【外食業×特定技能】飲食店経営者の方必見!外国人材を採用して人材不足を解消しよう!
2024年、日本の飲食業界は回復の兆しを見せていますが、深刻な人材不足という課題に直面しています。外食産業の売上高は2019年比で107.7%まで回復したものの、人手不足がその成長の足かせとなっています。
例えば、東京都内のある人気ラーメン店では、スタッフ不足により週2日の定休日を設けざるを得ず、売上に大きな影響が出ていたり、大手居酒屋チェーンでは、一部店舗で深夜営業を中止せざるを得なくなり、売上の減少に加え、常連客の離反という課題にも直面しています。
このような状況下、多くの飲食店経営者が悩んでいます。
「ベテランの従業員が辞めたら、店はどうなるんだろう…」
「人手不足で、従業員の負担が大きすぎる…」
など、おそらく、このような悩みは、業界全体に共通しているのではないでしょうか。
その解決策の一つが、外国人材の活用です。
2019年4月に始まった特定技能制度により、外食業界でも外国人材の採用が可能になりました。
この制度を活用し、人材不足を解消しつつ、多様性のある職場環境を生み出す飲食店が増えています。
例えば、関東地方のある焼肉チェーンでは、特定技能制度を利用してベトナム人材を採用し、人手不足を解消するだけでなく、新たなメニュー開発や接客サービスの向上にも成功しています。
また、大阪の老舗うどん店では、フィリピン人材を採用したことで、インバウンドの対応力が上がり、外国人観光客の集客に繋がっています。
このように、外国人材の活用は、単なる人手不足の解消だけでなく、店舗の成長や新たな価値創造にも繋がる可能性を秘めています。
しかし、初めて外国人材を採用する経営者の方にとって、自社で外国人材を雇用できるのか不安をお持ちの方も多いと思います。
この記事では、特定技能「外食業」の詳細要件や、外国人材の雇用プロセスをわかりやすく解説します。
ぜひ、最後まで読んで、特定技能の外国人材採用について理解を深めてくれたら嬉しいです。
特定技能「外食業」は、どのような業務内容?
特定技能「外食業」とは、外国人材に飲食店や給食施設などで働いてもらうための在留資格です。
ご存じの方も多いと思いますが、具体的には以下のような業務内容です。
項目 | 業務内容 |
---|---|
調理 | 食材の仕込み、加熱調理、非加熱調理、調味、盛り付け、飲食品の仕込みなど |
接客 | 商品の受け渡し、予約受付、客席の設定、苦情対応など |
店舗管理 | 店舗内の衛生管理、従業員のシフト管理、求人・雇用に関する事務、従業員の指導・研修、予約情報・顧客情報の管理、レジ・券売機管理、会計事務管理、発注、警備、在庫管理など |
どのような店舗で働ける?
食堂、レストラン、ファーストフード店、カフェ、喫茶店、居酒屋、ラーメン店、寿司店、弁当店、ケータリングサービス、給食事業所などで外国人材を採用することができます。
ホテル内のレストランで特定技能外国人を雇用する場合、「宿泊分野」と「外食業分野」のどちらで受け入れるべきか、迷うケースは少なくありません。
実は、ホテルとレストランの経営主体が同じか異なるかによって、受け入れ可能な分野が変わります。
経営主体 | 対象分野 | 特定技能外国人が従事する業務 |
---|---|---|
ホテルとレストランが同じ(ホテル直営) | 宿泊分野、外食業分野 | 宿泊分野:フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど外食業分野:飲食物調理、接客、店舗管理など |
ホテルとレストランが異なる(テナントなど) | 外食業分野 | 飲食物調理、接客、店舗管理など |
外国人材を採用すると、どんなメリットがある?
外国人材を採用することで人手不足を解消するだけでなく、店舗に新しい風を吹き込み、成長を加速させる可能性も秘めています。
まだ外国人材採用に迷いがある方も、ぜひ前向きに検討してみて欲しいです。想像以上に多くのメリットがあることに気づくはずです。
1.人材不足を解消し、事業を拡大!
「お金をかけて求人サイトに募集を出しても応募が全然来ない…」
「スタッフ不足により、営業時間を短縮せざるを得ない…」
このような悩みから、解放される可能性があります。
外国人材を採用することによって人材不足が解消され、今まで諦めていた営業時間の延長や新メニューの開発も可能になるでしょう。事業拡大には人員は必要不可欠です。
2.即戦力人材として、採用ができる
特定技能制度では、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を採用できるため、教育に時間をかけることなく、即戦力として活躍してくれる人材を獲得できます。
母国で長年の飲食業経験を持つベテラン人材を採用できれば、日本の飲食文化や接客マナーを学ぶための研修期間を短縮し、すぐにでも現場で活躍していただけます。
さらに、外国人材の採用は、店舗の雰囲気をガラリと変え、新たな活力を生み出す可能性を秘めています。
異なる文化や価値観を持つ人材が一緒に働くことで、新しいアイデアや発想が生まれ、店内に活気が溢れます。今までになかった視点を取り入れることで、メニュー開発やサービス向上に繋がる可能性も広がります。
3.多言語対応で、インバウンド需要を掴む!
