【航空業×特定技能】航空業界を活性化!外国人材が航空業界の成長を加速させるエンジンに!

コラム
COLUMN

~特定技能外国人材の採用で、航空業界の課題を解決しよう~

日本の航空業界は、コロナ禍からの回復に伴い、明るい兆しを見せています。
訪日外国人旅行者の増加により、航空需要は拡大を続けており、政府は2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人を目標として掲げています。

しかし、この成長を支えるためには、航空業界の人材確保が極めて重要となります。

令和10年度には4万4,900人の就業者が航空分野で必要と見込まれていますが、生産性向上や国内人材確保の取り組みを進めているものの、人手不足は深刻化しており、同年度には1万4,100人程度の人手不足が生じると予想されています。

出典:航空分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針 

特に地方空港では、グランドスタッフ不足により、搭乗手続きや手荷物預かりに遅延が発生し、顧客満足度が低下しているケースも。また、航空機整備の現場では、整備士不足により、航空機の整備点検に時間がかかり、運航スケジュールに影響が出ているケースも報告されています。

このような状況下、多くの航空会社や関連企業が頭を悩ませています。

「経験豊富な整備士が退職後、後任が見つからない…」
「グランドスタッフの負担が大きすぎて、離職率が高い…」

など、多くの企業が共通の悩みを抱えているのではないでしょうか?

その解決策の一つとして、近年注目されているのが外国人材の活用です。

2019年4月に始まった特定技能制度により、航空業界でも外国人材の採用が可能になりました。 この制度を活用することで、人材不足を解消し、航空業界全体の活性化を図る動きが広がっています。

例えば、成田国際空港では、特定技能制度を利用してベトナム人材をグランドスタッフとして採用。 多言語対応が可能になったことで、外国人旅客の満足度向上に成功しています。 また、国内の航空機整備会社では、フィリピン人材を採用し、整備士不足の解消に貢献しています。

このように、外国人材の活用は、単なる人手不足の解消だけでなく、サービス向上や国際競争力強化にも繋がる可能性を秘めているのです。

この記事では、特定技能「航空業」の詳細要件や、外国人材の雇用プロセスをわかりやすく解説します。 ぜひ、最後まで読んで、特定技能の外国人材採用について理解を深めてください。

特定技能「航空業」は、どのような業務内容?

特定技能「航空業」とは、外国人材に空港や航空会社などで働いてもらうための在留資格です。 空港グランドハンドリング航空機整備の2つの分野があります。

すでにご存じの方も多いかと思いますが、具体的には以下の内容です。

空港グランドハンドリング
航空機が安全に運航できるように、地上で様々なサポートを行う仕事です。
例えば、航空機が駐機場に正しく到着できるように誘導したり、手荷物や貨物を飛行機に積み込んだり、積み下ろしたりする作業を行います。 

・航空機整備
航空機の安全性を確保するために、点検や修理、整備を行う仕事です。
例えば、航空機が飛行する前に点検を行い、 飛行後も機体の状態をチェックし、必要があれば修理や部品交換などを行います。 エンジンやその他の装備品についても、定期的に点検や整備を行い、常に最高の状態を保つようにします。

これらの業務に加えて、事務作業や作業場所の整理整頓、積雪時の除雪など、日本人従業員が行っている関連業務をサポートすることもできます。

ただし、関連業務ばかりを行うことはできませんのでご注意ください。
あくまでも、主要な業務が中心で関連業務はそれに伴って行う必要があるということを覚えておいてください。

どのような場所で働けるの?

特定技能「航空業」を取得すると、空港や航空会社はもちろん、航空機に関わる様々な場所で働くことができます。

場所業務例
空港成田国際空港、羽田空港、関西国際空港、地方空港など旅客サービス、グランドハンドリング、航空機整備など
航空会社日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)などグランドスタッフ、整備士など
※客室乗務員やパイロットは対象外
航空機整備会社国土交通大臣から認定を受けた整備会社、またはその会社から仕事を請け負っている会社航空機の点検、修理、整備など
グランドハンドリング会社空港の管理者から許可を受けた会社、航空会社などが運営するグランドハンドリング会社航空機の誘導、貨物の積み下ろし、機内清掃、燃料補給など
出典:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -航空分野の基準について

外国人材を採用すると、どんなメリットがある?

外国人材を採用することで、人材不足を解消できるだけでなく、航空業界に新たな風を吹き込み、成長を加速させる可能性も秘めています。

1. 人材不足の解消とサービス向上

旅客サービスやグランドハンドリング業務など、慢性的な人材不足に悩んでいる企業も多いのではないでしょうか?

