【飲食料品製造業×特定技能】人材不足解消の切り札!特定技能外国人材の力で生産性アップを目指そう!
日本の食卓を支える飲食料品製造業。近年では、国内市場の縮小や人材不足といった課題に直面しています。
その背景には、原材料価格の高騰や人材不足などが挙げられます。
例えば、地方の中堅製麺会社では、人手不足により、新規の取引先からの受注を断らざるを得ない状況に陥っています。 また、都市部の大手パン工場では、従業員の高齢化が進み、生産ラインの維持が困難になりつつあります。
このような状況下、多くの食品製造業経営者の方が頭を悩ませています。
「求人広告を掲載しても、応募が全く来ない…」
「せっかく新しい機械を導入したのに、操作できる人材がいない…」
「人手が足りず、残業ばかりで従業員が疲弊している…」
「ベテラン従業員が引退したら、技術の継承はどうなるのか…」
など、多くの企業が共通の悩みを抱えているのではないでしょうか?
その解決策の一つとして、近年注目されているのが外国人材の活用です。
2019年4月に始まった特定技能制度により、飲食料品製造業でも外国人材の採用が可能になりました。
この制度を活用することで、人材不足を解消し、生産性向上や事業拡大を図る企業が増えています。
例えば、東北地方のある水産加工会社では、特定技能制度を利用してベトナム人材を採用。人材不足を解消しただけでなく、外国人材の勤勉さや真面目さが、既存従業員のモチベーション向上にも繋がっています。
また、九州のある味噌製造会社では、インドネシア人材を採用し、多様な文化背景を持つ人材との交流を通して、新しい商品開発のアイデアが生まれたそうです。
このように、外国人材の活用は、単なる人手不足の解消だけでなく、企業の成長や新たな価値創造にも繋がる可能性を秘めているのです。
この記事では、特定技能「飲食料品製造業」の詳細要件や、外国人材の雇用プロセスをわかりやすく解説します。
ぜひ、最後まで読んで、特定技能の外国人材採用について理解を深めてください。
特定技能「飲食料品製造業」は、どのような業務内容?
特定技能「飲食料品製造業」とは、外国人材に食品工場などで働いてもらうための在留資格です。
ご存じの方も多いと思いますが、具体的には、下記のような業務内容が該当します。
項目 | 業務内容 |
---|---|
食材加工 | 食材の洗浄、選別、カット、計量など |
製造 | 加熱・冷却、発酵、熟成、包装、瓶詰め、缶詰など |
品質管理 | 衛生管理、品質検査、異物混入防止など |
機械操作 | 食品製造機械の操作、メンテナンスなど |
飲食料品製造業分野では、酒類を除く飲食料品の製造・加工および安全衛生の確保に関する業務に従事することができます。
具体的な業務例としては、原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥、使用する機械に係る安全確認、作業者の衛生管理などがあり、 特定技能2号になると、品質管理、納期管理、コスト管理、従業員管理、原材料管理等も行うことが可能になります。
どのような場所で働けるの?
特定技能「飲食料品製造業」では、様々な食品を製造する場所で働くことができます。
<働く事が出来る場所>
業種 | 例 |
---|---|
食料品製造業 | 食肉加工、水産加工、野菜加工、豆腐・納豆製造、パン・菓子製造、飲料製造(酒類を除く)、乳製品製造、調味料製造、冷凍食品製造、乾麺・漬物・缶詰製造など |
清涼飲料製造業 | ジュース、お茶、コーヒーなどを製造する工場 |
茶・コーヒー製造業(清涼飲料製造業は除く) | お茶、コーヒーなどを製造する工場 |
製氷業 | 氷を製造する工場 |
総合スーパーマーケット(食料品製造を行っている場合) | 青果物加工、鮮魚加工、食肉加工、ベーカリー製造、そう菜製造などを行うスーパーマーケット |
食料品スーパーマーケット(食料品製造を行っている場合) | 青果物加工、鮮魚加工、食肉加工、ベーカリー製造、そう菜製造などを行う食料品スーパーマーケット |
菓子小売業(製造小売) | 和菓子、洋菓子などを製造・販売する店 |
パン小売業(製造小売) | パンを製造・販売する店 |
豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(製造小売に限る) | 豆腐、かまぼこなどを製造・販売する店 |
出典:農林水産省「飲食料品製造業分野における特定技能外国人受入れの制度について」
<働く事が出来ない場所>
業種 | 例 |
---|---|
酒類製造業 | ビール、日本酒、ワインなどを製造する工場 |
飲食料品小売業 | スーパーマーケット、コンビニエンスストアなど |
飲食料品卸売業 | 食品卸売業者 |
塩製造業 | 塩を製造する工場 |
医薬品製造業 | 医薬品を製造する工場 |
香料製造業 | 香料を製造する工場 |
ペットフードの製造 | ペットフードなどを製造する工場 |
外国人材を採用すると、どんなメリットがある?
