

2つの在留資格の違いを、ここで一度整理しておきます。

2つの在留資格を並べると

技術・人文知識・国際業務(技人国)特定活動46号
向いている仕事企画、営業、事務、技術、通訳・翻訳など、学んだことを使う仕事が中心学んだことを使う仕事に加え、日本語でやり取りしながら接客・販売・製造などの現場にも入る
本人の学歴大学卒業(専攻とのつながりは柔軟に判断)、専門学校卒業(原則として相当程度のつながりが必要)など日本の大学卒業・大学院修了など。専門学校は認定課程を修了した高度専門士のみ
日本語の力試験の条件は原則なしN1、またはBJT480点以上など
給与日本人と同等額以上日本人と同等額以上(日本人の大卒者などの賃金を参考に判断)
気をつけること研修期間を除き、対象外の仕事が中心にならないようにする常勤のみで派遣は不可。別の会社に移るときは変更申請が必要。最初の在留期間は原則1年

在留資格が決まったら、あとは時期を逃さずに手続きを進めるだけです。4月入社から逆算して、いつ何をするかを見ていきましょう。

4月入社なら、12月から1月末に申請する

申請するのは会社ではなくDさん本人で、住んでいる地域を管轄する地方出入国在留管理局やその支局・出張所に出します。本人に代わって書類を出す「取次ぎ」という仕組みもあります。会社の職員が取次ぎをするには入管の承認が必要で、取次ぎができる行政書士に頼む方法もあります。どちらも必須ではありません。

入管は2025年12月の案内で、4月から働き始めたい人は12月1日から1月末までに申請するよう呼びかけました。毎年の案内は入管のサイトに出るので、秋のうちに確認しておきましょう。流れをまとめると、次のようになります。

  • 10月〜11月:内定を出し、雇用契約を結ぶ。任せる仕事の書き出しと、給与の決定もこの時期に済ませる
  • 12月〜1月末:本人が在留資格の変更を申請する。会社は、自社で作る書類を本人に渡す
  • 2月〜3月:審査が終わると、入管からはがきが届く。卒業前に届くこともある
  • 3月下旬:本人が卒業証明書を受け取ってから、必要な書類を持って窓口に行き、手数料を収入印紙で納めて新しい在留カードを受け取る
  • 4月1日:入社。新しい在留カードで、在留資格が変わったことを確かめてから働き始める
採用担当者と内定者が、机で申請の書類を一緒に確認している様子のイラスト

会社が用意するものは、選ぶ在留資格で変わります。Dさんのように特定活動46号で申請する場合、入管のページに挙がっている会社側の書類は次のとおりです。

  • 労働条件を示した書類の写し:雇用契約書や労働条件通知書
  • 会社の事業内容が分かる資料:会社案内、ホームページの写し、登記事項証明書のどれか1つ
  • 会社の代表者に関する申告書:2026年4月15日以降の申請から追加。入管のページに参考様式がある
  • 雇用理由書:労働条件の書類を見ても、日本語を使う仕事だと分からない場合だけ。会社名と代表者名を記す

本人は、卒業を証明する書類やN1の合格を示す書類などを用意します。

技人国で申請する場合は、2025年12月1日から、日本の大学を卒業する人や卒業見込みの人について、会社の書類の一部を省略できるようになりました。入管が会社を分けている区分のうち、提出書類が少ない区分と同じ扱いになる仕組みです。省略するときは、入管のサイトにある様式で説明書を作り、申請書に添えます。

どちらの場合も、最新の書類一覧は、入管のサイトの「在留資格から探す」ページで変更先の在留資格を選べば確認できます。

注意したいのは、許可が出るまでの働き方です。卒業までのDさんは、まだ留学生です。内定が出たからといって、アルバイトの時間を週28時間より増やしたり、正社員と同じ勤務に入ってもらったりすることはできません。

入社したら、ハローワークへの届出も

4月にDさんが入社したら、入管とは別に、ハローワークへの届出があります。外国人を雇い入れたときは、すべての事業主に届出が義務づけられています。正社員のDさんは雇用保険に入るので、雇用保険の資格取得届を、雇い入れた月の翌月10日までに出せば、それで届出をしたことになります。届出を怠ると、30万円以下の罰金の対象になります。

よくある質問

申請書は本人任せでよいのですか

申請するのは本人ですが、仕事の内容や給与など、会社でなければ書けないことがあります。会社が作る書類は年内に仕上げて渡し、本人が書く部分も一緒に確かめておくと安心です。入社後の在留期間の更新でも、同じように会社の書類が必要になります。

卒業までに内定が出なかった留学生は、採用できませんか

採用できる場合があります。卒業後も就職活動を続ける人は、学校の推薦などがあれば、就職活動のための「特定活動」に変えて日本に滞在できます。在留期間は6か月で、1回だけ更新でき、合わせて約1年です。46号とは別の種類の特定活動です。その間に内定が出れば、そこから技人国や46号への変更を申請します。

特定活動46号で採用した人を、別の店舗に異動させられますか

同じ会社の中での異動や配置換えなら、在留資格の手続きは要りません。在留資格は勤め先の会社を指定して許可されるためです。グループ会社など、別の会社に移ってもらう場合は、在留資格の変更が必要になります。

次にやること:内定を出す前に3つを確かめる

Dさんのような留学生を4月に迎えるために、今日からできることは3つです。

1つ目は、任せる仕事の書き出しです。入社1年目に何をどのくらいするのかを、店頭や現場に立つ時間も含めて書き出します。この紙をもとに、技人国か特定活動46号かを決めます。迷ったら、この紙を持って入管や行政書士に相談します。

2つ目は、本人の書類と働き方の確認です。卒業見込みの学校と学部、専門学校なら認定課程かどうか、N1などの合格証、在留カードの期限を見せてもらいます。アルバイトが週28時間を超えた時期がないかも、勤務記録で確かめます。

3つ目は、年内の書類づくりです。雇用契約書と給与を決め、労働条件の書類や会社案内など自社で用意するものをそろえて、12月の受付開始に合わせて本人が申請できるようにします。

在留資格の選び方に迷ったら、外国人材の採用がはじめての企業向けの無料相談窓口「外国人採用ツナガル24」で、在留資格の選定から相談できます。

最終更新:2026年10月 titp360.jp編集部

参考資料

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