「外国人観光客が増えてきたけど、言葉が通じなくて困る…」
そんな経験はありませんか?
外国人材を採用すれば、言葉の壁を乗り越え、外国人観光客へのおもてなしを強化することができます。
英語や中国語を話すスタッフがいれば、外国人観光客にスムーズにメニューを説明することができますし、観光客とコミュニケーションを取りながら、外国人の視点で日本の食文化や魅力を伝えることもできるでしょう。顧客満足度向上に繋がり、リピーター獲得にも繋がるかもしれません。
このように、外国人材を採用することで、人手不足の解消・サービスの向上・そして新たなビジネスチャンスの獲得など、様々なメリットを享受できる可能性があります。
そもそも特定技能制度とは、どんな制度?
特定技能制度は、2019年に始まった制度で、人材不足を解消し、日本の経済を活性化させることを目的としています。一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、即戦力として活用することができます。
技能レベルに応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が設けられています。
制度の特徴
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
対象分野 | 16分野全て | 介護分野を除く11分野 |
在留期間 | 最長5年 | 期限なし |
技能レベル | 各分野の技能試験に合格 | より高い技能・知識を持ち、1号の要件を満たす |
家族の帯同 | 不可 | 可能 |
・転職の自由
同じ職種内であれば、自由に転職することができます。
誰でも特定技能人材になれる?
外食業の特定技能人材は、以下の試験に合格し、必要な技能を習得する必要があります。
試験 | 内容 |
---|---|
外食業技能測定試験 | 外食業に必要な知識と技能を測る試験 |
日本語能力試験 | 日本語の理解を測る試験(N4以上) |
これらの試験は、外国人材が日本で安全に業務を行うために必要な知識や技能を有しているかを評価するためのものです。
- 外食業技能測定試験
調理、接客、店舗管理など、外食業に必要な知識と技能を身に付けているか測る試験。 - 日本語能力試験
日本語の理解度を測る試験。N4以上の合格が必要です。
外国人材を採用する際は、これらの内容をすべてクリアできているか必ず確認しましょう。
特定技能人材の採用はどうするの?
外国人材を採用する際に、気になるのが採用方法のこと。
「どこで募集すればいいの?」
「面接はどうやってやればいいの?」
と、疑問に思いますよね。
外国人材を採用する際には、以下のような方法があります。
1. 人材紹介会社を活用する
特定技能に特化した人材紹介会社を利用することで、適切な人材のマッチングから、ビザ申請手続き、入国時の対応など、人材紹介会社によって異なりますが、初めて特定技能外国人を採用する場合に効果的です。
2. 登録支援機関を利用する
登録支援機関は、特定技能外国人の生活支援や就労支援を行う専門機関です。
人材紹介会社が登録支援機関を担っているケースもありますので、人材紹介から支援計画の作成、在留手続きのサポートまで幅広いサービスを提供しています。
3. 直接外国人材を採用する
海外に住んでいる外国人を、直接採用する方法です。
この方法では、企業の方が自ら海外の人材と連絡を取り合い、オンライン面接などを通して採用候補者を選考し、ビザの申請など、必要な手続きをすべて行います。
特定技能制度に関する深い知識と経験が必要となりますので、 直接採用は人材紹介会社や登録支援機関を利用するよりも、手間と時間がかかる方法といえます。
4. 技能実習生から移行する
技能実習生として雇用している外国人を、特定技能に変更することができます。
ただし、特定技能「外食業分野」に移行できるのは、技能実習生のうち「医療・福祉施設給食製造職種」の技能実習2号を良好に修了した方、または技能実習3号の実習計画を満了した方のみです。
すべての技能実習生が特定技能「外食業分野」に移行できるわけではありませんので、移行を希望する技能実習生がいる場合は、上記の条件を満たしているか確認する必要があります。
5. 留学生を採用する
現在、アルバイトとして雇用している留学生が、特定技能の試験に合格すれば、その留学生をアルバイトから特定技能に変更する ことができます。
外国人材を受け入れるための準備内容
外国人材を採用するには、受け入れ企業にもいくつかの条件をクリアする必要があります。
- 食品衛生法に基づく飲食店営業の許可を受けている
飲食店や給食施設などを経営していることを意味しています。
- 「食品産業特定技能協議会」の構成員になる
外国人材の受け入れや支援を行うために設立された組織です。
外国人材の採用に関する情報提供や相談・支援を受けることができます。
- 調査・指導に対して必要な協力を行う
外国人材の雇用状況について、関係省庁またはその委託を受けた団体が調査や指導を行う場合がありますので、その際には必要な協力をしましょう。
