【造船・舶用工業×特定技能】造船業の未来を担う?!人手不足には、特定技能を活用した外国人材が活路!

コラム
COLUMN

~造船・舶用工業における外国人材採用成功の秘訣~

日本の造船・舶用工業は、世界トップレベルの技術力を誇り、長年、日本の基幹産業として経済を支えてきました。しかし、近年は、少子高齢化による人材不足、海外との競争激化などの課題に直面しています。

実は、造船・舶用工業分野の人材不足は非常に深刻な状況にあります。

2022年9月時点で約9,500名の生産人材が不足しており、2023年には工程にも影響を与えると予測されていました。さらに、国土交通省の調査によると、造船・舶用工業の就業者数は、2013年の約18万5千人から2022年には約15万人にまで減少しており、高齢化も進んでいます。

出典:国土交通省「造船・舶用工業における人材確保に向けた取組について

人材不足は深刻化しており、このままでは日本の造船・舶用工業の未来が危ぶまれる状況です。

例えば、九州のある中堅造船会社では、熟練の溶接工が退職した後、後任が見つからず、工期が遅延し、納期に間に合わなくなるという事態が発生しました。また、海外企業との競争で、価格競争に巻き込まれ、受注を逃すケースも増えているようです。

生産性や競争力の低下、納期の遅れ、技術継承の難しさといった深刻な問題が発生しています。

このような状況下、多くの造船・舶用工業企業が頭を悩ませています。

「高い技術を持つベテラン従業員が辞めてしまったら、会社の技術はどうなるのか…」
「人材不足で、従業員の負担が大きくなり、離職率が高まっている…」

など、多くの企業が共通の悩みを抱えているのではないでしょうか?

その解決策の一つとして、近年注目されているのが外国人材の活用です。

2019年4月に始まった特定技能制度により、造船・舶用工業でも外国人材の採用が可能になりました。この制度を活用することで、人材不足を解消し、造船・舶用工業全体の活性化を図る動きが広がっています。

例えば、ある大手造船会社では、特定技能制度を利用してインドネシア人材を溶接工として採用。誠実に勤勉的に働く彼らによって、溶接の品質向上、作業効率の改善、工期の短縮などに繋がり、会社の収益増加にも貢献しているようです。また、外国人材の積極的な姿勢が、日本人従業員のモチベーション向上にも繋がっています。

このように、外国人材の活用は、単なる人手不足の解消だけでなく、技術伝承、生産性向上、国際競争力強化にも繋がる可能性を秘めているのです。

この記事では、特定技能「造船・舶用工業」の詳細要件や、外国人材の雇用プロセスをわかりやすく解説します。

ぜひ、最後まで読んで、特定技能の外国人材採用について理解を深めてください。

特定技能「造船・舶用工業」では、どのような業務内容?

特定技能「造船・舶用工業」とは、外国人材に造船所や舶用機器メーカーなどで働いてもらうための在留資格です。

主に、以下の3つの分野で従事することができます。

造船分野

主な業務内容説明
溶接船体ブロック同士や、配管などを接合する作業。高い精度が求められ、船の強度や安全性を左右する重要な工程です。
塗装船体を腐食から守るため、塗料を塗布する作業。塗料の種類や塗装方法、膜厚管理など、専門的な知識が必要です。
鉄工鋼材を切断、穴あけ、曲げ加工などを行い、船体部品を製作する作業。図面を正確に読み解き、寸法通りに加工する必要があります。
とび高所作業を行い、船体ブロックの組み立てや、クレーン操作などを行う作業。安全に作業を行うための知識と、高い体力が必要です。
配管船内に張り巡らされた配管を、設計図通りに設置する作業。配管の種類や接続方法、圧力試験など、専門的な知識が必要です。
船舶加工船体部品の加工や、艤装品の取り付けなどを行う作業。高い精度と、様々な工具を使いこなす技術が求められます。
出典:「造船・舶用工業分野における業務区分再編について