外国人材を採用することで、これらの業務を効率化し、サービスレベルを向上させることができます。

ある航空会社では、整備士不足により、航空機の整備点検に遅れが生じ、運航スケジュールに影響が出ていました。 そこで、特定技能制度を利用しフィリピン人材を整備士として採用したところ、人材不足が解消され、整備作業が効率化されたことで定時運航率が向上し、顧客満足度向上に繋がっているそうです。

また、多言語対応可能な外国人材を採用することで、外国人旅客の満足度向上だけでなく、空港や航空会社のイメージアップにも繋がります。

2. 国際競争力強化

グローバル化が加速する中、航空業界では国際競争が激化しています。
外国人材を採用することで、国際的な視点を取り入れ、企業の競争力を強化することができます。

ある航空会社では、外国人材をマーケティング部門に採用し、海外市場の分析や新規路線の開拓に力を入れました。 その結果、海外からの旅行客が増加し、収益増加に成功したそうです。

異なる文化や価値観を持つ人材との交流は、従業員の視野を広げ、組織全体の活性化に繋がります。
多様な意見を取り入れることで、より良いサービスや商品を生み出すことができるでしょう。

3. コスト削減

人材不足が深刻な地域では、人材確保のために高い賃金を支払わなければならないケースも少なくありません。
外国人材を採用することで、人件費を抑えながら、必要な人材を確保することができます。

ある地方空港では、グランドスタッフの賃金が高騰していましたが、特定技能制度を利用し、外国人材を採用することで、人件費を抑制することに成功しました。 その結果、浮いた費用を設備投資や従業員教育に充てることができ、空港全体のサービス向上に繋がったそうです。

このように、外国人材の採用は、企業にとって様々なメリットをもたらします。

人材不足の解消、サービス向上、国際競争力強化、コスト削減など、企業の成長を支える様々な効果が期待できます。

そもそも特定技能制度とは、どんな制度?

特定技能制度は、2019年に始まった制度で、人材不足を解消し、日本の経済を活性化させることを目的としています。 一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、即戦力として活用することができます。

技能レベルに応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が設けられています。

項目特定技能1号特定技能2号
対象分野16分野全て介護分野を除く11分野
在留期間最長5年期限なし
技能レベル各分野の技能試験に合格より高い技能・知識を持ち、1号の要件を満たす
家族の帯同不可可能
  • 転職の自由
    同じ職種内であれば、自由に転職することができます。

誰でも特定技能人材になれる?

日本で航空機整備士やグランドハンドリングスタッフとして働くためには、一定の技能と日本語能力を持っていることが必要です。

具体的には、以下の条件を満たしている必要があります。

1. 技能水準

以下のいずれかの試験に合格する必要があります。

  • 航空分野特定技能1号評価試験(空港グランドハンドリング)
  • 航空分野特定技能1号評価試験(航空機整備)

これらの試験は、航空機整備やグランドハンドリングに必要な知識や技能を評価する試験です。航空機の知識、作業手順、安全に関する知識などが問われます。

 ※空港グランドハンドリング職種の技能実習2号・3号を良好に修了している場合は、この試験は免除されます。

2. 日本語能力水準

以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 国際交流基金日本語基礎テスト合格
  • 日本語能力試験N4以上合格

日本語能力試験は、日常生活や仕事で必要な日本語力を測る試験です。 N4レベルは、基本的な日本語を理解し、簡単な会話ができるレベルです。航空業界では、安全確保のために、正確な情報伝達が必要となるため、日本語能力は非常に重要です。

※技能実習2号・3号を良好に修了している場合は、日本語能力試験は免除されます。

外国人材を採用する際は、これらの内容をすべてクリアできているか必ず確認しましょう。

特定技能人材の採用はどうするの?

外国人材を採用する方法は、いくつかあります。

1.人材紹介会社を活用する

特定技能に特化した人材紹介会社を利用することで、適切な人材のマッチングからビザ申請手続き、入国時の対応までサポートを受けることができます。

初めて特定技能外国人を採用する場合に効果的です。

2.登録支援機関を利用する

登録支援機関は、特定技能外国人の生活支援や就労支援を行う専門機関です。 人材紹介会社が登録支援機関を担っているケースもあります。

人材紹介から支援計画の作成、在留手続きのサポートまで幅広いサービスを提供しています。

3.直接外国人材を採用する

海外に住んでいる外国人を直接採用する方法です。 企業が自ら海外の人材と連絡を取り合い、オンライン面接などを通して採用候補者を選考します。

ビザの申請など、必要な手続きもすべて企業自身で行う必要があります。

4.技能実習生から移行する

技能実習生として雇用している外国人を特定技能に変更することができます。
ただし、すべての技能実習生が特定技能「航空業」に移行できるわけではありません。

「空港グランドハンドリング職種」の技能実習2号を良好に修了した方、または技能実習3号の実習計画を満了した方が対象となります。

5.留学生を採用する

現在アルバイトとして雇用している留学生がいる場合、特定技能の試験に合格すれば、特定技能に変更することができます。

外国人材を受け入れるための準備内容

外国人材を採用するには、受け入れ企業にもいくつかの条件をクリアする必要があります。

・航空法に基づく許可

特定技能「航空業」の外国人材を受け入れるには、航空法に基づく許可が必要です。
これは、航空機の安全運航を確保するために、外国人材を雇用する企業が一定の基準を満たしていることを確認するためのものです。

具体的には、以下の条件を満たす必要があります。

空港グランドハンドリング業務の場合
空港管理規則に基づく当該空港における営業の承認等を受けた事業者、または航空運送事業者です。
例えば、空港内で手荷物や貨物の取り扱いを行う会社や、航空機を誘導する会社などが該当します。

