【鉄道業×特定技能】鉄道業界の人材不足解消の切り札!外国人材の力で鉄道の未来を支えよう!
外国人材の力で!安全・安心・快適な鉄道サービスを維持しよう
投稿日:2024年11月25日日本の鉄道は、世界に誇るべき安全性を維持し、毎日正確に運行することで、人々の生活や経済活動を支えています。
しかし、その裏側では、深刻な人材不足という大きな課題に直面していることをご存知でしょうか?
特に地方鉄道においては、現行ダイヤを維持するために必要な運転士の数が不足している事業者が50%に達するなど、状況は危機的と言えます。
出典:参議院常任委員会調査室・特別調査室 「地方部における鉄道運転士不足の現状と対応策 」
運転士不足は、単に列車の運行本数を減らすだけでなく、乗務員の負担増加による疲労やストレス、さらには安全運行にも影響を及ぼす可能性があり、看過できない問題です。
全国各地で、減便や最終列車の時刻繰り上げなどを余儀なくされている鉄道会社は後を絶ちません。
中には、運転士不足が原因の一つとされる重大インシデント事象が発生したケースもあり、安全確保の観点からも事態は深刻化しています。
このような状況に危機感を抱く鉄道関係者は多く、
「このままでは、安全な運行を維持できないかもしれない…」
「ベテラン運転士が退職したら、誰が列車を運転するのか…」
「人手不足で、従業員の負担が大きくなってしまう…」
など、多くの鉄道事業者が将来への不安を募らせています。
この深刻な人材不足を解消する切り札として、近年注目されているのが外国人材の活用です。
2019年4月に導入された特定技能制度により、鉄道業でも外国人材の採用が可能になりました。
この制度を活用することで、人材不足を解消し、安全で安定した鉄道運行を維持できるだけでなく、外国人材の持つ新たな視点や発想を活かしたサービス向上、ひいては日本の鉄道の未来を創造することに繋がる可能性を秘めているのです。
例えば、ある地方鉄道では、特定技能制度を利用してベトナム人材を採用し、運転士不足を解消しただけでなく、外国人材の真面目な仕事ぶりが、既存従業員のモチベーション向上にも繋がっています。 また、別の鉄道会社では、外国人材の語学力を活かして、訪日外国人旅行者向けのサービスを充実させることに成功した事例もあります。
このように、外国人材の活用は、単なる人手不足の解消にとどまらず、鉄道業界の成長や新たな価値創造にも繋がる可能性を秘めているのです。
この記事では、特定技能「鉄道業」の詳細要件や、外国人材の雇用プロセスをわかりやすく解説します。 ぜひ、最後まで読んで、特定技能の外国人材採用について理解を深めてください。
特定技能「鉄道業」は、どのような業務内容?
特定技能「鉄道業」とは、外国人材に鉄道の運行や保守、整備などの業務に従事してもらうための在留資格です。
具体的には、以下の5つの業務区分に分かれています。
業務区分 | 業務内容 |
---|---|
軌道整備 | 軌道検測、レール交換、まくらぎ交換、バラスト取扱、保安設備取扱など |
電気設備整備 | 電車線、送電線、配電線、信号装置、転てつ装置などの新設、改良、修繕、検査など |
車両整備 | 列車検査、定期検査、臨時検査、構内入換、駅派出対応、改造工事、在庫管理など |
車両製造 | 素材加工、部品組立、構体組立、塗装、溶接、試験・検査など |
運輸係員 | ポイント操作、入換え合図、駅設備管理、旅客案内、貨物取扱、運行管理、車掌業務、運転士業務など |
これらの業務内容に加えて、関連業務を行うことも認められています。
例えば、以下のような業務が挙げられます。
- 事務作業
- 作業場所の整理整頓
- 清掃
ただし、関連業務ばかりを行うことはできませんのでご注意ください。
あくまでも、主要な業務が中心で関連業務はそれに伴って行う必要があるということを覚えておいてください。
外国人材を採用すると、どんなメリットがある?
