技能実習生受入れの新常識“レジデンストラック”

コラム
COLUMN
「外国人技能実習リアルタイム24時」 ー東南アジア各国からの現地報告ー ビル新聞2020年10月26日号掲載「技能実習生受入れの新常識“レジデンストラック”」の話題。
レジデンストラック

1.レジデンストラックとは

レジデンストラック

(出典:「日本への入国/再入国/帰国の際に利用可能な枠組み」資料より) https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100109737.pdf

日本政府は、新型コロナウイルスの拡大を受けた入国制限措置について、10月1日から全世界を対象に制限を緩和し、中長期の在留資格を持つ外国人に入国を認めることを発表しました。もともと、タイやベトナムなど比較的感染状況が落ち着いている一部の国については、「レジデンストラック」を条件にビジネス関係者の入国を認めていたが、今回の緩和は国を限定せず、これらに加えて医療や教育の関係者、留学生などの在留資格を持つ外国人にも新規の入国を認めるものです。

■該当する在留資格一覧(就労・長期滞在)

「経営・管理」、「企業内転勤」、「技術・人文知識・国際業務」、「介護」、 「高度専門職」、 「技能実習」、「特定技能」、 「特定活動」 「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「興行」、「技能」、「文化活動」、「留学」、「研修」、「家族滞在」、「定住者」

レジデンストラックとは、在留資格の認定がある外国人の入国を、一定のルールを課した上で認める制度で、入国者には、出国前、入国時、入国後それぞれの段階において、厳密なルールが設けられています。※入国時のPCR検査の設備状況により、受入れ可能な空港は、主に成田・羽田・関西の3空港。一部、中部・福岡の2空港も対象。入国後の14日間は、いわゆる隔離状態にする必要があり、

〈1〉公共交通機関不使用〈2〉ホテルなどでの待機〈3〉健康フォローアップ〈4〉位置情報の保存

などが義務付けられています。これらにかかる費用負担については、技能実習法の観点から、受入企業や監理団体の責任があることを踏まえ、受入企業が負担することになります。違反行為をすると、受入企業または団体名の公表や、以後の受入れが不可になる可能性もある。企業や監理団体は、従来とは異なる多くの点について、厳重に注意をはらわなければいけません。手続きに関しては、各国必要書類が異なり、随時更新されておりますので、外務省のホームページをご覧ください。

レジデンストラックについての詳しい情報はこちら>

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2.14日間に渡る「待機場所の確保」

ホテル

待機場所として、個室、バス、トイレの個別管理等ができる施設を確保する必要があります。通常、実習生の住まいは、二人部屋や四人部屋のようにルームシェアが定番です。しかし、待機期間に関しては、キッチン等の個室外の共有スペースの使用を禁止されている事から、それとは別にビジネスホテルやワンルームマンションを用意しなければなりません。また、飲食店やコンビニへ行くことも認められないことから、一日三食の食事や日用品の供給も必須となります。受入人数によっては、複数個所に実習生が分散してしまう事もあり、コロナ前の受入れと比べ、費用面、運用面において様々な負担を求められます。

技能実習生の入国後講習に至っては、本来、配属までの約1ヵ月間は対面で法的講習等を行いますが、この待機期間が設けられたことで、オンラインでの講習が認められています。(講師と実習生の双方が同時に意思疎通が取れる状態)

3.タイより技能実習生を受入れた「HRS事業協同組合」

HRS事業協同組合
神奈川県の監理団体「HRS事業協同組合」は、9月のタイ人2名の実習生を皮切りに、既にレジデンストラック下での入国を進めており、10月以降もベトナム、カンボジア、モンゴルと、順次、各国実習生の入国を予定しています。待機場所の多くは、ワンルームマンションで、食事をはじめとした生活面の支援は、従業員が日に何度も巡回して対応しているという。代表理事の齋藤 貢一さんは、コストの面も重要ではあるものの、入国直後の実習生の心理的なケアを第一とし、一日も早く日本の生活に慣れてもらうことが大切と話す。そういった視点で監理団体がどう建て付けるかがポイントだと指摘しています。

タイ実習生へ待機期間中について質問したところ、「食料調達にあたり、何度も監理団体へお願いするのを申し訳なく思っていました。」と、心苦しく感じている面があったようです。レジデンストラックを無事に終え、ようやく実習のスタート地点に立った実習生。その表情はすっかり和らぎ、「もっと日本語が喋れるように勉強を頑張りたい。」と希望に溢れていました。

レジデンストラックでの受入れは今後しばらく続くと考えています。中には、コロナウイルスの終息を待ってから、技能時実習生の受入れを進めたいという企業もいますが、この運用を受入れ、しっかり対応が出来る監理団体へ依頼する事が受入企業と実習生にとって重要だと感じました。

(※このコラムは、ビル新聞2020年10月26日号掲載「リアルタイム外国人技能実習24時」Vol.22を加筆転載したものです。)

この記事を書いたライター
川口 環

中央大学卒業後、TOTO株式会社を経てWebマーケティング会社 株式会社ジェイティップスを設立。約20年間多数の大手企業Webマーケティングに関与し、グロースハックさせる。昨今は、外国人技能実習の無料相談ポータルサイト「外国人技能実習360°」運営責任者として、海外送出機関のリサーチと受入企業の相談にあたっている。年間20回以上海外出張し、約150日間を東南アジア各国で活動する。