4年越しの想いが実現 カンボジア技能実習生

コラム
COLUMN
「外国人技能実習リアルタイム24時」 ー東南アジア各国からの現地報告ー ビル新聞2021年11月22日号掲載「4年越しの想いが実現 カンボジア技能実習生」の話題。

1.カンボジア実習生 佐波郡玉村町のナタリーさん

 

全地域での緊急事態宣言が明けた10月初旬、群馬県南部に位置する佐波郡玉村町を訪れた。

高崎駅から電車とバスを乗り継ぐこと1時間弱、利根川沿いに田園風景が広がるのどかな町だ。

ここでカンボジア実習生オン・ナリーさん(21)とお会いした。

2.高校時代に夢見た来日への道のり

初対面では、カンボジア人特有の控えめな印象を受けたが、丁寧な立ち居振る舞いや、真っすぐに目を見て話す姿勢から、21歳とは思えないしっかりした生き方が垣間見えた。

オンさんが日本行きを夢見たのは、4年前の高校時代に遡る。SNSで見た東京スカイツリーや富士山、満開のさくら等の日本風景に心惹かれ、いつか行ってみたいと思うようになったという。

行動に移すキッカケとなったのは、友人からの介護技能実習生の誘いであった。大学に進学したばかりであったが、「自分の道は自分で選択して良いよ」という母からの後押しが決定打となった。

日本へ行けると心躍らせていたが、壁にぶち当たることになる。

技能実習の介護職は、求人数は多いのだが、入国時に日本語レベルN4が必須である。個人差はあるものの、半年から1年ほど勉強すれば取得出来るレベルとされている。しかし、会話レベルが高くても読み書きが苦手だと習得が難しい。

オンさんは惜しくも後者になってしまった。追加の授業料を支払う余裕はなく、日本行きが閉ざされ悶々と過ごす日々が続いたが、農業職ならカンボジア人の需要が高く、日本語レベルもクリア出来ると知り、二度目のチャレンジを試みることにした。

1年間日本語学習から離れていたが、みるみる感覚を取り戻し、6カ月間の学習を終える頃には、通訳なしである程度話せるようになったという。「一度挫折しかけましたが、諦めずに挑戦したら、あの時の学習経験が活かせて、農業ではすぐに採用してもらえました」と嬉しそうに振り返る。

ところが入国を目前に控えた2020年3月、コロナウイルスの影響により入国が制限されることとなった。先の見えない待機期間は、不安を拭うべく自主学習に励んでいたという。

3.念願の入国後 ~新たな夢の出現~

 

そして2021年1月、晴れて日本入国が叶った。

「群馬は山が多いと聞いていたけど、想像より山は遠くにあって(笑)スーパーも自転車で行ける距離で快適です」と念願の日本での生活に満足気だ。実習先で栽培しているほうれん草やクレソンは、日本に来て初めて見た野菜だったが、採れたての野菜は新鮮で美味しく、自宅に持ち帰ってよく食べるそうだ。 

今後の計画を聞くと、「2年間は母への借金返済と仕送りに、残り1年は日本観光や帰国後の開業資金にあてたい」そうだ。自分で選んだ商品を並べるコスメサロン開業という夢を真っすぐな目で語るオンさん。

刈り取りをひかえた稲穂のように、実りを迎える日を見据えている。

 

(※このコラムは、ビル新聞2021年11月22日号掲載「リアルタイム外国人技能実習24時」Vol.33を加筆転載したものです。)