【林業×特定技能】林業再生の鍵!特定技能外国人材を採用して、林業を活性化させよう
~特定技能人材が支える日本の林業の未来~
投稿日:2024年12月6日日本の林業は、国土の約7割を占める森林を管理し、木材資源を供給するという重要な役割を担っています。しかし、近年、林業従事者の高齢化と人材不足が深刻化し、森林の荒廃や木材自給率の低下が懸念されています。
林野庁の調査によると、林業就業者は2015年の約5万2千人から2020年には約4万人にまで減少しており、高齢化率も65歳以上が約38%と全産業平均の約25%を大きく上回っています。
人材不足は森林の適切な管理を難しくし、木材生産の減少や国産材の価格上昇や林業の衰退に繋がります。
例えば、1970年代に創業した家族経営の製材所では、かつては10名ほどの従業員を抱え、地域の木材供給を支えていましたが、山林からの木材搬出作業を行う人材を確保できず、受注を断らざるを得ない状況が続きました。
後継者となるべき息子が都市部へ就職し、事業を継ぐ人がいなかったことや、競争激化の中で採算を度外視した低価格での受注を続け、利益を確保することが難しくなったことや人材不足と資金不足から、最新設備の導入や作業の効率化が進まず生産性が低下したことなどが廃業の要因となったようです。
製材所の社長は、「人材不足が、廃業の最大の原因だった」と語っています。
このように、林業の人材不足は、事業者の経営を圧迫し、廃業や倒産に追い込まれるケースも少なくありません。これは林業全体の衰退、ひいては森林の荒廃や木材自給率の低下に繋がっていくのです。
そこで、この課題解決に期待されているのが、外国人材の活用です。
2019年4月に導入された特定技能制度は、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、人材不足の解消を目的としています。
林業分野でも、2024年3月29日に特定技能制度が導入され、外国人材の受け入れが可能になりました。特定技能制度を活用することで、人材不足を解消し、林業全体の活性化を図る動きが広がっています。
例えば、森林整備や木材伐採を行う会社では、特定技能制度を利用してベトナム人材を採用しました。
彼らが持つ高い技能と勤勉さによって、人材不足が解消されただけでなく、これまで高齢化により難しかった、より広範囲の森林管理が可能になりました。また、外国人材の積極的な姿勢が、日本人従業員のモチベーション向上にも繋がっています。
この記事では、特定技能「林業」の詳細要件や、外国人材の雇用プロセスをわかりやすく解説します。
ぜひ、最後まで読んで、特定技能の外国人材採用について理解を深めてください。
特定技能「林業」は、どのような業務内容?
特定技能「林業」とは、外国人材に森林の整備や木材生産などの業務に従事してもらうための在留資格です。
具体的には、以下の業務内容が想定されています。
<関連する業務>
主たる業務をしている日本人従業員が普段やっている仕事で、特定技能外国人は、これらの仕事のお手伝いができます。
具体的には、次のような仕事があります。
区分 | 例 |
---|---|
林産物の加工 | 会社で生産した林産物を原料とした林内での製造・加工 |
会社で林産物を生産するときにできる副産物(樹皮やツルなど)を原料とした製造・加工 | |
機械・道具 | 機械や道具のメンテナンス |
資材 | 資材の管理や運搬 |
清掃 | 会社で使う事務所などの清掃 |
その他 | 会社で林業の仕事をしている日本人が普段やっている仕事 |
冬に雪が降ったときの除雪作業 |
ただし、関連業務ばかりを行うことはできませんのでご注意ください。
あくまでも、主要な業務が中心で関連業務はそれに伴って行う必要があるということを覚えておいてください。
どのような場所で働けるの?
特定技能「林業」を取得した外国人材は、様々な場所で働くことができます。
具体的には、以下のような場所が挙げられます。
働く場所 | 説明 |
---|---|
林業事業体 | 木材生産や森林整備を行う会社 |
森林組合 | 森林所有者などが共同で設立した組織 |
地方公共団体 | 国有林や公有林を管理する自治体 |
外国人材を採用すると、どんなメリットがある?
外国人材を採用することで、人材不足の解消だけでなく、林業の活性化に繋がる様々なメリットがあります。
1. 経験豊富な人材で人材不足を解消&生産性向上!
高齢化や若者の林業離れが進む中、外国人材は林業の未来を担う貴重な存在です。
母国や技能実習を通じて林業経験を持つ人材なら、日本の林業にもスムーズに適応し、 森林整備や木材生産の現場で力を発揮してくれるでしょう。
人材不足を解消し、生産性を向上させることで、 企業の成長と発展に大きく貢献してくれるはずです。
2. 新たな視点と技術で、林業を活性化!
