用語集 日本語教育・資格試験

日本語ICT教材にほんごICTきょうざい

日本語ICT教材とは?

日本語ICT教材とは、情報通信技術(ICT)を活用して提供される日本語学習教材の総称で、動画・音声・インタラクティブコンテンツ・オンライン学習プラットフォーム等を含みます。

文化庁(2024年4月以降は文部科学省に所管移管済)が「生活者としての外国人」のための日本語教室空白地域解消推進事業の一環として整備するICT教材と、国際交流基金が海外向けに提供する教材の二系統が中核となっています。

代表的なのは文化庁開発の「つながるひろがる にほんごでのくらし」(通称:つなひろ)で、2020年6月1日に公開されました。2021年に文化審議会が策定した「日本語教育の参照枠」を踏まえて整備された「生活Can do」(493の言語能力記述文)に基づき、生活場面別の動画コンテンツが拡充されています。

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)施行に向けて、海外で活用可能な無料ICT教材の重要性が増しています。

主な日本語ICT教材

つながるひろがる にほんごでのくらし(つなひろ)

文化庁が2020年6月1日に公開した代表的なICT教材です。18言語以上に対応(中国語簡体字・繁体字、英語、フィリピン語、フランス語、インドネシア語、クメール語、韓国語、モンゴル語、ミャンマー語、ネパール語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、タイ語、ウクライナ語、ベトナム語、日本語)。フランス語は2023年12月に追加されました。

3レベル構成の動画中心教材で、年間約147万アクセス(2022〜2023年度)を記録しています。

いろどり 生活の日本語

国際交流基金「いろどり 生活の日本語」は入門(A1)・初級1(A2)・初級2(A2)の3段階で、PDFと音声を無料ダウンロード可能です。2026年3月31日に「いろどり 生活の日本語 初中級」が公開済で、教材ラインナップが拡充されています。海外送出国の日本語学習者に広く活用されています。

まるごと 日本のことばと文化

国際交流基金「まるごと 日本のことばと文化」はJF日本語教育スタンダード準拠の海外向け本格教材です。CEFRの考え方を採用しており、世界各国の日本語学習者に体系的な学習機会を提供しています。

「日本語教育の参照枠」準拠の動画教材

2021年文化審議会策定の「日本語教育の参照枠」に基づく「生活Can do」(493項目)に対応した動画教材が継続的に追加されています。買い物・医療・防災・子育て・行政手続など、生活場面別の実用的な学習が可能です。

日本語ICT教材の基本情報

項目内容
所管文化庁→文部科学省(2024年4月移管済)
主要教材(国内向け)つながるひろがる にほんごでのくらし(つなひろ)
主要教材(海外向け)いろどり 生活の日本語、まるごと 日本のことばと文化
「つなひろ」公開2020年6月1日
「つなひろ」対応言語18言語以上
「いろどり 初中級」公開2026年3月31日(施行済)
根拠枠組み「日本語教育の参照枠」(2021年文化審議会策定)の「生活Can do」
料金無料(インターネット環境があれば利用可)
利用場面自学自習、地域日本語教室、社内研修、空白地域での学習

2024年に文化審議会国語分科会日本語教育小委員会で「ICTを活用した日本語教育に関する検討の観点の整理」が審議され、生活・留学・就労分野別のICT教材開発、教師研修プログラムの整備が方針化されました。今後の整備加速が見込まれています。

受入企業との関係と活用方法

社内日本語研修との並行活用

受入企業は社内日本語研修と並行して「つなひろ」「いろどり」を自学自習教材として推奨できます。無料で利用できる公的教材であり、社内研修コストを抑えつつ従業員の日本語学習を支援する有効な手段です。

育成就労施行への対応

育成就労制度(2027年4月1日施行予定)では入国前にA1相当(JLPT N5等)の合格または相当講習の受講が必須化されます。海外で活用可能な無料ICT教材(特に「いろどり 入門」)の重要性が増しており、送出国での事前学習教材として広く活用される見込みです。

空白地域での学習機会確保

空白地域解消推進事業ではアドバイザー派遣に加え、ICT教材の活用が日本語教室未設置自治体での学習機会確保の柱となっています。地方の中小企業・農業法人で外国人材を受け入れる際、ICT教材の活用が日本語学習機会の確保に直結します。

家族支援への活用

特定技能2号・高度専門職の家族帯同者向けの日本語学習機会としても、ICT教材は重要です。配偶者・子の日本語能力向上を、受入企業の社内研修と地域日本語教室・ICT教材の3本柱で支える体制構築が推奨されます。

よくある質問(FAQ)

Q. 日本語ICT教材はどう利用できますか?

A. 「つなひろ」「いろどり」「まるごと」などの公的教材は、インターネット環境があれば無料で利用可能です。文化庁・文部科学省・国際交流基金の各公式サイトからアクセスできます。

自学自習・社内研修・地域日本語教室での補助教材・送出国での事前学習など、幅広い場面で活用できます。多言語対応も進んでおり、学習者の母語に合わせた選択が可能です。

Q. 「つなひろ」と「いろどり」の違いは?

A. 「つなひろ」は文化庁が国内在住の外国人向けに整備した動画中心の教材で、18言語以上に対応しています。「いろどり」は国際交流基金が海外向けに整備したPDF・音声教材で、入門(A1)・初級1(A2)・初級2(A2)・初中級の段階構成です。

用途・対象が異なるため、受入企業は両方を併用することで国内外の学習場面に対応できます。育成就労施行に向けて、海外送出国での「いろどり」活用が一段と重要となります。

Q. 「日本語教育の参照枠」と「生活Can do」とは?

A. 「日本語教育の参照枠」は2021年文化審議会が策定したフレームワークで、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の考え方を日本語教育に応用しています。「生活Can do」は493項目の言語能力記述文で、生活場面別の到達目標を具体化したものです。

ICT教材・地域日本語教育・社内研修などのカリキュラム設計に活用され、日本語教育の標準化と質確保の基盤となっています。

Q. 育成就労外国人にICT教材は使えますか?

A. はい、活用できます。育成就労制度(2027年4月1日施行予定)の入国前A1相当(JLPT N5等)取得には、「いろどり 入門」などの無料ICT教材が有効です。送出国での事前学習教材として広く活用される見込みです。

来日後も「つなひろ」を用いた自学自習で、社内研修・地域日本語教室と並行した学習が可能です。コスト効率の高い学習体制を構築できます。

Q. ICT教材だけで日本語要件を満たせますか?

A. ICT教材は学習教材であり、日本語要件の証明はJLPT・JFT-Basicなどの公的試験合格証で行います。ICT教材で学習し、試験で能力を証明する組み合わせが標準パターンです。

JFT-Basicは2026年8月からA1・A2.1判定対応開始予定で、育成就労の段階要件への対応が一段と整備されます。ICT教材での学習成果を試験で証明する学習設計が推奨されます。

参考資料

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