日本で学び、祖国で活かす、バングラデシュ実習生のリアル

コラム
COLUMN
「外国人 人材活用リアルタイム24時」 ー東南アジア各国からの現地報告ー ビル新聞2025年3月31日号掲載「日本で学び、祖国で活かす、バングラデシュ実習生のリアル」の話題。

1.着実に増加している、バングラディッシュ人材

2023年11月に本コラムで取り上げた当時、バングラデシュは技能実習生送り出し国として注目を集め、インドネシアに続く次なる国として期待が寄せられていた。

それから一年半が過ぎ、建設分野を中心にバングラデシュからの実習生が徐々に存在感を高めている。

今回は、実際に日本で働くバングラデシュ人技能実習生のリアルな声を直接聞き、統計や制度だけでは見えない現場の状況を浮き彫りにしたい。

2.明確なビジョンを持って入国してきたラジブさん

山口県光市で溶接業に従事するシェイク MD ラジブさん(26歳)は、バングラデシュの専門学校で電子工学を学んだ後、製糸工場のエンジニアとして勤務。

その後、技能実習制度を利用して来日し、溶接技術を習得している。

「子供の頃から日本に憧れていました。バングラデシュには溶接技術者が少ないので、日本で学び将来は会社を設立したい」と語る彼の姿勢からは、単なる出稼ぎではなく、明確な将来ビジョンが伝わってくる。

ラジブさんによれば、バングラデシュから日本への人材流入が本格化したのは、約5年前に大手監理団体が技能実習制度を積極的に紹介したのがきっかけだという。

これによりバングラデシュ国内でも日本語教育や職業訓練の機会が拡充され、出稼ぎ先としての日本が一気に注目を集めるようになった。

従来はドバイやサウジアラビアなど中東諸国が主流だったが、「日本は安全で清潔」という評判が広まり、給料面に加え労働環境の良さ、さらに社会保障の充実も魅力となっている。

実際に日本で働いてみて、最も驚いたのは「働き方」と「時間を守る姿勢」だという。

「日本人は勤勉で、仕事のスピードが速い。バングラデシュではそこまで厳しくなく、時間にも寛容です。」とラジブさんは話す。

こうした価値観の違いに最初は戸惑いつつも、今は馴染んでいるそうだ。

3.懸命に日本語学習を行い、特定技能への移行を目指す

今年7月に実習期間が修了するラジブさんは、特定技能への移行を視野に入れている。「建設職種内であれば、溶接以外の業務にも挑戦してみたい。

特定技能2号も目指して、できればあと10年働きたい」と意欲的だ。

日本語能力の向上にも熱心に取り組んでおり、地域の日本語教室に通い、既に日本語能力検定のN3に合格。次はN2を目標に掲げている。

将来については、「十分に技術と資金を蓄えた後、帰国して会社を作るか、あるいはもう少し日本で経験を積むか判断したい」と柔軟な姿勢も見せる。

週末には友人と県内を巡り、美しい山や緑、桜など、母国にはない豊かな自然に感動を覚えているそうだ。

実習生制度では、労働力の確保に焦点が当てられがちだが、ラジブさんのような志高い人材を支援し育成していくことは、国と国との友好関係の土台になるはずだ。

帰国後の展望まで見据えた国際協力の枠組みこそが、今後重要になるのではないだろうか。

(※このコラムは、ビル新聞2025年3月31日号掲載「日本で学び、祖国で活かす、バングラデシュ実習生のリアル」Vol.63を加筆転載したものです。)