外国人材を採用することで人手不足を解消するだけでなく、企業に新しい風を吹き込み、成長を加速させる可能性も秘めています。
まだ外国人材採用に迷いがある方も、ぜひ前向きに検討してみて欲しいです。想像以上に多くのメリットがあることに気づくはずです。
1.慢性的な人材不足の解消と即戦力の確保
特定技能制度では、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を採用できるため、教育コストを抑え、即戦力として活躍してくれる人材を獲得できます。
日本での技能実習や母国で食品製造の経験を持つ人材を採用できれば、日本の食品衛生管理や製造技術を学ぶための研修期間を短縮し、すぐに現場で活躍してもらうことも可能です。
2.生産性向上とコスト効率の改善
外国人材を採用することで、生産性の向上とコスト効率の改善を同時に実現できる可能性があります。
夜間シフトや繁忙期の従業員確保が容易になり、生産性が向上するだけでなく、人件費の削減にもつながります。外国人人材の活用により、人件費を最大20%削減できたという事例もあります。また、特定技能外国人材は、技能実習生と比べて、より幅広い業務に従事することが認められています。
例えば、特定技能2号の人材だと、原材料の受け入れ検査、製造ライン管理、製品の品質チェック、在庫管理など、従来の技能実習生では認められていなかった業務を担うことができます。
技能実習生と比較して、幅広く業務範囲をカバーできるため、人材の有効活用と業務効率の向上が期待できます。
3.多様性の促進と企業の活性化
多様な文化背景を持つ外国人材を採用することで、企業に新たな視点や発想がもたらされ、イノベーションや活性化につながる可能性があります。
例えば、ベトナム人材がベトナム風の調味料のアイデアを提案し、新商品開発につながった事例や、中国人材の知識を活かし、中国市場向けの商品開発や販路開拓に至った企業などがあります。
多様性のある職場は、普通の職場と比べてイノベーション力が高いという調査結果もあり、企業の成長にとって大きなメリットと言えるでしょう。
また、外国人材の採用は、社内コミュニケーションの活性化や、従業員のモチベーション向上にもつながる可能性があります。異なる文化や価値観を持つ人材と働くことは、従業員にとって刺激となり、新たな学びや成長の機会にもなります。
4. 海外展開とインバウンド対応の強化
外国人材の採用は、海外展開やインバウンド対応を強化するためにも有効な手段となります。
例えば、スーパーや直売所などで外国人材が外国語で接客することで、外国人顧客の満足度向上に繋がり、売上増加も見込めたり、工場見学を多言語化することで、外国人観光客向けに新たな顧客層を獲得することができます。
また、海外取引をスムーズに進めることができるようになり、輸出業務の効率化にも役立つでしょう。
現地語に精通した外国人材は、より的確な海外市場調査を行うことができるため、海外展開を検討する企業にとって大きな力となる可能性が高いです。
そもそも特定技能制度とは、どんな制度?
特定技能制度は、2019年に始まった制度で、人材不足を解消し、日本の経済を活性化させることを目的としています。一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、即戦力として活用することができます。
技能レベルに応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が設けられています。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
対象分野 | 16分野全て | 介護分野を除く11分野 |
在留期間 | 最長5年 | 期限なし |
技能レベル | 各分野の技能試験に合格 | より高い技能・知識を持ち、1号の要件を満たす |
家族の帯同 | 不可 | 可能 |
・転職の自由
同じ職種内であれば、自由に転職することができます。
誰でも特定技能人材になれる?
特定技能「飲食料品製造業」の外国人材は、以下の試験に合格し、必要な技能を習得している必要があります。
- 飲食料品製造業技能測定試験
飲食料品製造業に必要な知識と技能を測る試験
※飲食料品製造業分野の技能実習2号・3号を良好に修了している場合は、この試験は免除されます。
- 日本語能力試験
日本語の理解を測る試験(N4以上)
※技能実習2号・3号を良好に修了している場合は、日本語能力試験が免除されます。
外国人材を採用する際は、これらの内容をすべてクリア出来ているか必ず確認しましょう。
特定技能人材の採用はどうするの?