舶用機械分野

主な業務内容説明
溶接エンジンやポンプなどの部品を接合する作業。高い精度が求められ、舶用機械の性能や安全性を左右する重要な工程です。
塗装舶用機械を腐食から守るため、塗料を塗布する作業。塗料の種類や塗装方法、膜厚管理など、専門的な知識が必要です。
鉄工鋼材を切断、穴あけ、曲げ加工などを行い、舶用機械部品を製作する作業。図面を正確に読み解き、寸法通りに加工する必要があります。
仕上げ舶用機械部品の表面を研磨したり、バリ取りなどを行い、仕上げる作業。高い精度と、美しい仕上がりを実現するための技術が必要です。
機械加工旋盤やフライス盤などの工作機械を用いて、舶用機械部品を加工する作業。機械操作の技能や、図面を読み解く能力が必要です。
配管舶用機械に接続される配管を、設計図通りに設置する作業。配管の種類や接続方法、圧力試験など、専門的な知識が必要です。
鋳造溶かした金属を鋳型に流し込み、舶用機械部品を製造する作業。鋳造の知識や技能、安全管理が必要です。
金属プレス加工プレス機を用いて、金属板を切断したり、曲げたり、成形したりする作業。機械操作の技能や、安全意識が必要です。
強化プラスチック成形強化プラスチックを用いて、舶用機械部品を製造する作業。成形方法や材料に関する知識、品質管理が必要です。
機械保全舶用機械の点検や修理、メンテナンスを行い、正常な状態を維持する作業。機械の構造や動作原理に関する知識、整備技術が必要です。
舶用機械加工舶用機械部品の加工や、組み立てなどを行う作業。高い精度と技術、舶用機械に関する専門知識が必要です。
出典:「造船・舶用工業分野における業務区分再編について

舶用電気電子機器分野

主な業務内容説明
機械加工旋盤やフライス盤などの工作機械を用いて、舶用電気電子機器部品を加工する作業。機械操作の技能や、図面を読み解く能力が必要です。
電気機器組立て電気回路図に基づいて、電気部品を組み立て、配線作業を行う作業。電気に関する知識や技能、正確な作業が必要です。
金属プレス加工プレス機を用いて、金属板を切断したり、曲げたり、成形したりする作業。機械操作の技能や、安全意識が必要です。
電子機器組立て電子回路図に基づいて、電子部品を組み立て、配線作業を行う作業。電子工学に関する知識や技能、繊細な作業が必要です。
プリント配線板製造プリント配線板の製造工程において、穴あけ、めっき、レジスト処理などを行う作業。専門的な知識や技能が必要です。
配管舶用電気電子機器に接続される配管を、設計図通りに設置する作業。配管の種類や接続方法、圧力試験など、専門的な知識が必要です。
機械保全舶用電気電子機器の点検や修理、メンテナンスを行い、正常な状態を維持する作業。機器の構造や動作原理に関する知識、整備技術が必要です。
舶用電気電子機器加工舶用電気電子機器部品の加工や、組み立てなどを行う作業。高い精度と技術、電気電子機器に関する専門知識が必要です。
出典:「造船・舶用工業分野における業務区分再編について

これらの業務に加えて、事務作業や作業場所の整理整頓など、日本人従業員が行っている関連業務をサポートすることもできます。

<関連する業務>

  • 読図作業
  • 作業工程管理
  • 検査(外観、寸法、材質、強度、非破壊、耐圧気密等)
  • 機器・装置・工具の保守管理
  • 機器・装置・運搬機の運転
  • 資材の材料管理・配置
  • 部品・製品の養生
  • 足場の組立て・解体
  • 廃材処理
  • 梱包・出荷
  • 資材・部品・製品の運搬
  • 入出渠
  • 清掃

出典:「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -造船・舶用工業分野の基準について-

ただし、関連業務ばかりを行うことはできませんのでご注意ください。
あくまでも、主要な業務が中心で関連業務はそれに伴って行う必要があるということを覚えておいてください。

どのような場所で働けるの?

特定技能「造船・舶用工業」を取得した外国人材は、以下の場所で働くことができます。

・造船所
巨大な船を建造する場所で、溶接、塗装、鉄工、とび、配管など、様々な作業が行われています。 例えば、タンカー、コンテナ船、客船、LNG船など、様々な種類の船舶の建造に携わることができます。

舶用機器メーカー
船舶に搭載されるエンジン、発電機、ポンプなどの機器を製造する会社。例えば、溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、配管、鋳造、金属プレス加工、強化プラスチック成形、機械保全、舶用機械加工など、様々な作業が行われています。

・船舶修理会社
船舶の修理やメンテナンスを行う会社。上記のような造船や舶用機器メーカーで行われる作業と同様の作業が行われております。

特定技能「造船・舶用工業」の在留資格を持つ外国人材は、これらの場所で、自分のスキルや経験を活かして働くことができます。

外国人材を採用すると、どんなメリットがある?

