用語集 日本語教育・資格試験

生活者としての外国人せいかつしゃとしてのがいこくじん

生活者としての外国人とは?

「生活者としての外国人」とは、文化庁(2024年4月以降は文部科学省)が用いる行政用語で、在留資格や就労目的を問わず、日本に居住して日常生活を営む外国人を指します。

留学・就労以外の地域生活に必要な日本語学習の対象として位置づけられ、多文化共生政策の主要対象でもあります。技能実習生・特定技能外国人・育成就労外国人(2027年4月1日施行予定)・家族滞在者・永住者すべてが「生活者としての外国人」に含まれます。

2007年7月の文化審議会国語分科会日本語教育小委員会設置で、2010年に「『生活者としての外国人』に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案」(全162ページ)が公表されました。

2019年6月28日に日本語教育推進法が公布・施行済で、国・地方公共団体・受入企業の責務が明文化され、2025年9月5日に基本方針が改定済となっています。

「生活者としての外国人」概念の歴史

2007年文化審議会国語分科会の設置

2007年7月、文化審議会国語分科会に日本語教育小委員会が設置され、「生活者としての外国人」概念に基づく日本語教育の枠組み検討が開始されました。これが在留資格や就労目的を超えた包括的な日本語教育政策の起点となっています。

2010年標準的なカリキュラム案の公表

2010年に「『生活者としての外国人』に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案」(A4・全162ページ)が公表され、活用ガイドブック(全75ページ)・教材例集(全281ページ)・日本語能力評価・指導力評価・ハンドブックが体系的に整備されました。生活場面に即した実用的な日本語教育の指針となっています。

2019年日本語教育推進法施行

2019年6月28日に日本語教育推進法が公布・施行済となり、国・地方公共団体・受入企業の責務が明文化されました。「生活者としての外国人」への日本語教育が、行政の責務として法定化された画期的な制度整備です。

2025年9月基本方針改定

2025年9月5日に「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」が閣議決定され改定済です。この改定で、育成就労外国人の受入機関に対し、認定日本語教育機関等での日本語教育機会提供を求める内容や、優良受入機関のインセンティブ認定基準が盛り込まれました。

「生活者としての外国人」の対象と支援内容

項目内容
定義在留資格を問わず日本に居住して日常生活を営む外国人
所管文化庁→文部科学省(2024年4月移管済)
制度的起源2007年7月文化審議会国語分科会設置
標準カリキュラム案2010年公表(全162ページ)
根拠法日本語教育推進法(2019年6月28日施行済)
基本方針2020年閣議決定済・2025年9月5日改定済
対象在留資格技能実習・特定技能・育成就労・家族滞在・永住者など全て
支援主体自治体・地域日本語教室・国際交流協会・受入企業
関連枠組「日本語教育の参照枠」「生活Can do」(493項目)

令和元年度〜令和4年度にかけて作成された「生活Can do」(493項目)が、標準的カリキュラム案を「日本語教育の参照枠」に沿って改定する形で公開されました。日本語教育の標準化と質確保の基盤となっており、地域日本語教室・社内研修・ICT教材などで広く活用されています。

受入企業との関係

育成就労施行と企業責務

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)では受入企業が「認定日本語教育機関等での日本語講習」を提供する義務が課されるため、受入企業も「生活者としての外国人」への日本語教育推進主体に組み込まれます。これまで自治体・地域日本語教室が中心だった支援体制が、企業の積極的関与を含む形に発展します。

優良受入機関のインセンティブ認定

2025年9月改定基本方針では、優良受入機関のインセンティブ認定基準が盛り込まれました。日本語教育に積極的な企業に対する制度的インセンティブが整備される見込みで、長期定着型の人材戦略を進める企業にメリットがあります。

在留資格を問わない包括的支援

「生活者としての外国人」概念により、技能実習・特定技能・育成就労・技人国・家族滞在など、在留資格に関係なく地域に住む外国人すべてが支援対象となります。受入企業の従業員家族(配偶者・子)も含めた包括的な日本語教育支援が可能です。

行政・地域コミュニティとの連携

行政(市区町村窓口)・医療・教育・防災等あらゆる行政分野で本概念が前提となっています。受入企業は、自治体・国際交流協会・地域日本語教室・地域日本語教育コーディネーターとの連携を通じて、従業員の地域定着を支援できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 「生活者としての外国人」と「労働者としての外国人」の違いは?

A. 「生活者としての外国人」は地域住民として日常生活を営む観点での概念で、「労働者としての外国人」は就労者としての観点です。両者は重なる概念で、同じ人材が両方の側面を持ちます。

「生活者」概念は文化庁・地域日本語教育の文脈で、「労働者」概念は厚労省・特定技能・育成就労の文脈で用いられます。受入企業は両側面を意識した支援戦略を構築することが重要です。

Q. 受入企業はどう「生活者としての外国人」概念を活用できますか?

A. 従業員の地域コミュニティ統合を意識した日本語教育・生活支援を、自治体・地域日本語教室と連携して進めることが効果的です。社内研修と地域支援を組み合わせた包括的支援体制が、長期定着率の向上につながります。

育成就労施行(2027年4月予定)に向けて、企業の責務が拡大します。優良受入機関のインセンティブ認定対象を目指す戦略も有効です。

Q. 育成就労外国人も「生活者としての外国人」ですか?

A. はい、含まれます。「生活者としての外国人」は在留資格に関係なく日本に居住して日常生活を営む外国人を指す包括的概念で、育成就労外国人も日常生活を営む地域住民として支援対象となります。

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)では、就労者としての側面と生活者としての側面の両方への支援が制度的に組み込まれています。受入企業は両側面を統合した支援設計が求められます。

Q. 標準的なカリキュラム案はどう活用できますか?

A. 2010年公表の「『生活者としての外国人』に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案」は、自治体・地域日本語教室・社内研修のカリキュラム設計の指針として活用できます。「日本語教育の参照枠」の「生活Can do」と組み合わせた最新の運用が標準化されています。

活用ガイドブック・教材例集・能力評価・ハンドブックなどの周辺資料も充実しており、現場で実践的に活用可能です。

Q. 「生活者としての外国人」への支援は誰が責任を持ちますか?

A. 日本語教育推進法(2019年6月施行済)により、国・地方公共団体・受入企業の3者に責務が明文化されています。それぞれが連携して包括的支援を実現する仕組みです。

2025年9月改定基本方針では、育成就労施行を見据えた受入企業の責務拡大が明記されています。多文化共生社会の構築に向け、企業の主体的な関与が一段と重要となっています。

参考資料

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