外国人材を採用することで、人材不足を解消できるだけではありません。 企業に新たな風を吹き込み、成長を加速させる可能性も秘めているのです。
まだ外国人材採用に迷いがある方も、ぜひ前向きに検討してみて欲しいです。
想像以上に多くのメリットがあることに気づくはずです。
1.人材不足の解消と労働環境の改善!
深刻な人手不足に直面している鉄道業界において、外国人材の採用は、即戦力となる労働力を確保できる有効な手段です。 特に、運転士や駅員など、鉄道運行を支える上で欠かせない「現業職」の不足を補うことができます。 外国人材の活躍により、既存の日本人従業員の労働負担を軽減し、労働環境の改善にも繋がります。
2.多様性のある職場環境を!
外国人材の採用は、企業に活気と多様性をもたらします。 異なる文化や価値観を持つ人材が共に働くことで、新しいアイデアや発想が生まれ、 今までになかった視点を取り入れることで、サービス向上や新たなビジネスチャンスに繋がる可能性も広がります。
3.グローバル化に対応!
「訪日外国人旅行者の増加に伴い、鉄道業界では多言語での案内や対応が求められています。外国人材を採用すれば、言葉の壁を乗り越え、外国人観光客のおもてなしを強化することができます。
外国人観光客が増えてきたけど、言葉が通じなくて困る…」 そんな経験はありませんか?
このように、外国人材の採用は、鉄道業界にとって多くのメリットをもたらします。
積極的に外国人材を活用することで、人材不足の解消だけでなく、より安全で快適な鉄道サービスの提供、ひいては日本の鉄道の未来を創造することに繋がるのではないでしょうか。
そもそも特定技能制度とは、どんな制度?
特定技能制度は、2019年に始まった制度で、人材不足を解消し、日本の経済を活性化させることを目的としています。一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、即戦力として活用することができます。
技能レベルに応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が設けられていますが、鉄道業は「特定技能2号の対象外分野」になります。
従って、特定技能1号の在留期間である5年が、鉄道分野で働ける最長の期間となります。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
対象分野 | 16分野全て | 介護分野を除く11分野 |
在留期間 | 最長5年 | 期限なし |
技能レベル | 各分野の技能試験に合格 | より高い技能・知識を持ち、1号の要件を満たす |
家族の帯同 | 不可 | 可能 |
- 転職の自由
同じ職種内であれば、自由に転職することができます。
誰でも特定技能人材になれる?
日本で鉄道業で働くためには、特定技能「鉄道業」の資格が必要です。
この資格を得るには、鉄道業務に関する知識や技術、そして、日常生活で困らない程度の日本語力を持っていることを証明しなければなりません。
具体的には、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。
1.技能試験に合格する
鉄道業務に必要な知識や技術を問う試験です。 試験内容は、以下の5つの業務区分に応じて異なります。
・軌道整備
指導者の指示・監督の下、鉄道における作業等に関する特異性を理解し、軌道整備に係る作業等を適切かつ安全にできるレベルであることを確認する試験です。
・電気設備整備
指導者の指示・監督の下、鉄道における作業等に関する特異性を理解し、電気設備整備に係る作業等を適切かつ安全にできるレベルであることを確認する試験です。
・車両整備
指導者の指示・監督の下、鉄道における車両整備に係る作業等を適切かつ安全にできるレベルであることを確認する試験です。
・車両製造
指導者の指示・監督の下、鉄道における車両製造に係る作業を適切かつ安全にできるレベルであることを確認する試験です。