- 雇用条件
外国人材と直接雇用契約を結び、週5日以上、年間217日以上、週30時間以上のフルタイム勤務で雇用する必要があります。アルバイトやWワークは認められていません。
- サポート体制を整える
外国人材が安心して働けるよう、生活や仕事のサポート体制を整え、日本語教育などを提供する必要があります。
外国人材を採用する流れ
ここまで読んでいただき、すぐにでも外国人材の採用を進めたい!と思っていただけた企業の方もいるかと思います。
しかし、外国人材の採用は日本人採用とは異なりますので、スムーズに外国人材を採用するために、事前準備からの流れをご紹介します。
いずれ受け入れを検討している経営者・人事担当者の方にも、前知識として役立つ情報です。
ステップ | 内容 | ポイント |
---|---|---|
事前準備 | 就業規則、賃金システム、住居、生活環境整備など | 外国人労働者が働きやすい環境を整えましょう。給与、休暇、福利厚生など、具体的な条件を明確にしましょう。 |
人材募集 | 人材紹介会社や現地機関の活用、求人サイト、ハローワーク、自社WEBサイトなど | 様々な方法を組み合わせて、効果的に求人活動を行います。 |
面接 | 書類選考、面接 | 日本語能力、調理スキル、接客マナー、文化への理解度、コミュニケーション能力などを評価しましょう。特定技能1号評価試験と日本語試験に合格していることを確認しましょう。 |
雇用契約 | 雇用契約書締結 | 労働条件を明確にし、外国人材にも理解できるように説明しましょう。 |
ビザ申請 | 特定技能ビザ申請 | 必要な書類を揃えて、特定技能ビザの申請を行いましょう。 |
入社前準備 | 住居確保、生活環境整備 | 外国人材が安心して生活できるよう、住居や生活環境を整えましょう。 |
入社オリエンテーション | 会社規則、業務内容、安全衛生教育など | 日本の職場文化や習慣、安全衛生に関する重要事項を丁寧に説明しましょう。 |
業務開始 | 実際の業務開始 | 日本人スタッフとのコミュニケーションを促進し、スムーズに業務に慣れていただけるようサポートしましょう。 |
定期的な面談 | 対面での会話、サポート | 業務や生活面での課題を早期に発見し、解決するために定期的なフォローアップを行います。 |
外国人材を雇用する上での3つのポイント
外国人材の雇用は、人手不足解消の有効な手段となります。しかし、採用する際には注意すべき点もあります。これらの注意点を理解しておくことで、外国人材とより良い関係を築き、スムーズに業務を進めることができるでしょう。
- 就労可能な業務範囲
特定技能「外食業」の在留資格を持つ外国人材は、飲食店で働くことができますが、就労可能な業務範囲は決められています。
- 許可されている業務: 調理、接客、配膳、レジなど、飲食店における一般的な業務
- 許可されていない業務: 風俗営業等の仕事、アルバイトや副業など
外国人材に許可されていない業務をさせてしまうと、法律違反となります。採用前に就労可能な業務範囲をしっかりと確認し、外国人材にも理解させましょう。
- 適切な就労状況の管理
外国人材の就労状況を適切に管理することは、企業の責任です。
- 在留管理局への届出: 採用時や離職時など、外国人材の就労状況に変更があった場合は、入国管理局への届出が必要です。
- 不正就労の防止: 許可されていない業務や就労時間外の労働をさせてはいけません。
外国人材が安心して働けるよう、就労状況を適切に管理し、必要なサポートを提供しましょう。
- 日本語レベルの確認
外国人材を採用する際は、日本語レベルをよく確認しましょう。
日本語能力試験に合格しているからといって、必ずしも仕事を問題なくできる日本語レベルに達しているとは限りません。
業務に必要な日本語レベルを習得しているか、面接の際に、実際に日本語で会話をして確認することが大切です。もし、日本語レベルが不十分な場合は、日本語教育のサポートなどを強化しましょう。
外国人材が日本語を習得することで、結果的にコミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や安全確保にもつながります。
これらのポイントを意識して、外国人材が安心して働ける環境を整えることが、企業の成長と発展に繋がるでしょう。
まとめ
特定技能「外食業」の制度を活用すれば、外国人材を採用し、深刻な人手不足を解消できる可能性があります。
外国人材を採用することは、単に人手不足を解消するだけでなく、お店の活性化、顧客満足度の向上、そして地域社会への貢献にも繋がる可能性があります。
ぜひ、この記事を参考にして、外国人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか?
新たな視点や発想を取り入れることで、今までにないメニューやサービス、ビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
外国人材の活躍が、外食業界の未来を明るく照らしてくれることを願っています。