航空機整備業務の場合
航空法に基づき国土交通大臣の認定を受けた航空機整備等に係る事業場を有する事業者、または当該事業者から業務の委託を受けた者であること。
例えば、航空機のエンジンや部品の点検、修理、交換などを行う会社が該当します。

・協議会の構成員

「航空分野特定技能協議会」に加入し、国土交通省および協議会に協力する必要があります。
この協議会は、外国人材の受け入れや支援を行うために設立された組織です、外国人材の採用に関する情報提供や相談・支援を受けることができます。

・サポート体制

外国人材が安心して働けるよう、生活や仕事のサポート体制を整える必要があります。 具体的には、住居の提供、日本語教育、生活に必要な情報の提供などを行うことが求められます。

外国人材を採用する流れ

ここまで読んでいただき、すぐにでも外国人材の採用を進めたい!と思っていただけた航空会社の方もいるかと思います。 

しかし、外国人材の採用は日本人採用とは異なる点がありますので、スムーズに外国人材を採用するために、事前準備からの流れを紹介します。

 いずれ受け入れを検討している航空会社経営者・人事担当者の方にも、前知識として役立つ情報です。

ステップ内容
事前準備就業規則、賃金システム、住居、生活環境の整備
人材募集人材紹介会社や現地機関の活用、求人サイト、ハローワークなど
面接書類選考、面接(日本語能力、技能、コミュニケーション能力などを評価)
雇用契約雇用契約書締結(労働条件を明確にし、外国人材にも理解できるように説明)
ビザ申請特定技能ビザ申請(必要な書類を揃えて申請)
入社前準備住居確保、生活環境整備
入社オリエンテーション会社規則、業務内容、安全衛生教育など
業務開始実際の業務開始、日本人スタッフとのコミュニケーション促進
定期的な面談業務や生活面での課題を早期に発見するための面談
※上記の内容については、円滑に外国人材を受入れるために、登録支援機関へ委託することも出来ます。

外国人材を雇用する上での3つのポイント

外国人材の雇用は、人手不足解消の有効な手段となります。しかし、採用する際には注意すべき点もあります。
これらの注意点を理解しておくことで、外国人材とより良い関係を築き、スムーズに業務を進めることができるでしょう。

1.安全管理体制の構築

航空業界では、安全が最優先事項です。外国人材にとって、日本の安全基準や規則は、母国のものとは異なる場合があります。 そのため、外国人材にも、日本の安全基準や規則を理解させ、安全意識の向上を図ることが重要です。

例えば、多言語対応のマニュアルやビデオなどを用意し、外国人材が安全に関する情報にアクセスしやすい環境を整えましょう。 また、定期的な安全訓練を実施し、緊急時の対応などを外国人材にしっかりと教育することで、安全に対する意識を高めることができます。

さらに、外国人材が安全に関する不安や疑問を気軽に相談できるような環境を作ることも大切です。 外国人材が安心して働けるよう、コミュニケーションを促進し、信頼関係を築くことが、安全管理体制の構築に繋がります。

2.就労状況の適切な管理

外国人材の就労状況を適切に管理することは、企業の責任です。 外国人材の雇用は、法律や制度に基づいて行われる必要があり、企業は適切な手続きや管理を行う必要があります。

  • 在留管理局への届出
    外国人材を採用する際や、離職する際など、就労状況に変更があった場合は、入国管理局への届出が必要です。 企業は、外国人材の在留資格を適切に管理し、法令を遵守する必要があります。
  • 不正就労の防止
    許可されていない業務や就労時間外の労働をさせてはいけません。 外国人材の就労は、在留資格の範囲内で認められており、企業は外国人材に適切な業務を指示し、労働時間管理を徹底する必要があります。

3.日本語レベルの確認

外国人材を採用する際は、日本語レベルをよく確認しましょう。 日本語能力試験に合格しているからといって、必ずしも仕事を問題なくできる日本語レベルに達しているとは限りません。 業務に必要な日本語レベルを習得しているか、面接の際に、実際に日本語で会話をして確認することが大切です。

 もし、日本語レベルが不十分な場合は、日本語教育のサポートなどを強化しましょう。

 外国人材が日本語を習得することで、結果的にコミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や安全確保にもつながります。

まとめ

この記事では、人材不足に悩む航空業界の企業の皆様に向けて、特定技能制度を利用した外国人材の雇用がいかに有効な解決策となるかをご紹介しました。

外国人材の採用は、単なる人手不足の解消だけでなく、サービス向上、国際競争力強化、さらにはコスト削減など、様々なメリットをもたらす可能性があります。 多様な文化背景を持つ人材との出会いは、新たな発想やイノベーションを生み出し、企業の成長を加速させる可能性を秘めています。

ぜひ、この記事を参考にして、外国人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか? 

新たな視点や発想を取り入れることで、今までにないサービスや国際展開など、新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。

外国人材の活躍が、航空業界の未来を明るく照らしてくれることを願っています。