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特定技能の健康診断|入管に出す期限と入社後に会社がすること

海外から来る人と日本にいる人が、同じ医療機関で健康診断を受けて書類を整える流れを示した図

最終更新:2026年11月 titp360.jp編集部

特定技能の外国人を採ることが決まり、在留資格の書類を集め始めたら「健康診断個人票」という様式が出てきた。いつ、どこで受けさせればよいのか、会社の健康診断とは別なのかと迷っていませんか。結論から言うと、特定技能で必要な健康診断は2つあります。入管に出すための健康診断と、入社後に会社が法律で行う健康診断です。入管の分は申請の日から数えて、海外から呼ぶなら3か月以内、日本にいる人の切り替えなら1年以内に受けたものが必要です。

この記事では、架空の会社の例で順番に見ていきます。例の会社は、地方で総菜と弁当を作る食品工場です。2027年4月1日の入社で、特定技能1号(現場で働く人のための在留資格)の2人を採ることにしました。

  • Aさん:ベトナムに住むベトナム国籍の人。海外から呼ぶ。仕事は日中の盛り付けライン
  • Bさん:他県の水産加工場で技能実習を終える人。日本にいて、在留資格を切り替える。仕事は夜勤の加熱ライン

担当は総務のあなたです。細かい日付は、出てくる場面で順に説明します。(例は説明のための架空のものです)

健康診断は「入管の分」と「会社の分」の2つ

まず、2つの健康診断の違いを整理しておきましょう。

1つ目は、入管に出す健康診断です。特定技能には「健康状態が良好であること」という要件があります。出入国在留管理庁は、受入企業向けの手引きである「運用要領」で、その確認のために「健康診断個人票」と「受診者の申告書」を出すよう求めています。2人とも必要です。技能実習を終えたBさんは試験が一部免除されますが、健康の要件は免除されません。

2つ目は、会社が労働安全衛生法に基づいて行う健康診断です。人を雇い入れるときの「入社時の健康診断」と、その後1年以内ごとに1回の「定期健康診断」があります。入社時の健康診断の項目は、次の11と決まっています。

  • 既往歴と業務歴の調査、自覚症状と他覚症状の検査
  • 身長・体重・腹囲・視力・聴力、胸部エックス線検査、血圧
  • 貧血・肝機能・血中脂質・血糖・尿の検査、心電図検査

これは日本人の社員と同じ義務で、運用要領も、受入企業がこれを適切に行うよう求めています。

2つは目的も期限も違いますが、検査の項目はほぼ同じです。受ける日を工夫すれば、1回で両方に使えることもあります。まずは入管の分の期限から見ていきましょう。

期限は「海外から呼ぶか、日本で切り替えるか」で変わる

入管に出す健康診断の期限は、申請の種類で決まります。

海外から呼ぶ場合は、在留資格認定証明書(日本に呼ぶための証明書)を会社が申請します。このときは、申請の日から遡って3か月以内に医師の診断を受けていなければなりません。会社はAさんの申請を2026年12月15日に出す予定です。そこで、Aさんには11月25日ごろに現地の病院で受けてもらうことにしました。申請の3週間ほど前に受けるのは、結果が出るのを待ち、書類を整える時間を取るためです。結果が出るまでの日数は病院によって違うので、予約のときに聞いておきましょう。

日本にいる技能実習生や留学生が特定技能に変わる場合は、条件がゆるやかです。申請の日から遡って1年以内に、日本の医療機関で受けた診断書であれば出して差し支えない、とされています。この在留資格変更許可申請(以下、変更の申請)をBさんは2027年1月15日に出すので、2026年1月16日以降に日本で受けた健康診断なら、期限の面では使えます。

海外から呼ぶAさんについては、「結核にかかっていない証明書も要るのでは」と心配する担当者もいるでしょう。フィリピン・ベトナム・インドネシア・ネパール・ミャンマー・中国の国籍の人が長く住むために来るときは、「入国前結核スクリーニング」でその証明書を求められます。ただ、2026年9月25日改正の政府のガイドラインは、特定技能の外国人を当面対象外としています。Aさんには要りませんが、扱いが変わることもあるので、申請前に最新版を確かめましょう。

期限が分かったら、次は中身です。何を受けて、どんな書類にしてもらえばよいのでしょうか。

何を受けて、誰に何を書いてもらうか

健康診断個人票は、出入国在留管理庁の「特定技能関係の参考様式」のページに載っている様式(参考様式第1-3号)です。項目は入社時の健康診断の11項目と同じで、BMIの欄が加わっています。様式には「全ての検査項目について受診が必要です」と書かれています。1つでも欠ければ、そのままでは使えません。