外国人材を採用することで、人材不足を解消できるだけでなく、組織に活力を与え、成長を加速させる可能性も秘めています。

まだ外国人材採用に迷いがある方も、ぜひ前向きに検討してみて欲しいです。想像以上に多くのメリットがあることに気づくはずです。

1. 即戦力として、生産性アップに貢献!

特定技能「造船・舶用工業」の外国人材は、造船に関する専門知識や技能を有し、日本語能力試験にも合格しています。教育コストや時間を大幅に削減できる、まさに「即戦力」といえる人材です。

例えば、溶接や塗装、組立など、専門性の高い工程にすぐに投入することが可能になります。

海外で長年造船に携わってきた経験豊富な外国人材を採用すれば、高い技術力ですぐに現場の戦力となり、生産性向上に貢献してくれることでしょう。

2. 採用コストを削減!優秀な人材を効率的に確保!

慢性的な人材不足に悩む造船・舶用工業において、求人広告や人材紹介会社への依頼など、採用活動にかかるコストは大きな負担となっています。

しかし、特定技能制度を活用すれば、従来よりも低いコストで優秀な人材を確保できる可能性があります。

特定技能「造船・舶用工業」の外国人材は、日本語能力試験に合格し、専門的な技能と知識を有しています。そのため、入社後の教育にかかる費用や時間を大幅に削減できるだけでなく、即戦力として活躍してくれることが期待できます。

3.熟練の技を未来へ、人材育成の架け橋に

長年培われてきた日本の造船技術ですが、少子高齢化の影響で、熟練の技術を持つベテラン世代が次々と引退を迎えています。一方、若年層の造船業離れも深刻化し、技術の継承が危ぶまれています。

そこで、特定技能「造船・舶用工業」の外国人材を採用することで、日本のベテラン技術者から熟練の技を学び、それを自国に持ち帰るだけでなく、日本の若手技術者へ伝える役割も担ってくれるでしょう。

異なる文化や背景を持つ外国人材との交流は、若手技術者にとって刺激となり、モチベーション向上に繋がることも期待できます。また、外国人材の指導を通して、ベテラン技術者は自身の技術を改めて見つめ直し、より効果的な指導方法を習得する機会にもなる可能性があります。

そもそも特定技能制度とは、どんな制度?

特定技能制度は、2019年に始まった制度で、人材不足を解消し、日本の経済を活性化させることを目的としています。一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、即戦力として活用することができます。

技能レベルに応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が設けられています。

項目特定技能1号特定技能2号
対象分野16分野全て介護分野を除く11分野
在留期間最長5年期限なし
技能レベル各分野の技能試験に合格より高い技能・知識を持ち、1号の要件を満たす
家族の帯同不可可能
  • 転職の自由
    同じ職種内であれば、自由に転職することができます。

誰でも特定技能人材になれる?

日本で造船・舶用工業の特定技能人材として働くためには、以下の条件を満たしている必要があります。

・技能水準「造船・舶用工業分野特定技能1号評価試験に合格」
この試験は、造船・舶用工業に必要な知識や技能を評価する試験です。

※以下の技能実習2号・3号を良好に修了した方は、技能試験が免除されます。

区分作業詳細
造船溶接手溶接、半自動溶接
造船塗装建築塗装、金属塗装、鋼橋塗装、噴霧塗装
造船鉄工構造物鉄工
造船とび
造船配管建築配管、プラント配管
舶用機械溶接手溶接、半自動溶接
舶用機械塗装建築塗装、金属塗装、鋼橋塗装、噴霧塗装
舶用機械鉄工構造物鉄工
舶用機械仕上げ治工具仕上げ、金型仕上げ、機械組立仕上げ
舶用機械機械加工普通旋盤、数値制御旋盤、フライス盤、マシニングセンタ
舶用機械配管建築配管、プラント配管
舶用機械鋳造鋳鉄鋳物鋳造、非鉄金属鋳物鋳造
舶用機械金属プレス加工
舶用機械強化プラスチック成形手積み積層成形
舶用機械機械保全機械系保全
舶用電気電子機器機械加工普通旋盤作業、数値制御旋盤、フライス盤、マシニングセンタ
舶用電気電子機器電気機器組立て回転電機組立て、変圧器組立て、配電盤・制御盤組立て、開閉制御器具組立て、回転電機巻線製作
舶用電気電子機器金属プレス加工
舶用電気電子機器電子機器組立て
舶用電気電子機器プリント配線板製造プリント配線板設計、プリント配線板製造
舶用電気電子機器配管建築配管、プラント配管
舶用電気電子機器機械保全機械系保全
参照:「「造船・舶用工業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領

・日本語能力水準「国際交流基金日本語基礎テスト、日本語能力試験(N4以上)に合格」
日常生活や業務に必要な日本語能力を証明するための試験です。

※技能実習2号・3号を良好に修了した方は、職種に関わらず日本語試験も免除されます。

外国人材を採用する際は、これらの内容をすべてクリアできているか必ず確認しましょう。

特定技能人材の採用はどうするの?

