外国人技能実習制度の現状
外国人技能実習制度をめぐって
技能実習法の見直し・成立の背景
類型 | 件数 |
---|---|
研修・技能実習計画との齟齬 | 38 |
名義貸し | 51 |
偽変造文書等の行使・提供 | 94 |
旅券・在留カードの取上げ | 16 |
賃金等の不払 | 121 |
人権を著しく侵害する行為 | 6 |
実習実施機関における不正行為の報告不履行・実習継続不可能時の報告不履行 | 1 |
監理団体における不正行為等の報告不履行・監査,相談体制構築等の不履行 | 11 |
不法就労者の雇用等 | 23 |
労働関係法令違反(賃金等の不払いを除く) | 13 |
再度の不正行為 | 3 |
保証金の徴収等 | 4 |
講習期間中の業務への従事 | 2 |
これまで、外国人技能実習制度をめぐってはこれまで多くの不法滞在者を生んだほか、違法な長時間労働や賃金不払いなど問題が多く残されています。法務省入国管理局によると、平成28年の受入れ形態別「不正行為」機関数は、239機関(実習実施機関(企業単独型)2機関、監理団体35機関、実習実施機関(団体監理型)202機関)、類型別では、「賃金等の不払」の121件(31.6%)と「偽変造文書等の行使・提供」の94件(24.5%)で半数以上を占めています。 このことを背景に、外国人技能実習制度の「開発途上地域等の経済発展を担う人づくりに協力する」という制度趣旨を徹底するため、管理監督体制を強化し、技能実習生の保護等を図るために新しい技能実習法が成立・施行されました。
技能実習制度の見直しの内容
見直された「技能実習法」では、受入企業および監理団体への監督強化などが中心に盛り込まれています。
受入企業は技能実習生ごとに技能実習計画を作成し、その技能実習計画が適当である旨の認定を受けることになり、監理団体は新たに監理事業を行う場合は事前に許可を受ける必要があり、かつ技能実習の実施状況の監査その他の業務を省令で定める基準に従って実施することになりました。
また、条件付きではありますが技能実習の最長期間が3年間から5年間になり、実習分野に「介護」が加わり、さらに技能実習生に対する相談・情報提供体制を強化するなど、実習生を保護を目的とした内容も多く盛り込まれています。
技能実習生の失踪者数
2011年度 | 2012年度 | 2013年度 | 2014年度 | 2015年度 | |
---|---|---|---|---|---|
中国 | 636 | 906 | 1,709 | 1,902 | 1,599 |
ベトナム | 256 | 371 | 752 | 787 | 1,015 |
インドネシア | 93 | 105 | 126 | 200 | 138 |
ネパール | 2 | 21 | 93 | 81 | 80 |
ミャンマー | 10 | 6 | 6 | 26 | 72 |
カンボジア | 1 | 2 | 6 | 9 | 65 |
フィリピン | 49 | 33 | 24 | 41 | 56 |
スリランカ | 2 | 13 | 33 | 23 | 39 |
タイ | 51 | 45 | 48 | 33 | 18 |
モンゴル | 7 | 17 | 7 | 11 | 16 |
その他 | 8 | 13 | 18 | 26 | 12 |
合計 | 1,115 | 1,532 | 2,822 | 3,139 | 3,110 |
上の図はそれぞれ技能実習2号の行方不明者数の推移と国籍別の行方不明者数の推移を表したものです。
2010年度を皮切りに失踪者はうなぎのぼりに増え続け、近年ようやく歯止めがかかりはじめています。
2015年度を見ると、行方不明報告者数は3,110人(前年比0.9%減)。おもな国籍別の内訳籍別の内訳を見ると、中国1,599人(全体の 51.4 %)、ベトナム1,015 人(全体の32.6%)、インドネシア138人(4.4 %)でした。
ただし、この数字はあくまで入国2、3年目にあたる技能実習生2号だけをとりまとめたものです。入国1年目にあたる技能実習1号の失踪者を含めると、全体の失踪者の数はまだまた多いといえます。
技能実習生1号、2号についての区分についてはよくある質問をご確認ください。
「技能実習第1号」「技能実習第2号」「技能実習第3号」のそれぞれの違いは何ですか?
技能実習生の受入において大切なのは、技能実習生の国民性、個性を尊重することです。
国や文化により生活習慣や考え方は異なります。異文化に触れる機会はそう多くない方も多いかと思いますが、異文化を尊重する姿勢はとても大切です。相手の文化に敬意を払うことで技能実習生個々人のポテンシャルを最大限に引き出すことも可能です。日本式を強制するのではなく、相手に敬意を払うことで個性を引き出し、企業としての生産性を上げている事例もあります。
受入企業、監理団体、送出機関の3社が協力して技能実習生の労働環境をつくり、発展性のある環境づくりを築くことが何より重要です。