バングラデシュの技能実習生事情

コラム
COLUMN
「外国人技能実習リアルタイム24時」 ー東南アジア各国からの現地報告ー ビル新聞2023年11月13日号掲載「バングラデシュの技能実習生事情」の話題。

1.技能実習生送出国の新たな注目国

これまで技能実習生送出国の主翼を担ってきたベトナムの穴を埋めるべく、現場では様々な国からの受け入れが加速している。なかでもバングラデシュからの技能実習生は、注目を集める存在だ。

バングラデシュは、インドの東、中国の南、タイ・ミャンマーの西に位置する国で、人口密度の高さでは世界有数である。

国土は日本の4割と小さいが、そこに日本の人口の約1.3倍の人々が暮らしているようなイメージだ。労働者の最低月収は4,000円程度と低く、失業者も多い。

一方、平均年齢は24歳と非常に若く、潜在的な労働人口は多い。産業は縫製業が盛んで、輸出全体の85%を占める。現在、ユニクロやZARAなどのファストファッション企業が進出しており、経済成長の真っ只中である。

2.現地政府の積極策で増える訪日希望者

出入国管理統計によると、留学・技能実習・特定技能のいずれかの在留資格を持つ新規入国者数は、2018年に1,178人(留学:1,137人、技能実習:41人)であったのに対し、2022年には3,953人(留学:3,609人、技能実習:341人、特定技能:3人)にまで増加している。

最近では、7月に実施された日本語能力試験の応募者数が初めて5,000人を超え、過去最高を記録したことで話題となった。

バングラデシュ政府は技能実習生の送り出しに力を入れており、現地にはすでに日本語学校が100校を数える。他国の技能実習生は、面接に合格してから日本語の勉強を開始するのが一般的であるが、バングラデシュにおいては、日本行きを目指して先に日本語学習をスタートしている人材が多い。

3.世界有数の人材輸出国バングラディッシュの高いポテンシャル

最近、バングラデシュを初めて視察した愛知県の人材コンサルティング会社、株式会社minobordoの井村稔さんは、「建設職種の人材については、もっともポテンシャルの高い国かもしれない。」という。

バングラデシュは自国での働き口に乏しく、200万人以上が仕事に就くことができていない状況だ。その結果、中東やマレーシアをはじめ約170カ国へ出稼ぎ派遣を行う世界有数の人材輸出国となっている。

性格は温厚で人懐っこく素直であり、物覚えが早い。建設、農業等の過酷な仕事をやり遂げる粘り強さもある。ドバイの著名な建造物は、その殆どにバングラデシュ人が関与しているといわれるほどだ。

井村さんは、「彼らの勤勉さや適応力は特筆すべきものがあり、日本にとって有益な存在となるでしょう。」と、日本の労働市場に新しい風をもたらしてくれる存在として期待する。

一方、現地での日本語教師の不足を指摘し、これが今後の大きな課題とみている。

日本とバングラデシュが互恵性を保ち、両国がより良い関係を築いていくためには、現場の声を丁寧にすくってゆくことが欠かせない。

 

(※このコラムは、ビル新聞2023年11月13日号掲載「バングラデシュの技能実習生事情」Vol.53を加筆転載したものです。)