外国人材を採用する方法は、いくつかあります。

1.人材紹介会社を活用する

特定技能に特化した人材紹介会社を利用することで、適切な人材のマッチングからビザ申請手続き、入国時の対応までサポートを受けることができます。

初めて特定技能外国人を採用する場合に効果的です。

2.登録支援機関を利用する

登録支援機関は、特定技能外国人の生活支援や就労支援を行う専門機関です。 人材紹介会社が登録支援機関を担っているケースもあります。

人材紹介から支援計画の作成、在留手続きのサポートまで幅広いサービスを提供しています。

3.直接外国人材を採用する

海外に住んでいる外国人を直接採用する方法です。 企業が自ら海外の人材と連絡を取り合い、オンライン面接などを通して採用候補者を選考します。

ビザの申請など、必要な手続きもすべて企業自身で行う必要があります。

4.技能実習生から移行する

技能実習生として雇用している外国人を特定技能に変更することができます。
ただし、すべての技能実習生が特定技能「造船・舶用工業」に移行できるわけではありません。

各区分ごとに、以下の技能実習2号を良好に修了した方、または技能実習3号の実習計画を満了した方が対象となります。

区分作業詳細
造船溶接手溶接、半自動溶接
造船塗装建築塗装、金属塗装、鋼橋塗装、噴霧塗装
造船鉄工構造物鉄工
造船とび
造船配管建築配管、プラント配管
舶用機械溶接手溶接、半自動溶接
舶用機械塗装建築塗装、金属塗装、鋼橋塗装、噴霧塗装
舶用機械鉄工構造物鉄工
舶用機械仕上げ治工具仕上げ、金型仕上げ、機械組立仕上げ
舶用機械機械加工普通旋盤、数値制御旋盤、フライス盤、マシニングセンタ
舶用機械配管建築配管、プラント配管
舶用機械鋳造鋳鉄鋳物鋳造、非鉄金属鋳物鋳造
舶用機械金属プレス加工
舶用機械強化プラスチック成形手積み積層成形
舶用機械機械保全機械系保全
舶用電気電子機器機械加工普通旋盤作業、数値制御旋盤、フライス盤、マシニングセンタ
舶用電気電子機器電気機器組立て回転電機組立て、変圧器組立て、配電盤・制御盤組立て、開閉制御器具組立て、回転電機巻線製作
舶用電気電子機器金属プレス加工
舶用電気電子機器電子機器組立て
舶用電気電子機器プリント配線板製造プリント配線板設計、プリント配線板製造
舶用電気電子機器配管建築配管、プラント配管
舶用電気電子機器機械保全機械系保全

5.留学生を採用する

現在アルバイトとして雇用している留学生がいる場合、特定技能の試験に合格すれば、特定技能に変更することができます。

外国人材を受け入れるための準備内容

外国人材を採用するには、受け入れ企業にもいくつかの条件をクリアする必要があります。

造船・舶用工業分野の事業者であること

特定技能外国人を雇用するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 「造船法」に基づく事業を営む者
  • 「小型船造船業法」に規定する小型船造船業を営む者
  • その他の造船・舶用工業分野に係る事業を営む者

さらに、国土交通省が行う確認を受ける必要があり、確認後には「造船・舶用工業事業者の確認通知書」が交付されます。

造船・舶用工業分野特定技能協議会の構成員になる

外国人材の受け入れや支援を行うために設立された組織である「造船・舶用工業分野特定技能協議会」に加入し、国土交通省および協議会に協力する必要があります。協議会に加入することで、外国人材の採用に関する情報提供や相談・支援を受けることができます。

サポート体制

外国人材が安心して働けるよう、生活や仕事のサポート体制を整える必要があります。具体的には、住居の提供、日本語教育、生活に必要な情報の提供などを行うことが求められます。

