【木材産業×特定技能】木材産業の人材不足どうする?!特定技能人材が会社を救う
~木材産業の人材不足を解消する「特定技能人材の活用方法」~
投稿日:2024年12月6日日本の家屋を支え、温もりを与える木材。
その木材を扱う木材産業は、私たちの生活に欠かせない存在です。
しかし今、この業界は深刻な人材不足という大きな壁に直面しています。
木材需要の拡大や木造建築ブームといった追い風があるにもかかわらず、現場を支える人材は年々減少…
林野庁によると、木材産業の有効求人倍率は全産業平均をはるかに上回っており、人材の奪い合いが激化している状況です。(出典:林野庁「木材産業の現状」)
特に、業界の未来を担う若手人材の不足は深刻で、このままでは日本の木材産業は衰退してしまうかもしれません。
「ベテランの従業員がもうすぐ定年退職…でも後任が見つからない…」
「人材不足で、従業員の負担が大きすぎて、辞めてしまう人が増えている…」
「せっかく注文が増えても、人手が足りなくて断らざるを得ない…」
多くの企業が、このような悩みを抱えているのではないでしょうか?
そこで、今注目されているのが、 外国人材の力 です!
2019年4月に始まった特定技能制度。この制度を使えば、木材産業でも外国人材を採用することができるようになりました。
すでに、多くの企業が外国人材の活躍によって、人材不足を解消し、業績を向上させています。
例えば、ある製材会社では、特定技能制度を利用してインドネシア人材を伐採作業に配置したところ、作業効率が大幅に向上したようです。外国人材の中には、重機の操作に長けている人も多く、素材生産の効率化に大きく貢献しています。
また、ある木材加工会社では、ベトナム人材が製材機械の操作を習得し、生産性の向上に貢献。さらに、品質管理の工程にも配置してみたところ、彼らの細やかな視点と丁寧な仕事ぶりが、製品の品質向上に繋がったという事例もあります。
この記事では、特定技能「木材産業」で外国人材を採用する方法や、メリット、注意点などをわかりやすく解説します。
ぜひ最後まで読んで、外国人材の力で会社を、そして木材産業を盛り上げていきましょう!
特定技能「木材産業」では、どのような業務内容?
特定技能「木材産業」とは、外国人材に木材の加工、製造などに従事してもらうための在留資格です。
具体的には、以下が主な業務内容です。
特定技能外国人は、これらの主な業務の他にも、付随的に関連業務をすることができます。しかし、あくまでも主な業務が中心で、関連業務はそれに伴って行う必要がある場合に限定されます。
関連業務だけを行うことはできませんので、ご注意ください。
<関連する業務内容>
業務内容 | 例 |
---|---|
原材料の調達・受入れ | 原木、資材などの調達・受入れ作業 |
製品検査 | 製品検査、品質管理 |
出荷 | 運搬、梱包、積込など、出荷に関わる作業 |
作業場所の整理整頓・清掃 | 作業場所の整理整頓、清掃 |
主な業務と関連業務の割合は、企業や職種によって異なります。
それぞれの企業や職種で、どのような割合で業務を行うことになるのか、事前に確認しておきましょう。
どのような場所で働けるの?
特定技能「木材産業」の在留資格で働くことができるのは、木材を加工・製造する一部の業種に限られます。
<働くことができる場所>
業種 | 説明 |
---|---|
製材業、木製品製造業 | 木材を切断したり、乾燥させたり、加工する業種です。一般製材業、単板製造業、木材チップ製造業、その他の特殊製材業など |
合板製造業 | 薄い板状の木材を複数枚重ねて接着し、板状にした合板を製造する業種です。LVL(単板積層材)を含む |
集成材製造業 | 小さな木材を接着剤で接合して、大きな寸法の建築用材を製造する業種 |
建築用木製組立材料製造業 | 建築物の骨組みや壁、床などに使用する、あらかじめ工場で加工された木製部品を製造する業種 |
銘木製造業 | 美しい木目を持つ銘木を加工し、内装材や家具などに使用する材料を製造する業種 |
床板製造業 | 床材として使用する板を製造する業種 |
<働けない場所>
業種 | 説明 |
---|---|
木製家具製造業 | 木材を使用して家具を製造する業種です。 |
木製建具製造業 | 木材を使用してドアや窓枠などの建具を製造する業種です。 |
パレット製造業 | 輸送や保管に使用する木製パレットを製造する業種です。 |
特定技能「木材産業」の在留資格では、 木材を加工・製造する一部の業種で働くことができます 。
家具製造や建具製造など最終製品を製造する業種は含まれていませんが、 事業の一部で対象業種を行っている場合は、特定技能外国人材を受け入れることができる可能性があります。
外国人材を採用すると、どんなメリットがある?
