【自動車運送業×外国人材】業界が抱える問題を解消。外国人ドライバーを採用しよう!

コラム
COLUMN

タクシー運転手・バス運転手・トラック運転手

近年の日本の運送業界は、深刻な人手不足、長時間労働、2024年問題など、様々な課題に直面していることかと思います。

「ドライバー不足で、もう限界…!」
「ベテランのドライバーが引退したら、会社はどうなるんだろう…」
「長時間労働で、ドライバーの負担が大きすぎる…」

このような悩みを抱えている運送会社の方は多いのではないでしょうか?

中長期的な視点で見ると、中には、このままでは事業の継続さえ危ぶまれる状況の運送会社の方もいるのではないでしょうか。

しかし、このような悩みを解決するために、2024年3月に自動車運送業界の人手不足解消に向けて、特定技能「自動車運送業」 が施行されました。

今までは限られた在留資格の外国人材しか採用することが出来ませんでしたが、この制度が施行されたことにより、タクシー、バス、トラックの運転手として、外国人材を採用することが可能になりました。 

「でも、外国人材の採用ってどうするの…」
「スタッフやお客さんとのコミュニケーションが取れるの?」

など、初めて外国人材を採用するとなると、様々な疑問が生まれるかと思います。

この記事では、特定技能「自動車運送業」の詳しい要件や、外国人ドライバーの雇用プロセスをわかりやすく解説します。

ぜひ、最後まで読んで、外国人ドライバーの採用について理解を深めてくれたら嬉しいです。

特定技能「自動車運送業」は、どのような業務内容?

特定技能「自動車運送業」とは、外国人材にタクシー、バス、トラックの運転をしてもらうための在留資格です。

ご存じの方が多いと思いますが、具体的には以下のような業務内容です。

項目業務内容
タクシードライバー運転、乗務記録の作成、乗客対応
バスドライバー運行前後の車両点検、安全な運行、乗客対応
トラックドライバー出発前・到着後の車両チェック、安全運転、荷物の固定、運行記録の管理、日本人ドライバーが行う関連業務

外国人ドライバーを採用すると、どんなメリットがある?

外国人ドライバーを採用することで人手不足解消だけでなく、会社に新しい風を吹き込み、 成長を加速させる可能性も秘めています。

まだ外国人材採用に迷いがある方も、ぜひ前向きに検討してみて欲しいです。 想像以上に多くのメリットがあることに気づくはずです。

1. 人材不足を解消し、事業を拡大!

「お金をかけて求人誌に募集を出しても応募がまったく来ない…」
「ドライバー不足によって、仕事を受けたくても受けられない」

このような悩みから、解放される可能性があります。

外国人ドライバーを採用することによって人材不足が解消し、 今まで断っていた仕事も受注できるようになるでしょう。事業拡大には人員は必要不可欠です。

2. 即戦力人材として、採用ができる

特定技能の制度では、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を採用できるため、 教育に時間をかけることなく、即戦力として活躍してくれる人材を獲得できます。

海外で長年の運転経験を持つベテランドライバーを採用できれば、 日本の道路状況や交通ルールを覚えるための研修期間を短縮し、 すぐにでも配送業務を任せられるでしょう。

さらに、外国人ドライバーの採用は、企業の雰囲気をガラリと変え、 新たな活力を生み出す可能性を秘めています。

異なる文化や価値観を持つ人材が共に働くことで、 新しいアイデアや発想が生まれ、社内に活気が溢れるでしょう。 例えば、経験豊富な外国人ドライバーから、 海外の物流システムや顧客対応のノウハウを学ぶこともできるかもしれません。

今までになかった視点を取り入れることで、 業務改善やサービス向上に繋がる可能性も広がります。

3. 外国語対応で、インバウンド需要を掴む!

「外国人観光客が増えてきたけど、言葉が通じなくて困る…」

そんな経験はありませんか?

外国人ドライバーを採用すれば、言葉の壁を乗り越え、 外国人観光客へのおもてなしを強化できます。

例えば、英語や中国語を話すドライバーがいれば、 外国人観光客をスムーズに目的地まで案内することができますし、 観光客とコミュニケーションを取りながら、 外国人の目線で日本の文化や魅力を伝えることもできるでしょう。 顧客満足度向上に繋がり、リピーター獲得にも役立つかもしれません。

このように、外国人ドライバーを採用することで、 人手不足の解消・サービスの向上・ そして新たなビジネスチャンスの獲得など、 様々なメリットを享受できる可能性があります。

そもそも特定技能制度とは、どんな制度?

