次の目標は特定技能~川越のフィリピン実習生~

1.根強い人気国フィリピン
かつて「技能実習生」といえば、中国人が定番であった。
それが2017年半ばにベトナムが最大の送り出し国となってからは、マスコミ報道でもベトナム人実習生にフォーカスが当てられることが増えてきた。1993年の制度化以来、日本との経済格差によって供給状況は変遷してきたが、常に3位のポジションを維持している国をご存じだろうか。
日本からもっとも近い東南アジア「フィリピン」である。
実習生の一割にあたる約3万人が、主に介護・製造業の担い手として就業している。性格がおおらかで、英語を話す人口が多く、実習生失踪率が最も少ないことでも知られている。
2.外国人だからといって特別なことはない
先日、埼玉県川越市の梱包会社 株式会社ユースで働くフィリピン人実習生に話を聞く機会を得た。
左から、マービンさん(31歳)、ウィンデルさん(24歳)、ロエルさん(22歳)、レナルドさん(27歳)、全員来日3年目の技能実習2号最後の年である。
フィリピン人らしい屈託のない笑顔が印象的な同期四人組は、日々梱包・組立作業の仕事に励みながら、週末には揃ってロードバイクでサイクリングを楽しみ、日本語学習はYouTubeで、北海道でのスノーボードに憧れる今どきの若者である。
来日当初、最年少のロエルさんはまだ集中力に欠ける面があり、なかなか業務を呑み込めなかったが、熟練の日本人社員の指導により、今では誰よりも効率的に作業を行い、抜群のスピードで仕事を終わらせるようになった。
「スキルや習熟度が違うのは、日本人でも同じこと。外国人だからといって特別な苦労はないですよ」と同社の石田社長。性格が明るくて一生懸命な実習生は、ムードメーカーとしても一役買っているそうだ。
「みんな真面目に働いてくれ、4人共うちになくてはならない貴重な戦力です」と誇らしげに語る。
3.実習終了後のキャリアプラン
(左から:マービンさん、ウィンデルさん、ロエルさん、レナルドさん)
そんな彼らの目下の課題は実習修了後の次なるキャリアだ。
しっかり者のレナルドさんは、フィリピンの大学で学んだ観光関連の知識を活かして特定技能の宿泊業職種での就職を計画している。「もう2年は日本で働いてもっとお金を貯めたい。帰国したら自転車の修理業をやりたいです。」と目を輝かせる。
リーダー格のマービンさんは、「日本は安全でやさしい国。あと10年働いても大丈夫。お金を貯めて、帰国したらアパート経営をしてみたい」と意気込む。
自転車好きのウィンデルさんは、電気機械で特定技能を目指すか、今の職場で技能実習3号に進むか検討中のようだ。
これからそれぞれ進む道は異なるが、4人共に、次の日本語能力試験「N4」合格を目標としている。
彼らのように実績を残した実習生が、帰国せずに在留したままビザ移行する。この流れが特定技能人材育成の理想形かもしれない。それには受入企業に恵まれるか否かが大きな鍵となるであろう。
(※このコラムは、ビル新聞2022年1月24日号掲載「リアルタイム外国人技能実習24時」Vol.35を加筆転載したものです。)