母国で培ってきた独自の技術や知識そして文化や習慣、 彼らの多様な視点や発想は、従来の日本の林業にはなかったイノベーションを生み出す可能性を秘めています。
新しい技術の導入や作業効率の改善、 さらには海外市場への進出など、 外国人材の活躍は林業の活性化に大きく貢献するでしょう。
3. 地域社会を活性化!
彼らが地域に定着することで消費活動が活発化し、地域経済の活性化に貢献するだけでなく、 地域住民との交流を通じて 多文化共生社会の実現にも近づくことができます。
外国人材の受け入れは、林業の活性化だけでなく、 地域社会全体の活性化にも繋がる、 まさに「一石二鳥」の取り組みと言えるでしょう。
そもそも特定技能制度とは、どんな制度?
特定技能制度は、2019年に始まった制度で、人材不足を解消し、日本の経済を活性化させることを目的としています。一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、即戦力として活用することができます。
技能レベルに応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が設けられています。ただし、林業は「特定技能2号の対象外分野」になります。
従って、特定技能1号の在留期間である5年が、林業分野で働ける最長の期間となります。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
対象分野 | 16分野全て | 介護分野を除く11分野 |
在留期間 | 最長5年 | 期限なし |
技能レベル | 各分野の技能試験に合格 | より高い技能・知識を持ち、1号の要件を満たす |
家族の帯同 | 不可 | 可能 |
- 転職の自由
同じ職種内であれば、自由に転職することができます。
誰でも特定技能人材になれる?
日本で林業で働くためには、一定の技能と日本語能力を持っていることが必要です。
具体的には、以下の条件を満たしている必要があります。
・技能水準「林業技能測定試験に合格」
林業に必要な知識や技能を評価する試験です。
樹木の識別、伐採、造林、安全に関する知識などの問題が出題されます。
※「育林・素材生産作業」の技能実習2号・3号を良好に修了している場合は、この試験は免除されます。
・日本語能力水準「国際交流基金日本語基礎テスト、日本語能力試験(N4以上)に合格」
日本語能力試験は、日常生活や仕事で必要な日本語力を測る試験です。
N4レベルは、基本的な日本語を理解し、簡単な会話ができるレベルです。
※技能実習2号・3号を良好に修了している場合は、職種に関わらず日本語能力試験は免除されます。
外国人材を採用する際は、これらの内容をすべてクリアできているか必ず確認しましょう。
特定技能人材の採用はどうするの?
外国人材を採用する方法は、いくつかあります。
1.人材紹介会社を活用する
特定技能に特化した人材紹介会社を利用することで、適切な人材のマッチングからビザ申請手続き、入国時の対応までサポートを受けることができます。
初めて特定技能外国人を採用する場合に効果的です。
2.登録支援機関を利用する
登録支援機関は、特定技能外国人の生活支援や就労支援を行う専門機関です。 人材紹介会社が登録支援機関を担っているケースもあります。
人材紹介から支援計画の作成、在留手続きのサポートまで幅広いサービスを提供しています。
3.直接外国人材を採用する
海外に住んでいる外国人を直接採用する方法です。 企業が自ら海外の人材と連絡を取り合い、オンライン面接などを通して採用候補者を選考します。
ビザの申請など、必要な手続きもすべて企業自身で行う必要があります。
4.技能実習生から移行する
技能実習生として雇用している外国人を特定技能に変更することができます。
ただし、すべての技能実習生が特定技能「林業」に移行できるわけではありません。
「林業職種の育林・素材生産作業」の技能実習2号を良好に修了した方、または技能実習3号の実習計画を満了した方が対象となります。
5.留学生を採用する
現在アルバイトとして雇用している留学生がいる場合、特定技能の試験に合格すれば、特定技能に変更することができます。
外国人材を受け入れるための準備内容
外国人材を採用するには、受け入れ企業にもいくつかの条件をクリアする必要があります。
・林業労働力の確保の促進に関する法律に基づく許可を得ている
特定技能「林業」の外国人材を受け入れるには、「林業労働力の確保の促進に関する法律」に基づく許可を得ている、もしくは「森林経営管理法」に基づき都道府県知事が公表した民間事業者に限ります。
これは、森林の適切な整備と保全を確保するために、外国人材を雇用する企業が一定の基準を満たしていることを確認するためのものです。
・協議会の構成員
「林業特定技能協議会」に加入し、国土交通省および協議会に協力する必要があります。