外国人材を採用する方法は、いくつかあります。
1.人材紹介会社を活用する
特定技能に特化した人材紹介会社を利用することで、適切な人材のマッチングからビザ申請手続き、入国時の対応までサポートを受けることができます。初めて特定技能外国人を採用する場合に効果的です。
2.登録支援機関を利用する
登録支援機関は、特定技能外国人の生活支援や就労支援を行う専門機関です。 人材紹介会社が登録支援機関を担っているケースもあります。人材紹介から支援計画の作成、在留手続きのサポートまで幅広いサービスを提供しています。
3.直接外国人材を採用する
海外に住んでいる外国人を直接採用する方法です。 企業が自ら海外の人材と連絡を取り合い、オンライン面接などを通して採用候補者を選考します。ビザの申請など、必要な手続きもすべて企業自身で行う必要があります。
4.技能実習生から移行
技能実習生として雇用している外国人を特定技能に変更することができます。
ただし、すべての技能実習生が特定技能「飲食料品製造業」に移行できるわけではありません。
「食品製造職種」の技能実習2号を良好に修了した方、または技能実習3号の実習計画を満了した方が対象となります。
5.留学生を採用する
現在アルバイトとして雇用している留学生いる場合、特定技能の試験に合格すれば、特定技能に変更することができます。
外国人材を受け入れるための準備内容
外国人材を採用するには、受け入れ企業にもいくつかの条件をクリアする必要があります。
- 食品衛生法に基づく許可
食品衛生法に基づく飲食店営業の許可を受けていることが必須です。
- 協議会の構成員
「食品産業特定技能協議会」に加入し、農林水産省および協議会に協力する必要があります。
この協議会は、外国人材の受け入れや支援を行うために設立された組織です。 外国人材の採用に関する情報提供や相談・支援を受けることができます。
協議会へ加入するには、日本標準産業分類に該当する事業所であることを証明する書類(登記事項証明書、定款の写し、決算書類など)を協議会に提出します。
- サポート体制
外国人材が安心して働けるよう、生活や仕事のサポート体制を整える。
外国人材を採用する流れ
ここまで読んでいただき、すぐにでも外国人材の採用を進めたい!と思っていただけた飲食店の方もいるかと思います。
しかし、外国人材の採用は日本人採用とは異なる点がありますので、スムーズに外国人材を採用するために、事前準備からの流れを紹介します。
いずれ受け入れを検討している飲食店経営者・人事担当者の方にも、前知識として役立つ情報です。
ステップ | 内容 | 備考 |
---|---|---|
事前準備 | 就業規則、賃金システム、住居、生活環境の整備 | 外国人材を受け入れるための準備を整える |
人材募集 | 人材紹介会社や現地機関の活用、求人サイト、ハローワークなど | 適切な方法で候補者を探す |
面接 | 書類選考、面接(日本語能力、技能、コミュニケーション能力などを評価) | 日本人材の採用と同様の選考プロセス |
雇用契約 | 雇用契約書締結(労働条件を明確にし、外国人材にも理解できるように説明) | 労働条件は法律に基づき、外国人材にもわかりやすく説明する |
ビザ申請 | 特定技能ビザ申請(必要な書類を揃えて申請) | ビザ取得のためのサポートを行う |
入社前準備 | 住居確保、生活環境整備 | 来日前に必要な準備を支援する |
入社オリエンテーション | 会社規則、業務内容、安全衛生教育など | 会社や仕事内容を理解してもらう |
業務開始 | 実際の業務開始、日本人スタッフとのコミュニケーション促進 | 円滑なコミュニケーションを図る |
定期的な面談 | 業務や生活面での課題を早期に発見するための面談 | 定期的な面談で問題を早期に解決する |
外国人材を雇用する上での3つのポイント
外国人材の雇用は、人手不足解消の有効な手段となります。
しかし、採用する際には注意すべき点もあります。これらの注意点を理解しておくことで、外国人材とより良い関係を築き、スムーズに業務を進めることができるでしょう。
1.HACCPに沿った衛生管理
食品製造において、安全な食品を作るためには衛生管理が非常に重要です。
HACCP(ハサップ)とは、食品の製造工程で発生する可能性のある危害を分析し、その危害を防止するための重要管理点を特定して管理する衛生管理手法です。
特定技能1号の試験では、このHACCPに関する知識が問われます。
外国人材がHACCPを理解し、実践することで、食品の安全性を確保し、食中毒などのリスクを低減することができます。
2.適切な就労状況の管理
外国人材の就労状況を適切に管理することは、企業の責任です。
- 在留管理局への届出
採用時や離職時など、外国人材の就労状況に変更があった場合は、入国管理局への届出が必要になります。 - 不正就労の防止
許可されていない業務や就労時間外の労働をさせると罰則される可能性があります。
外国人材が安心して働けるよう、就労状況を適切に管理し、必要なサポートを提供しましょう。
3.日本語レベルの確認
外国人材を採用する際は、日本語レベルをよく確認しましょう。
日本語能力試験に合格しているからといって、必ずしも仕事を問題なくできる日本語レベルに達しているとは限りません。
業務に必要な日本語レベルを習得しているか、面接の際に、実際に日本語で会話をして確認することが大切です。もし、日本語レベルが不十分な場合は、日本語教育のサポートなどを強化しましょう。
外国人材が日本語を習得することで、結果的にコミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や安全確保にもつながります。
まとめ
この記事では、人材不足に悩む飲食料品製造業の企業の皆様に向けて、特定技能制度を利用した外国人材の雇用がいかに有効な解決策となるかをご紹介しました。
外国人材の採用は、単なる人手不足の解消だけでなく、生産性向上、企業の活性化、さらには海外展開やインバウンド対応強化など、様々なメリットをもたらす可能性があり、多様な文化背景を持つ人材との出会いは、新たな発想やイノベーションを生み出し、企業の成長を加速させる可能性を秘めています。
ぜひ、この記事を参考にして、外国人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか?
新たな視点や発想を取り入れることで、今までにない商品開発や海外市場への進出など、新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
外国人材の活躍が、飲食料品製造業の未来を明るく照らしてくれることを願っています。