外国人材を採用することで、人材不足を解消できるだけでなく、会社に新しい風を吹き込み、成長を加速させる可能性も秘めています。
まだ外国人材採用に迷いがある方も、ぜひ前向きに検討してみて欲しいです。想像以上に多くのメリットがあることに気づくはずです。
1. 経験豊富で即戦力となる人材の確保!
慢性的な人手不足に悩む木材産業にとって、経験豊富な人材を確保することは、まさに喉から手が出るほど欲しいもの。
特定技能外国人材なら、基礎的な知識を学んだ人材や技能実習を通じての経験者を採用することができるので、中にはすぐに現場で活躍してくれる即戦力として、会社を支えてくれる可能性があります。
2. 多様性の実現とグローバル化への対応!
グローバル化が加速する現代において、多様な文化や価値観を持つ人材は、まさに会社の宝です。外国人材を採用することで、今までになかった視点や発想が生まれ、イノベーションが起きるかもしれません。
外国人材との交流は、日本人従業員の刺激にもなり、グローバルな視野を育むことにも繋がるでしょう。
3. 業務の柔軟な対応と長期的な安定化!
「人手が足りなくて、新しい仕事に挑戦できない…」
「せっかく育てた従業員が辞めてしまうのが不安…」
そんな悩みをお持ちの経営者の方へ。
特定技能外国人材は、木材加工や製造といった主要業務だけでなく、材料の運搬や検査、作業場の清掃など、幅広い業務に対応することができます。必要な時に必要な場所で柔軟に人材を配置できるのは、会社にとって大きなメリットになるでしょう。
このように、外国人材の採用は、会社にとってたくさんのメリットをもたらします。
人材不足の解消、即戦力の確保、多様性の促進、業務の柔軟な対応、長期的な人材確保など、会社の成長を支える様々な効果が期待できます。
ぜひ、この機会に外国人材の採用を検討してみてはいかがでしょうか?
そもそも特定技能制度とは、どんな制度?
特定技能制度は、2019年に始まった制度で、人材不足を解消し、日本の経済を活性化させることを目的としています。一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、即戦力として活用することができます。
技能レベルに応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が設けられています。ただし、木材産業は「特定技能2号の対象外分野」になります。
従って、特定技能1号の在留期間である5年が、木材産業分野で働ける最長の期間となります。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
対象分野 | 16分野全て | 介護分野を除く11分野 |
在留期間 | 最長5年 | 期限なし |
技能レベル | 各分野の技能試験に合格 | より高い技能・知識を持ち、1号の要件を満たす |
家族の帯同 | 不可 | 可能 |
- 転職の自由
同じ職種内であれば、自由に転職することができます。
誰でも特定技能人材になれる?
日本で木材産業で働くためには、一定の技能と日本語能力を持っていることが必要です。
具体的には、以下の条件を満たしている必要があります。
・技能水準「木材産業特定技能1号測定試験に合格」
この試験では、木材加工、安全衛生等に関する基礎知識と、各種作業を安全に、かつ正確に行う技能が評価されます。
※「木材加工職種の機械製材作業」の技能実習2号・3号を良好に修了した方は、技能試験が免除されます。
・日本語能力水準「国際交流基金日本語基礎テスト、日本語能力試験(N4以上)に合格」
日常生活や業務に必要な日本語能力を証明するための試験です。
※技能実習2号・3号を良好に修了した方は、職種に関わらず日本語試験も免除されます。
外国人材を採用する際は、これらの内容をすべてクリアできているか必ず確認しましょう。
特定技能人材の採用はどうするの?
外国人材を採用する方法は、いくつかあります。
1.人材紹介会社を活用する
特定技能に特化した人材紹介会社を利用することで、適切な人材のマッチングからビザ申請手続き、入国時の対応までサポートを受けることができます。
初めて特定技能外国人を採用する場合に効果的です。
2.登録支援機関を利用する
登録支援機関は、特定技能外国人の生活支援や就労支援を行う専門機関です。 人材紹介会社が登録支援機関を担っているケースもあります。
人材紹介から支援計画の作成、在留手続きのサポートまで幅広いサービスを提供しています。
3.直接外国人材を採用する
海外に住んでいる外国人を直接採用する方法です。 企業が自ら海外の人材と連絡を取り合い、オンライン面接などを通して採用候補者を選考します。
ビザの申請など、必要な手続きもすべて企業自身で行う必要があります。
4.技能実習生から移行する
技能実習生として雇用している外国人を特定技能に変更することができます。
ただし、すべての技能実習生が特定技能「木材産業」に移行できるわけではありません。
「木材加工職種の機械製材作業」の技能実習2号を良好に修了した方、または技能実習3号の実習計画を満了した方が対象となります。
5.留学生を採用する
現在アルバイトとして雇用している留学生がいる場合、特定技能の試験に合格すれば、特定技能に変更することができます。
外国人材を受け入れるための準備内容
