チャットブリッジが拓く、多文化共生社会への道
1.言葉の壁を超える!AI翻訳ツール「チャットブリッジ」の可能性
深刻化する人手不足の中、技能実習生や特定技能など外国人材への期待が高まる一方、AIツール導入による業務効率化にも注目が集まっている。
外国人材受け入れにおける壁のひとつは言語だ。
これまで様々な通訳ツールやDXツールが登場してきたが、外国人材と日本人スタッフの細やかな意思疎通を可能にし、共に働くための真の解決策となるまでには至らなかった。
しかし、AI技術の進化によって、それらを担うツールが現れ始めている。
株式会社ObotAIが開発した多言語AIツール「チャットブリッジ」は、単なる翻訳機能を超え、円滑なコミュニケーションに必要な情報やスキルを補ってくれる頼もしい存在だ。
相互理解を深めるための様々な機能を搭載し、場面に応じて何通りにも使うことができる。
同社 代表の北見好拡氏によれば、このツールは、まさに人手不足解消と多文化共生という二つの課題を解決する糸口となり得るという。
2.会話からFAQ作成、教育アプリ開発まで多彩な活用方法
「チャットブリッジ」は外国人労働者の定着率向上を目的とし、AIによる高度な翻訳機能により30言語以上の自動翻訳が可能だ。それを土台に、あらゆるコミュニケーションの場面を、より豊かで実りあるものにしてくれる。
例えば、チャットブリッジのAI通訳者をLINEグループに招待するだけで、外国人従業員と日本人従業員がスムーズに会話できる環境を構築できる。
また、音声会議の同時翻訳機能「MyPhone訳」は、現場でのコミュニケーションをサポートするだけでなく、会話履歴からFAQサイトを自動生成する機能も備えている。
さらに、AIが会話履歴やアンケート結果を分析することで、外国人従業員の悩みや課題を可視化し、定着率向上に役立つ情報を提供するという。
翻訳データや会話履歴を活用して、外国人従業員向けの教育アプリを作成することも可能だそうだ。
そして注目すべきは、「文化翻訳」という考え方だ。
単純に言葉を翻訳するだけでなく、各国の習慣・マナー、会社のミッション・ルールを理解した上で、職場での多文化共生を目的として翻訳を行う。
AIに「会社のルールを丁寧に説明して」と指示するだけで、外国人従業員にも理解しやすい言葉で翻訳してくれるという具合だ。
様々な機能に期待が高まるこのツールは、フィールドテストを繰り返しながら日々アップデートされている。
3.AI技術が外国人材の能力を最大限に!
北見氏の熱意と、「チャットブリッジ」の可能性に触れ、AI技術が社会にもたらす変化を感じた。外国人材が安心して働き、能力を最大限に発揮できる環境を、AIが叶える時代が到来しつつある。
安定した雇用関係が互いの理解の上に立脚することは、国を問わない。
AI技術の進化は、多文化共生社会の実現という新たな地平線へと私たちを導いてくれるかもしれない。
(※このコラムは、ビル新聞2024年11月27日号掲載「チャットブリッジが拓く、多文化共生社会への道」Vol.59を加筆転載したものです。)