この協議会は、外国人材の受け入れや支援を行うために設立された組織です。外国人材の採用に関する情報提供や相談・支援を受けることができます。
・サポート体制
外国人材が安心して働けるよう、生活や仕事のサポート体制を整える必要があります。 具体的には、住居の提供、日本語教育、生活に必要な情報の提供などを行うことが求められます。
外国人材を採用する流れ
外国人材の採用は日本人採用とは異なります。
スムーズに外国人材を採用するために、事前準備からの流れをご紹介します。
ステップ | 内容 |
---|---|
事前準備 | 就業規則、賃金システム、住居、生活環境の整備 |
人材募集 | 人材紹介会社や現地機関の活用、求人サイト、ハローワークなど |
面接 | 書類選考、面接(日本語能力、技能、コミュニケーション能力などを評価) |
雇用契約 | 雇用契約書締結(労働条件を明確にし、外国人材にも理解できるように説明) |
ビザ申請 | 特定技能ビザ申請(必要な書類を揃えて申請) |
入社前準備 | 住居確保、生活環境整備 |
入社オリエンテーション | 会社規則、業務内容、安全衛生教育など |
業務開始 | 実際の業務開始、日本人スタッフとのコミュニケーション促進 |
定期的な面談 | 業務や生活面での課題を早期に発見するための面談 |
外国人材を雇用する上での3つのポイント
外国人材の雇用は、人手不足解消の有効な手段となります。しかし、採用する際には注意すべき点もあります。
これらの注意点を理解しておくことで、外国人材とより良い関係を築き、スムーズに業務を進めることができるでしょう。
1. 安全管理体制の構築
林業は、自然を相手にする仕事であり危険を伴う作業も多いです。外国人材にとって、日本の安全基準や作業方法は、母国のものとは異なる場合があります。
外国人材の方には、日本の安全基準や作業方法をしっかりと理解させて、安全意識の向上を図ることが重要です。
例えば、多言語対応のマニュアルやビデオなどを用意し、外国人材が安全に関する情報にアクセスしやすい環境を整えましょう。また、定期的な安全訓練を実施し、緊急時の対応などを外国人材にしっかりと教育することで、安全に対する意識を高めることができます。
さらに、外国人材が安全に関する不安や疑問を気軽に相談できるような環境を作ることも大切です。外国人材が安心して働けるようコミュニケーションを取り、しっかりと信頼関係を築くことが安全管理体制の構築に繋がります。
2. 就労状況の適切な管理
外国人材の就労状況を適切に管理することは、企業の責任です。
外国人材の雇用は、法律や制度に基づいて行われる必要があり、企業は適切な手続きや管理を行う必要があります。
- 在留管理局への届出
外国人材を採用する際や、離職する際など、就労状況に変更があった場合は、入国管理局への届出が必要です。企業は、外国人材の在留資格を適切に管理し、法令を遵守する必要があります。 - 不正就労の防止
許可されていない業務や就労時間外の労働をさせてはいけません。外国人材の就労は、在留資格の範囲内で認められており、企業は外国人材に適切な業務を指示し、労働時間管理を徹底する必要があります。 - 派遣労働の禁止
林業分野では派遣労働は認められていないので、受入企業と直接雇用契約を結ぶ必要があります。
3. 日本語レベルの確認
外国人材を採用する際は、日本語レベルをよく確認しましょう。日本語能力試験に合格しているからといって、必ずしも仕事を問題なくできる日本語レベルに達しているとは限りません。業務に必要な日本語レベルを習得しているか、面接の際に、実際に日本語で会話をして確認することが大切です。
もし、日本語レベルが不十分な場合は、日本語教育のサポートなどを強化しましょう。
外国人材が日本語を習得することで、結果的にコミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や安全確保にもつながります。
まとめ
この記事では、人材不足に悩む林業の企業の皆様に向けて、特定技能制度を利用した外国人材の雇用がいかに有効な解決策となるかをご紹介しました。
外国人材の採用は、単なる人手不足の解消だけでなく、生産性向上、技術の伝承、地域経済の活性化など、様々なメリットをもたらす可能性があります。多様な文化背景を持つ人材との出会いは、新たな発想やイノベーションを生み出し、林業の成長を加速させる可能性を秘めています。
ぜひ、この記事を参考にして、外国人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか?
新たな視点や発想を取り入れることで、今までにない技術や作業効率の向上、国際的な人材育成など、新たな可能性が生まれるかもしれません。
外国人材の活躍が、林業の未来を明るく照らしてくれることを願っています。