外国人材を採用するには、受け入れ企業にもいくつかの条件をクリアする必要があります。
・木材産業を営んでいる
具体的には、働くことのできる場所でもお伝えしたように「製材業、木製品製造業(一般製材業、単板製造業、木材チップ製造業等)」「合板製造業(LVLを含む)」「集成材製造業」「プレカット製造業」「銘木製造業」「床板製造業」のいずれかを営んでいる必要があります。
・協議会の構成員になる
農林水産省が設置する「木材産業特定技能協議会」に加入し、国土交通省および協議会に協力する必要があります。
この協議会は、外国人材の受け入れや支援を行うために設立された組織です。外国人材の採用に関する情報提供や相談・支援を受けることができます。
・サポート体制を整える
外国人材が安心して働けるよう、生活や仕事のサポート体制を整える必要があります。
具体的には、住居の提供、日本語教育、生活に必要な情報の提供などを行うことが求められます。
外国人材を採用する流れ
外国人材の採用は日本人採用とは異なります。
スムーズに外国人材を採用するために、事前準備からの流れをご紹介します。
ステップ | 内容 |
---|---|
事前準備 | 就業規則、賃金システム、住居、生活環境の整備 |
人材募集 | 人材紹介会社や現地機関の活用、求人サイト、ハローワークなど |
面接 | 書類選考、面接(日本語能力、技能、コミュニケーション能力などを評価) |
雇用契約 | 雇用契約書締結(労働条件を明確にし、外国人材にも理解できるように説明) |
ビザ申請 | 特定技能ビザ申請(必要な書類を揃えて申請) |
入社前準備 | 住居確保、生活環境整備 |
入社オリエンテーション | 会社規則、業務内容、安全衛生教育など |
業務開始 | 実際の業務開始、日本人スタッフとのコミュニケーション促進 |
定期的な面談 | 業務や生活面での課題を早期に発見するための面談 |
外国人材を雇用する上での3つのポイント
外国人材の雇用は、人手不足解消の有効な手段となります。しかし、採用する際には注意すべき点もあります。
これらの注意点を理解しておくことで、外国人材とより良い関係を築き、スムーズに業務を進めることができるでしょう。
1.安全管理体制の構築
木材産業では、機械や重機を使用する作業も多く、安全管理が非常に重要です。
外国人材にとって、日本の安全基準や作業方法は、母国のものとは異なる場合があります。
外国人材の方には、日本の安全基準や作業方法をしっかりと理解させて、安全意識の向上を図ることが重要です。
例えば、多言語対応のマニュアルやビデオなどを用意し、外国人材が安全に関する情報にアクセスしやすい環境を整えたり、定期的な安全訓練を実施し緊急時の対応などを外国人材にしっかりと教育することで、安全に対する意識を高めることができます。
外国人材が安心して働けるようコミュニケーションを促進し、信頼関係を築くことが、安全管理体制の構築に繋がります。
2. 就労状況の適切な管理
外国人材の就労状況を適切に管理することは、企業の責任です。
外国人材の雇用は、法律や制度に基づいて行われる必要があり、企業は適切な手続きや管理を行う必要があります。
- 在留管理局への届出
外国人材を採用する際や、離職する際など、就労状況に変更があった場合は、入国管理局への届出が必要です。企業は、外国人材の在留資格を適切に管理し、法令を遵守する必要があります。 - 不正就労の防止
許可されていない業務や就労時間外の労働をさせてはいけません。外国人材の就労は、在留資格の範囲内で認められており、企業は外国人材に適切な業務を指示し、労働時間管理を徹底する必要があります。 - 派遣労働の禁止
林業分野では派遣労働は認められていないので、受入企業と直接雇用契約を結ぶ必要があります。
3. 日本語レベルの確認
外国人材を採用する際は、日本語レベルをよく確認しましょう。日本語能力試験に合格しているからといって、必ずしも仕事を問題なくできる日本語レベルに達しているとは限りません。業務に必要な日本語レベルを習得しているか、面接の際に、実際に日本語で会話をして確認することが大切です。
- もし、日本語レベルが不十分な場合は、日本語教育のサポートなどを強化しましょう。
外国人材が日本語を習得することで、結果的にコミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や安全確保にもつながります。
まとめ
この記事では、人材不足に悩む木材産業の企業の皆様に向けて、特定技能制度を利用した外国人材の雇用がいかに有効な解決策となるかをご紹介しました。
外国人材の採用は、単なる人手不足の解消だけでなく、生産性向上、技術の伝承、国際競争力強化など、様々なメリットをもたらす可能性があります。多様な文化背景を持つ人材との出会いは、新たな発想やイノベーションを生み出し、木材産業の成長を加速させる可能性を秘めています。
ぜひ、この記事を参考にして、外国人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか?
新たな視点や発想を取り入れることで、今までにない技術や作業効率の向上、国際的な人材育成など、新たな可能性が生まれるかもしれません。
外国人材の活躍が、木材産業の未来を明るく照らしてくれることを願っています。