・運輸係員
指導者の指導・監督の下、鉄道における運輸係員が行う作業等を適切かつ安全にできるレベルであることを確認する試験です。
特定技能「鉄道業」の技能試験免除について
特定技能「鉄道業」の資格を得るには、技能試験に合格する必要がありますが、技能実習2号を良好に修了した外国人は、特定技能1号の在留資格に必要な技能水準を満たしていると見なされ、対応する技能試験が免除されます。
具体的には、以下の表のように、技能実習2号の職種・作業と特定技能1号の業務区分が対応しています。
特定技能1号の業務区分 | 技能実習2号の職種・作業 |
---|---|
軌道整備 | 鉄道施設保守整備職種(軌道保守整備作業) |
電気設備整備 | – |
車両整備 | 鉄道車両整備職種(走行装置検修・解ぎ装作業、空気装置検修・解ぎ装作業) |
車両製造 | 機械加工職種(普通旋盤作業、フライス盤作業、数値制御旋盤作業、マシニングセンタ作業)、鉄工職種(構造物鉄工作業)、仕上げ職種(治工具仕上げ作業、金型仕上げ作業、機械組立仕上げ作業)、電子機器組立て職種(電子機器組立て作業)、電気機器組立て職種(回転電機組立て作業、変圧器組立て作業、配電盤・制御盤組立て作業、開閉制御器具組立て作業、回転電機巻線製作作業)、塗装職種(金属塗装作業、噴霧塗装作業)、溶接職種(手溶接作業、半自動溶接作業) |
運輸係員 | – |
2.日本語能力試験に合格する
日本で生活するために必要な日本語力を測る試験です。 N4以上の日本語能力が必要です。
技能実習2号を良好に修了した場合は、日本語能力試験が免除される場合があります。ただし、運輸係員の業務区分では、技能実習2号を良好に修了した外国人であっても、技能試験の免除はありません。
これは、運輸係員が、運輸指令との無線によるコミュニケーションや異常時の避難誘導等の緊急時の対応を行う必要があり、高い日本語能力が求められるためです。
運輸係員の業務区分に従事する場合は、日本語能力試験N3以上に合格する必要があります。
外国人材を採用する際は、これらの内容をすべてクリアできているか必ず確認しましょう。
外国人材を受け入れるための準備内容
すぐにでも外国人材を採用したい!と思っても、どんな会社でも採用できるわけではありません。
外国人材を受け入れるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
- 鉄道事業法に基づく鉄道事業者である
鉄道事業を営むためには、鉄道事業法に基づく許可が必要です。
外国人材を採用する場合も、この許可を得ていることが前提となります。
- 鉄道分野特定技能協議会の会員になる
鉄道分野特定技能協議会は、外国人材の受け入れや支援を行うための組織です。
外国人材を雇用するためには、この協議会の会員になり、協議会が定めたルールを守る必要があります。
- 過去1年以内に非自発的離職者(解雇やリストラ等)、特定技能外国人や技能実習生の行方不明者を発生させていない
外国人材の雇用を安定的に行うためには、会社の経営状況が健全であることが求められます。
過去1年以内に解雇やリストラ等による非自発的な離職者を出していないことが条件となります。また、外国人材の適切な管理体制が整備されていることが重要です。
過去に特定技能外国人や技能実習生の行方不明者を会社の責任で発生させていないことが求められます。
・外国人材が安心して働けるようにサポートすること
外国人材が安心して働けるよう、生活や仕事のサポート体制を整える必要があります。
例えば、住居の提供、日本語教育の支援、生活に必要な情報の提供などを行うことが大切です。
これらの条件を満たすことで、企業は外国人材を受け入れる準備が整ったとみなされます。
外国人材の採用を検討している鉄道会社は、事前にこれらの要件をしっかりと確認しておきましょう。
特定技能人材の採用はどうするの?
