茨城県取手市「綜合建物サービス」の実習生受入れ事例

1.カンボジア情勢をいち早く察知
先日、茨城県取手市のビルメンテナンス会社「綜合建物サービス」の代表取締役 大野洋平さん(写真右端)に話を聞く機会があった。
「綜合建物サービス」は、十一年程前にカンボジアに現地法人SOKEN CAMBODIAを設立し、海外進出を果たしている。
当時のカンボジア経済は成長著しく、商業ビル、ホテル、コンドミニアムなど建設ラッシュに湧いていた。
とはいえ、まだプノンペン市内に大型ビルは数棟しかなかった頃で、近い将来のビルメンテナンスへのニーズを予見しての展開であった。
初めは人材採用や教育面で苦労したそうだ。
しかし、「日本式ビルクリーニング」の品質や意義の必要性を粘り強く啓蒙したという。
その甲斐あって今では圧倒的なシェアを誇り、設立当時、日本人1人、カンボジア人1人だった従業員が、210人を抱えるまでに成長を遂げた。
2.技能実習制度を活用し、クオリティアップを目指す
そして、2018年からは、さらなるサービス品質向上のため、カンボジア人社員を技能実習生として日本に招聘するスキームを開始。
翌年合流した二期生も合わせてこれまで12名の実習生を受入れている。
年齢は20代から40代と幅広く、なかには母国語を書けなかった社員もいたが、学歴ではなく、それまでの仕事ぶりや意気込みを評価して選抜した。
実習期間が終わればカンボジアへ帰国し、日本で習得した技術や考え方を管理職として他の社員に伝授してもらい、全体のレベルアップを図ることが狙いだ。
「一期生・二期生ともに日本の現場で多くの経験を積んで、どんどん吸収していくので頼もしい」と大野社長。
そしてコロナ禍のこの約2年間、立ち止まることなく自分たちの担当する現場の清掃業務に集中し、期待以上の結果を出してくれたことに感謝の気持ちでいっぱいだと言う。
「実習生と会社が共に成長することが出来た貴重な時間となりました」(大野社長)。
一期生・二期生、そして日本人社員、それぞれの役割が明確になり、信頼し合える強いチームになっていく手応えを感じたそうだ。
3.人材育成を通して広がる可能性
既に一期生は3年間の実習期間を終えて帰国してしまったが、この好循環の流れを断ち切らないように、コロナ禍で受入れがままならなかった三期生の募集を二年遅れで再開し、間もなく新たに3名の来日を予定している。
二期生の5名は実習期間が残り一年を切っているが、予定通り帰国して現地法人へ復職する者、このまま日本に残って特定技能人材として継続就業を希望する者、と青写真は様々だ。
「三年の実習期間で人は大きく変化し成長するもの。実習修了時に、改めてそれぞれの将来を見据えてキャリアパスを考えてもらえばよい。」と大野社長。
まさに技能実習制度の理念である『開発途上地域の経済発展を担う人づくりに寄与する』の真髄を体現する姿に敬服する思いだ。
(※このコラムは、ビル新聞2022年6月27日号掲載「茨城県取手市「綜合建物サービス」の実習生受入れ事例」Vol.39を加筆転載したものです。)