特定技能制度は、2019年に始まった制度で、人材不足を解消し、日本の経済を活性化させることを目的としています。一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、即戦力として活用することができます。

技能レベルに応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が設けられています。

制度の特徴
項目特定技能1号特定技能2号
対象分野16分野全て介護分野を除く11分野
在留期間最長5年無期限
技能レベル各分野の技能試験に合格より高度な技能・知識を持ち、1号の要件を満たす
日本語能力各分野の日本語試験に合格1号の要件を満たす
家族の帯同不可可能
特定技能人材数全体で251,594人全体で153人
(出典:法務省「特定技能在留外国人数(令和6年6月末)」)
  • 在留期間
    自動車運送業は、現時点で「特定技能1号」のみ認められているので、最長5年間雇用することができます。
  • 転職の自由
    同じ職種内であれば、自由に転職することができます。

誰でも特定技能人材になれる?

外国人ドライバーは、それぞれ従事する業務に応じて、技能試験や日本語能力試験に合格し、必要な運転免許を取得します。

職種資格
タクシー自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)、日本語能力試験N3以上、第二種運転免許
バス自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)、日本語能力試験N3以上、第二種運転免許
トラック自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)、日本語能力試験N4以上、第一種運転免許
※職種・作業の種類に関わらず、第2号技能実習を良好に修了した人材は、トラック分野のみ日本語試験(N4以上)が免除されます。(参考:国土交通省「特定技能Q&A」より)

これらの試験は、外国人ドライバーが日本で安全に業務を行うために必要な知識や技能を有しているかを評価するためのものです。

  • 自動車運送業分野特定技能1号評価試験
    タクシー、バス、トラックそれぞれの業務に必要な知識を身に付けているか測る試験。
  • 日本語能力試験
    日本語の理解度を測る試験。
  • 運転免許
    日本の道路交通法に基づいた運転技能を評価する試験。
  • 初任者研修
    バス・タクシードライバーは、新任運転者研修を修了している事。

外国人ドライバーを採用する際は、これらの内容をすべてクリア出来ているか必ず確認しましょう。

外国人ドライバーの運転免許取得はどうするの?

外国人ドライバーを採用する際に、気になるのが運転免許のこと。

「外国で取得した免許って、日本で使えるの?」
「免許がない場合は、どうすればいいの?」

と、疑問に思いますよね。

外国人ドライバーが日本で運転するには、日本の運転免許証が必要になり、 外国で取得した免許証はそのままでは使えません。

運転免許を取得する方法は、大きく分けて2パターンあります。

1. 日本国外いる外国人ドライバーを採用する場合

海外で実施されている特定技能評価試験と日本語試験に合格し、 「特定活動」の在留資格を取得して日本に入国します。特定活動の在留期間内に、 外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切り替える外免切替の手続きを行います。

外免切替を行うには、いくつかの条件があります。

  • 外国で運転免許を取得している。
  • 運転免許を取得した国に、3か月以上滞在している。
  • 申請前の事前審査は通訳の同乗が可能ですが、技能試験では通訳の同乗はできません。

外免切替の手続きは、各都道府県の運転免許センターで行います。
書類審査、適性試験、知識確認、技能確認などがあり、すべてクリアすれば運転免許証が交付されます。

特定活動の在留期間

  • タクシー:1年
  • バス:1年
  • トラック:在留期限上限6か月

この期間内に運転免許を取得できないと、特定技能の在留資格を取得することはできません。 また、現時点では、この期間を延長する事もできませんので、期間内に運転免許を取得する必要があります。

2. 日本に居住している外国人ドライバーの場合

すでに日本に住んでいる外国人ドライバーの場合は、 特定技能評価試験と日本語試験に合格した後、 現在の在留資格から「特定技能」の在留資格に切り替える申請を行う前に、 日本の自動車運転免許を取得しておく必要があります。

注意事項

  • 現地で日本の自動車運転免許と同等の自動車運転免許を取得していても、 日本での技能試験は免除になりません。
  • 中型・大型運転免許を取得するには、普通免許を取得してから2~3年以上経過していることが必要ですが、 海外における運転経歴でも認められます。

参考:日本トラック協会「外国人特定技能制度に関する説明会

外国人材を受け入れるための準備内容

外国人ドライバーを採用するには、受入企業にもいくつかの条件をクリアする必要があります。

タクシー・バス・トラック共通内容

  • 高速道路運送法に規定する自動車運送事業を経営する者である
    タクシー、バス、トラックのいずれかの運送事業を経営していることを意味しています。

  • 国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員になる
    外国人材の受け入れや支援を行うために設立された組織です。 外国人材の採用に関する情報提供や相談・支援を受けることができます。

  • 調査・指導に対して必要な協力を行う
    外国人材の雇用状況について、国土交通省またはその委託を受けた団体が調査や指導を行う場合がありますので、その際には必要な協力をしましょう。

  • 分野共通の基本的な条件を満たす
    外国人材と適切な雇用契約を結ぶこと、外国人材の支援体制や計画などを整備することなど、 基本的な条件を満たす必要があります。

  • 直接雇用であること
    派遣社員の契約では、雇用することができません。

  • 所定労働時間が「フルタイム」である
    労働日数が週5日以上かつ年間217日以上、労働時間は週30時間以上が必要で、他の労働者と同等の所定労働時間と同じこと。
    また、Wワークやアルバイトは禁止されています。