外国人材を採用する方法は、いくつかあります。
1.人材紹介会社を活用する
特定技能に特化した人材紹介会社を利用することで、適切な人材のマッチングからビザ申請手続き、入国時の対応までサポートを受けることができます。
初めて特定技能外国人を採用する場合に効果的です。
2.登録支援機関を利用する
登録支援機関は、特定技能外国人の生活支援や就労支援を行う専門機関です。 人材紹介会社が登録支援機関を担っているケースもあります。
人材紹介から支援計画の作成、在留手続きのサポートまで幅広いサービスを提供しています。
3.直接外国人材を採用する
海外に住んでいる外国人を直接採用する方法です。 企業が自ら海外の人材と連絡を取り合い、オンライン面接などを通して採用候補者を選考します。
ビザの申請など、必要な手続きもすべて企業自身で行う必要があります。
4.技能実習生から移行する
技能実習生として雇用している外国人を特定技能に変更することができます。
ただし、すべての技能実習生が特定技能「漁業」に移行できるわけではありません。
「漁業職種」の技能実習2号を良好に修了した方、または技能実習3号の実習計画を満了した方が対象となります。
5.留学生を採用する
現在アルバイトとして雇用している留学生がいる場合、特定技能の試験に合格すれば、特定技能に変更することができます。
外国人材を採用する流れ
外国人材の採用は、日本人採用とは異なる点があります。
スムーズに外国人材を採用するために、事前準備からの流れを紹介します。
ステップ | 内容 |
---|---|
事前準備 | 就業規則、賃金システム、住居、生活環境の整備 |
人材募集 | 人材紹介会社や現地機関の活用、求人サイト、ハローワークなど |
面接 | 書類選考、面接(日本語能力、技能、コミュニケーション能力などを評価) |
雇用契約 | 雇用契約書締結(労働条件を明確にし、外国人材にも理解できるように説明) |
ビザ申請 | 特定技能ビザ申請(必要な書類を揃えて申請) |
入社前準備 | 住居確保、生活環境整備 |
入社オリエンテーション | 会社規則、業務内容、安全衛生教育など |
業務開始 | 実際の業務開始、日本人スタッフとのコミュニケーション促進 |
定期的な面談 | 業務や生活面での課題を早期に発見するための面談 |
外国人材を雇用する上での3つのポイント
外国人材の雇用は、人手不足解消の有効な手段となります。しかし、採用する際には注意すべき点もあります。
これらの注意点を理解しておくことで、外国人材とより良い関係を築き、スムーズに業務を進めることができるでしょう。
1.就労可能な業務範囲
特定技能「鉄道業」の在留資格を持つ外国人材は、鉄道の運行や保守、整備などの業務に従事することができますが、就労可能な業務範囲は決められています。
許可されている業務
・軌道整備
・電気設備整備
・車両整備
・車両製造
・運輸係員
・上記業務に付随する関連業務(事務作業、作業場所の整理整頓、清掃など)
外国人材に許可されていない業務をさせてしまうと、法律違反となります。
採用前に就労可能な業務範囲をしっかりと確認し、外国人材にも理解させましょう。
2.適切な就労状況の管理
外国人材の就労状況を適切に管理することは、企業の責任です。
- 在留管理局への届出
採用時や離職時など、外国人材の就労状況に変更があった場合は、入国管理局への届出が必要です。 - 不正就労の防止
許可されていない業務や就労時間外の労働をさせてはいけません。 - 派遣社員として雇用
特定技能外国人は、直接雇用のみが認められています。派遣社員として雇用することはできません。
外国人材が安心して働けるよう、就労状況を適切に管理し、必要なサポートを提供しましょう。
3.日本語レベルの確認
外国人材を採用する際は、日本語レベルをよく確認しましょう。 業務に必要な日本語レベルを習得しているか、面接の際に、実際に日本語で会話をして確認することが大切です。 もし、日本語レベルが不十分な場合は、日本語教育のサポートなどを強化しましょう。
外国人材が日本語を習得することで、結果的にコミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や安全確保にもつながります。
まとめ
この記事では、人材不足に悩む鉄道会社に向けて、特定技能制度を利用した外国人材の雇用がいかに有効な解決策となるかをご紹介しました。
外国人材の採用は、単なる人手不足の解消だけでなく、技術継承の促進、多様性の促進、国際化への対応など、様々なメリットをもたらす可能性があります。
ぜひ、この記事を参考にして、外国人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか?
新たな視点や発想を取り入れることで、より安全で快適な鉄道サービスの提供、ひいては日本の鉄道の未来を創造することに繋がるかもしれません。