外国人材を採用する流れ

外国人材の採用は日本人採用とは異なります。スムーズに外国人材を採用するために、事前準備からの流れをご紹介します。

ステップ内容
事前準備就業規則、賃金システム、住居、生活環境の整備
人材募集人材紹介会社や現地機関の活用、求人サイト、ハローワークなど
面接書類選考、面接(日本語能力、技能、コミュニケーション能力などを評価)
雇用契約雇用契約書締結(労働条件を明確にし、外国人材にも理解できるように説明)
ビザ申請特定技能ビザ申請(必要な書類を揃えて申請)
入社前準備住居確保、生活環境整備
入社オリエンテーション会社規則、業務内容、安全衛生教育など
業務開始実際の業務開始、日本人スタッフとのコミュニケーション促進
定期的な面談業務や生活面での課題を早期に発見するための面談
※上記の内容については、円滑に外国人材を受入れるために、登録支援機関へ委託することもできます。

外国人材を雇用する上での3つのポイント

外国人材の雇用は、人手不足解消の有効な手段となります。しかし、採用する際には注意すべき点もあります。

これらの注意点を理解しておくことで、外国人材とより良い関係を築き、スムーズに業務を進めることができるでしょう。

1.就労可能な業務範囲を明確にする

特定技能ビザで就労できる業務は、「造船」「舶用機械」「舶用電気電子機器」の3つの区分に分類されます。それぞれの区分に属する具体的な作業内容を把握し、外国人材の技能と経験に合致した業務を割り当てることが重要です。

外国人材が就労可能な業務範囲を明確に伝え、誤解がないようにすることが大切です。また、外国人材が持つ資格や技能を活かせる業務を積極的に任せることで、彼らのモチベーション向上に繋がります。

2.キャリア形成を支援する

外国人材の中には、日本で長く働き続けたいと考える人も多くいます。外国人材の長期的なキャリア形成を支援することで、外国人材の定着促進に繋げることができます。

具体的には、特定技能2号への移行支援、昇進の機会提供など、外国人材の将来設計をサポートすることが大切です。

近年、造船・舶用工業分野では、一人の従業員が複数の業務をこなせる多能工化が進んでいます。
企業は、外国人材に対しても多能工化を促す研修などを実施することで、外国人材の活躍の場を広げ、さらには企業の生産性向上にも貢献することができます。

3.就労状況の適切な管理

外国人材の就労状況を適切に管理することは、企業の責任です。外国人材の雇用は、法律や制度に基づいて行われる必要があり、企業は適切な手続きや管理を行う必要があります。

  • 在留管理局への届出
    外国人材を採用する際や、離職する際など、就労状況に変更があった場合は、入国管理局への届出が必要です。企業は、外国人材の在留資格を適切に管理し、法令を遵守する必要があります。
  • 不正就労の防止
    許可されていない業務や就労時間外の労働をさせてはいけません。外国人材の就労は、在留資格の範囲内で認められており、企業は外国人材に適切な業務を指示し、労働時間管理を徹底する必要があります。
  • 派遣労働の禁止
    林業分野では派遣労働は認められていないので、受入企業と直接雇用契約を結ぶ必要があります。

4.日本語レベルの確認

外国人材を採用する際は、日本語レベルをよく確認しましょう。日本語能力試験に合格しているからといって、必ずしも仕事を問題なくできる日本語レベルに達しているとは限りません。業務に必要な日本語レベルを習得しているか、面接の際に、実際に日本語で会話をして確認することが大切です。

もし、日本語レベルが不十分な場合は、日本語教育のサポートなどを強化しましょう。

外国人材が日本語を習得することで、結果的にコミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や安全確保にもつながります。

まとめ

この記事では、人材不足に悩む造船・舶用工業の企業の皆様に向けて、特定技能制度を利用した外国人材の雇用がいかに有効な解決策となるかをご紹介しました。

外国人材の採用は、単なる人手不足の解消だけでなく、技術伝承、生産性向上、国際競争力強化、さらにはコスト削減など、様々なメリットをもたらす可能性があります。多様な文化背景を持つ人材との出会いは、新たな発想やイノベーションを生み出し、企業の成長を加速させる可能性を秘めています。

ぜひ、この記事を参考にして、外国人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか?

新たな視点や発想を取り入れることで、今までにない技術や国際的な人材育成など、新たな可能性が生まれるかもしれません。

外国人材の活躍が、造船・舶用工業の未来を明るく照らしてくれることを願っています。