入社時の健康診断と違うのは、最後に医師が署名する欄があることです。そこには「日本で安定して続けて働くことについて、感染症にかかっておらず、健康上の支障もない」という趣旨の文が入っています。運用要領は、別の形式の診断書でもかまわないとしつつ、同じ項目を検査し、この点について医師が署名していることを求めています。

言葉にも決まりがあります。個人票は、本人が十分に理解できる言葉で作り、日本語訳も一緒に出します。出入国在留管理庁のページには、ベトナム語・英語・インドネシア語など10の言語の翻訳様式があります。Aさんの受診では、会社がベトナム語の様式と日本語の様式を用意し、本人に渡して病院に持って行ってもらいます。現地で人材を送り出す送出機関などが間に入るなら、誰が病院を予約し、誰が様式を渡すかを先に決めておきましょう。

もう1枚の受診者の申告書は、本人が書く短い書類です。「通院歴・入院歴・手術歴・薬の服用歴をすべて医師に伝えたうえで診断を受けた」と本人が署名します。健康診断を受けた後に書くものなので、先に書かせないよう注意しましょう。

病院には受診の前に様式を見せ、全項目の検査と署名ができるかを確かめておきます。それでも、つまずく所が3つあります。

つまずきやすい3つの場面

1つ目は、胸部エックス線で気になる影などの「所見」が出たときです。個人票の注意書きでは、その場合は喀痰検査(たんの検査)を行い、発病している結核(活動性の結核)でないことを確かめるよう求めています。追加の検査の結果を待つ分、申請の日程は後ろにずれます。医師の診断欄に異常がある場合は、働くことに問題がないとする医師の意見を書いた文書も一緒に出します。医師や病院が作ったと分かるものに限られるので、受診した医療機関に頼みましょう。

2つ目は、期限切れです。Aさんの健康診断は11月25日ごろなので、使えるのは2027年2月25日ごろに出す申請までです。書類の準備に手間取り、申請が3月にずれ込めば、受け直しになります。申請の日が動いたら、健康診断の日も一緒に見直しましょう。

3つ目は、Bさんのように、実習先で受けた定期健康診断を使おうとするときです。Bさんは2026年7月に、実習先の定期健康診断を受けていました。1年以内なので期限は満たします。ところが、定期健康診断では、医師が必要ないと判断した項目を省くことが法律で認められています。若い人では、心電図や血液の検査が省かれていることがあります。Bさんの結果も、心電図と血液の検査が省かれていました。これでは個人票の「全ての検査項目」を満たしません。結果の紙を受け取ったら、まず項目が全部そろっているかを確かめましょう。

Bさんの健康診断は受け直すことになりました。どうせ受け直すなら、入社の日も見ながら受ける日を決めたいところです。

入社日から見ると、もう1回必要かどうかが分かる

健康診断を終えた外国人社員と総務担当者が、医療機関の待合で結果について話している様子

ここで、会社が行う入社時の健康診断に話を戻します。労働安全衛生規則は、常時使う人を雇い入れるときに、11項目の健康診断を行うよう会社に求めています。正社員として迎える2人は、もちろん当たります。パートで雇う場合の扱いに迷うときは、労働基準監督署に確かめましょう。ただし、医師の健康診断を受けてから3か月たっていない人がその結果を出したときは、同じ項目を省けます。

この「3か月」が、2人で答えを分けます。

Aさんの健康診断は11月25日ごろです。入社の2027年4月1日には4か月以上たっています。入管に出した結果は、入社時の健康診断の代わりになりません。会社は、Aさんの入社に合わせて、日本の医療機関で入社時の健康診断を受けてもらいます。海外から呼ぶ場合、健康診断は申請の3か月以内に受け、その後に審査、来日と続きます。審査や来日にかかる期間を足しても、受診から入社までが3か月に収まる見込みがなければ、2回目があるものとして予定と予算に入れておきましょう。

Bさんは違います。会社はBさんに、2027年1月8日ごろに日本の医療機関で、個人票の様式どおりに全項目を受けてもらうことにしました。1月15日の変更の申請には1年以内で使えます。そして入社の4月1日は、受診から3か月以内です。結果の写しを出してもらえば、入社時の健康診断の項目に代えられます。受ける日を少し工夫するだけで、1回で両方に使えるわけです。Bさんはまだ実習先に在籍中なので、受診の日に休めるよう、実習先と、技能実習を監理している監理団体に早めに相談しておきましょう。

入社した後も、健康診断は続きます。

入社後は毎年。夜勤の人は6か月ごと

入社後は、日本人の社員と同じように、1年以内ごとに1回の定期健康診断を行います。Aさんはこれに当たります。

Bさんは、午後10時から翌朝までの夜勤の加熱ラインに入ります。労働安全衛生規則では、深夜業を含む仕事に常に就いている人は、6か月以内ごとに1回、健康診断を受けることになっています。胸部エックス線検査だけは1年以内ごとに1回で足ります。Bさんの入社時の分は、1月8日ごろの受診の結果で代えています。6か月をどこから数えるかで迷わないよう、早いほうの1月の受診日から数えて、7月上旬までに次を受けてもらうことにしました。夜勤の回数が少ない人が当たるかどうか迷うときは、労働基準監督署に確かめましょう。