タクシー・バス

  • 「働きやすい職場認証制度」(運転者職場環境良好度認証制度)の認証を受けている
    国土交通省が定めた基準に基づいて、職場環境が良好であることを第三者機関が認証するものです。労働時間管理、休暇制度、賃金など、労働条件が適切に管理されていることを基準に評価されます。これは、会社全体で取得する必要があります。

  • 新任運転者研修を実施する
    具体的な研修内容は以下の通りです。
座学研修

法令、接客、地理、安全に関する研修を行います。

路上走行研修

実際の路上での運転研修を行います。

適性診断

ドライバーとしての適性を診断します。


この新任運転者研修の修了は、業界団体が定めた効果測定の基準に基づき判定されます。

トラック

  • 「Gマーク」(安全性優良事業所)を取得している
    全日本トラック協会が認定する制度で、交通安全対策に積極的に取り組んでいる安全性優良事業所であることを示すものです。このGマークは、事業所ごとに取得する必要がありますが、同じ会社内の別の事業所が取得していれば、外国人ドライバーを受け入れる事業所が取得していなくても大丈夫です。

外国人ドライバーを採用する流れ

ここまで読んでいただき、すぐにでも外国人ドライバーの採用を進めたい!と思っていただけた企業の方もいるかと思います。

しかし、外国人労働者の採用は日本人採用とは異なりますので、スムーズに外国人ドライバーを採用するために、事前準備からの流れを紹介します。

いずれ受け入れを検討している経営者・人事担当者の方にも、前知識として役立つ情報です。

ステップ内容ポイント
事前準備就業規則、賃金体系、住居、生活環境など整備外国人労働者が働きやすい環境を整えましょう。給与、休暇、福利厚生など、具体的な条件を明確にしましょう。
人材募集人材紹介会社や現地機関の活用、求人サイト、ハローワーク、自社WEBサイトなど様々な方法を組み合わせて、効果的に求人活動を行いましょう。
面接書類選考、面接日本語能力、運転スキル、文化への理解度、コミュニケーション能力などを評価しましょう。特定技能1号評価試験と日本語試験に合格していることを確認しましょう。
雇用契約雇用契約書締結労働条件を明記し、外国人ドライバーにも理解できるように説明しましょう。
特定活動への切替
※運転免許未取得者のみ
在留資格の変更特定技能では、日本の運転免許証が必要になります。日本で運転免許を取得するために、外国人の在留資格を「特定活動」に切り替えます。
免許取得
※運転免許未取得者のみ
運転免許試験合格運転免許センターで免許を取得する手続きをサポートしましょう。
新任運転者研修
※タクシー・バスのみ
研修実施安全運転、接客知識などの研修を行います。
ビザ申請特定技能ビザ申請必要書類を揃えて、特定技能ビザの申請を行いましょう。
入社前準備住居確保、生活環境整備外国人ドライバーが安心して日本で生活できるようサポートします。
上記の内容については、円滑に外国人材を受入れるために、登録支援機関へ委託することも出来ます。

外国人ドライバーを採用する上での2つのポイント

外国人ドライバーの採用は、メリットが多い一方で、注意すべき点もあります。
これらの注意点をあらかじめ理解しておくことで、外国人ドライバーとより良い関係を築き、スムーズに業務を進めることができるでしょう。

1. 労働法規の遵守

外国人ドライバーにも、日本人ドライバーと同じように、労働基準法などの法律を遵守する必要があります。賃金、労働時間、休日、休暇など、労働条件は法律に基づいてきちんと管理しましょう。

外国人だからといって、特別な待遇をする必要はありません。むしろ、差別的な待遇は法律で禁止されています。外国人ドライバーを公平に扱い、安心して働ける環境を提供することが大切です。

2. 日本語レベルの確認

外国人ドライバーを採用する際は、日本語レベルをよく確認しましょう。
日本語能力試験に合格しているからといって、必ずしも仕事を問題なくできる日本語レベルに達しているとは限りません。

業務に必要な日本語レベルを習得しているか、面接の際に、実際に日本語で会話をして確認することが大切です。

もし、日本語レベルが不十分な場合は、日本語教育のサポートなどを強化しましょう。
外国人ドライバーが日本語を習得することで、結果的にコミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や安全確保にもつながります。

これらのポイントを意識して、外国人ドライバーが安心して働ける環境を整えることが、企業の成長と発展に繋がるでしょう。

まとめ

特定技能「自動車運送業」の制度を活用すれば、外国人ドライバーを採用し、深刻な人手不足を解消できる可能性があります。

外国人ドライバーを採用することは、単に人手不足を解消するだけでなく、 企業の成長と発展、そして地域社会への貢献にも繋がる可能性があります。

ぜひ、この記事を参考にして、外国人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか? 新たな視点や発想を取り入れることで、 今までにないサービスやビジネスチャンスが生まれるかもしれません。

外国人材の活躍が、運送業界の未来を明るく照らしてくれることを願っています。