共創の時代へ:転換期を迎える2025年
1.外国人材と日本社会、変化の5年半を振り返る
このコラムがスタートしてから5年半という月日が流れた。
この間に、特定技能制度の新設、コロナ禍、そして育成就労制度の可決など、外国人材を取り巻く環境は刻々と変化してきた。
執筆を始めた当時、「外国人技能実習」という言葉を知る人はまだ限られていた。制度の認知度は低く、外国人材の受け入れに関心を持つ企業も少なかったように思う。
しかし、特定技能制度の導入を機に、外国人材案件は社会的な注目を集めるようになった。メディアでは、技能実習制度の問題点や外国人労働者の厳しい現実が頻繁に取り上げられるようになっていった。
だが、私はこれまで、あえて外国人材の「光」の部分に焦点を当ててきた。
困難な状況の中でも、日本で夢を掴もうとする彼らの力強い眼差し、そして、彼らが秘める無限の可能性。
それらをこのコラムに刻み込み、読者と共有することで、外国人材に対する理解を深め、共生の道を拓きたいと願ってきたのだ。
2.日本経済を支える外国人材。新制度が後押し
人手不足がさらに深刻化している昨今、もはや外国人材は、日本の経済を支える、なくてはならない存在となった。
企業の見方も変化し、単純労働者としてではなく、専門的スキルを持つ貴重な人材として評価するようになりつつある。また、イノベーションを生み出す原動力としても、外国人材に可能性を見出す企業が徐々に増えてきている。
2025年は、外国人材にとって重要な転換点となるだろう。
技能実習制度、特定技能、そして新たに導入される育成就労制度が有機的に繋がり、外国人材の活躍を後押しする。特に育成就労は、技能実習に代わる大きな変革として注目されている、人材育成と人材確保の両立を目指す制度だ。
来年は、この新制度の具体的な運用が明確化され、技能実習からの移行措置も本格的に進められる年となるだろう。
3.今こそ意識改革を!外国人材と築くパートナーシップ
しかし、制度の整備はあくまで土台作りに過ぎない。
真の多文化共生社会の実現には、日本語教育、生活支援、多文化理解教育等、ソフト面の充実が不可欠だ。
受入れ企業は、外国人材の潜在能力を引き出し、多様な才能が開花する環境づくりを担う立場にある。
そして、最も重要なのは、私たち日本人の意識改革である。
外国人材を「労働力」ではなく、「共に未来を創造するパートナー」として受け入れることが、共創の時代を切り拓く鍵となる。
彼らと共に新たな価値を創造し、社会全体を豊かにしていく。
多様性を力に変える、その瞬間が今、目の前に迫っているのだ。この潮流は、個別のつながりを超え、やがて国と国とのパートナーシップを築く土壌となるだろう。
私はこれからも、外国人材に関する情報を発信し続け、読者の皆様と共に、日本の未来について考えていきたい。
この場が、外国人材と日本社会を繋ぐ架け橋となることを願ってやまない。
(※このコラムは、ビル新聞2024年12月16日号掲載「共創の時代へ:転換期を迎える2025年」Vol.60を加筆転載したものです。)