健康診断が済んだ後の扱いにも決まりがあります。結果は、本人に知らせる義務があります。日本語の結果の紙を渡すだけでは伝わらないこともあるので、要点を本人の分かる言葉で説明しましょう。会社が行った健康診断の結果は、会社の記録として5年間保存します。入管に出した個人票とは別の、社内の書類です。

この1年・6か月という間隔は、実は申請の段階で書類に書いています。特定技能の申請で出す雇用条件書(参考様式第1-6号)には、「初回の定期健康診断」の時期と、その後の間隔を書く欄があるからです。例えば、Aさんは「2028年3月(その後1年ごとに実施)」、Bさんは「2027年7月(その後6か月ごとに実施)」のように書き、実際の実施とずれないようにします。

最後に、多くの担当者が気にするお金の話です。

費用は、入社後の分は会社が持つ

入社時と毎年の健康診断は、法律で会社に実施が義務づけられたものです。厚生労働省(労働局)の案内でも、費用は会社が負担するものとされています。受診にかかった時間の賃金も、会社が払うことが望ましいとされています。Bさんの1月の健康診断は入社時の分を兼ねるので、会社が持つと決めておくと分かりやすいでしょう。

一方、入管に出すための入社前の健康診断について、誰が払うかを決めた決まりは、確認した範囲では見当たりませんでした。会社が持つのか、本人に払ってもらうのかを、先に決めておきましょう。運用要領は、本人が入国前に負担する費用について、額と内訳を本人が十分に理解して合意していることを求めています。本人に払ってもらうなら、額と内訳を前もって説明し、書面で合意を取っておくと安心です。

ここまでの流れを、2人の段取りにまとめてみます。

Aさん・Bさんの健康診断の段取り

時期Aさん(海外から呼ぶ)Bさん(日本で切り替える)
2026年11月上旬病院に個人票の様式(ベトナム語版と日本語版)を見せ、全項目の検査と医師の署名ができるか、結果が出るまでの日数を確かめる実習先の定期健康診断(7月)の結果を見る。心電図と血液の検査が省かれていたので受け直しを決める
11月25日ごろ現地の病院で受診。受診後に申告書を書く-
12月15日在留資格認定証明書を申請(受診から3か月以内。2027年2月25日ごろまでの申請なら使える)-
2027年1月8日ごろ-日本の医療機関で個人票の様式どおりに受診。受診後に申告書を書く
1月15日-在留資格の変更を申請(受診から1年以内)
4月1日の入社時日本で入社時の健康診断を受ける(受診から3か月を超えるため)1月の結果の写しを出してもらい、入社時の健康診断に代える(受診から3か月以内)
入社後1年以内ごとに定期健康診断(初回は2028年3月)夜勤のため6か月以内ごと(次は2027年7月上旬まで)

よくある質問

健康診断の費用は、いくらくらいかかりますか?

公的な目安は示されていません。医療機関や国によって違います。個人票の様式を見せて、全項目と医師の署名、翻訳の扱いまで含めた見積もりを、2〜3か所から取って比べましょう。

登録支援機関に支援を任せていれば、健康診断も任せられますか?

登録支援機関は、特定技能の人の生活面の支援を会社から引き受ける機関です。病院探しや本人への説明の手伝いを頼むことはできても、入社時と毎年の健康診断を行う義務は、雇っている会社にあります。何を頼むかは、委託の契約の内容で確かめましょう。

今日から始めること

特定技能の採用が決まったら、今日のうちに次の3つを済ませましょう。

1つ目は、申請の日と入社の日を決め、そこから健康診断の日を逆算することです。海外から呼ぶなら申請日の3か月前から、日本で切り替えるなら1年前からが使える範囲です。受診から入社日までが3か月以内に収まれば、1回で両方に使えます。2つ目は、受診する医療機関に個人票の様式を渡し、全項目の検査と医師の署名ができるか、結果が出るまで何日かかるかを確かめることです。3つ目は、入社前の健康診断の費用を誰が持つかを決め、本人に説明することです。

様式は、参考資料に載せた出入国在留管理庁のページから手に入ります。言葉の意味は、用語集の「入社時健康診断」「健康診断義務」「在留資格認定証明書(COE)」で確かめられます。技能実習生を特定技能に切り替える手続き全体は「技能実習から特定技能への移行手続き」、入社後の保険の手続きは「外国人社員の社会保険」で詳しく扱っています。

特定技能の採用の進め方で迷ったら、外国人採用ツナガル24で無料で相談できます。

参考資料

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