【自動車整備業×特定技能】もう求人に困らない!特定技能で外国人整備士を採用しよう!
~特定技能制度の活用方法、採用プロセス、注意点などをわかりやすく解説~
投稿日:2024年11月19日日本の自動車整備業界は、深刻な人材不足という大きな課題に直面しています。
少子高齢化や若者の車離れが進み、自動車整備士を目指す人が減ってしまい、業界全体の人手不足が加速しています。
国土交通省の調査によると、整備士の求人は常に多く、このままでは5年後には約2万8,000人もの整備士が不足すると予想されています。
実際に、整備士を養成する専門学校の入学者数は、過去18年で約半分に減ってしまいました。
出典:国土交通省「自動車整備分野における人材確保に係る取組」
このような状況下、多くの自動車整備工場経営者の方が頭を悩ませています。
「求人広告を出しても、応募が全然来ない…」
「ベテラン整備士が引退したら、技術の継承はどうなるのか…」
「人手が足りず、残業ばかりで従業員が疲弊している…」
など、多くの企業が共通の悩みを抱えているのではないでしょうか?
その解決策の一つとして、近年注目されているのが外国人材の活用です。
2019年4月に始まった特定技能制度により、自動車整備業界でも外国人材の採用が可能になりました。この制度を活用することで、人材不足を解消し、事業を継続、発展させている企業が増えています。
例えば、ある地方の自動車整備工場では、特定技能制度を利用してベトナム人材を採用。外国人スタッフが驚くべき速さで技術を習得し、日本人スタッフと遜色ない整備技術を身につけることで、業務効率が向上し、顧客満足度も向上。
外国人スタッフの丁寧な仕事ぶりや真面目な勤務態度が、既存の日本人スタッフにも良い影響を与え、職場全体の活性化に繋がっています。
さらに、都市部のある整備工場では、フィリピン人材を採用し、多様な文化背景を持つ人材が加わり、新しい視点や考え方が生まれるなど、工場全体に良い効果をもたらしています。
このように、外国人材の活用は、単なる人手不足の解消だけでなく、企業の成長や新たな価値創造にも繋がる可能性を秘めているのです。
この記事では、特定技能「自動車整備業」の詳細要件や、外国人材の雇用プロセスをわかりやすく解説します。
ぜひ、最後まで読んで、特定技能の外国人材採用について理解を深めてください。
特定技能「自動車整備業」は、どのような業務内容?
特定技能「自動車整備業」とは、外国人材に自動車の点検・整備などの業務に従事してもらうための在留資格です。
具体的には、下記のような業務内容が該当します。
これらに加えて、以下の様な関連業務も行うことができます。
- 整備内容をお客様に説明する
- 整備に必要な部品を販売する
- ナビやETCなどの電装品を取り付ける
- 車を洗う
- 納車する(日本の運転免許証が必要)
- 車内を清掃する
ただし、関連業務ばかりを行うことはできませんのでご注意ください。
あくまでも、整備業務が中心で関連業務はそれに伴って行う必要があるということを覚えておいてください。
どのような場所で働ける?
特定技能「自動車整備業」の外国人材が働くことができるのは、地方運輸局長の認証を受けた認証工場です。
認証工場とは、国土交通省が定めた基準を満たし、自動車の点検や整備を行うための設備と人員を備えた工場のことです。
<働く事が出来る場所の例>
種類 | 説明 |
---|---|
四輪自動車を扱う認証工場 | 乗用車やトラックなど、四輪自動車の整備を行います。 |
二輪自動車のみを扱う認証工場 | バイクなどの二輪自動車の整備を行います。 |
装置の種類が限定されている認証工場 | 特定の種類の装置の整備に特化した認証工場です。 |
ガソリンスタンド、カー用品店、中古車販売店であっても、認証工場として認可を受けており、外国人材が上記の整備業務に従事するのであれば、特定技能人材として雇用することができます。
しかし、認証工場であっても、給油や洗車など、整備以外の業務ばかりをさせると、法律違反となり罰則の対象となる可能性がありますのでご注意ください。
外国人材を採用すると、どんなメリットがある?
外国人材を採用することで、人材不足を解消できるだけでなく、企業に新たな風を吹き込み、成長を加速させる可能性も秘めています。
外国人材を採用することで、企業は人材不足を解消し、新たな視点や活力を取り入れることができます。
1.人材不足の解消と企業の活性化
深刻化する自動車整備業界の人手不足に対応でき、特に若い労働力を確保しやすくなります。特定技能制度などを利用することで、人材不足を解消し、事業の安定化を図ることが期待できます。
また、外国人材の採用は、企業の活性化にもつながります。多くの外国人整備士は真面目で責任感が強く、与えられた仕事を最後までやり遂げようとする勤勉な姿勢が評価されています。さらに、若い外国人材の採用により、高齢化が進む職場の雰囲気が明るく活発になる可能性があります。
多様な文化背景を持つ外国人材を受け入れることで、企業に新たな視点や発想がもたらされ、より良い職場環境が築かれることが期待されます。
2. 技術力向上と生産性向上
外国人材の採用は、技術力向上と生産性向上にも貢献します。特定技能制度などを通じて、一定の技能と日本語能力を持つ人材を採用できるため、即戦力として活躍が期待できます。外国人材に技術を教え、将来の担い手を育成することができます。
異なる文化や言語背景を持つ整備士が共に働くことで、新たな技術や知識が共有され、技術革新やサービス向上につながる可能性があります。また、外国人材の採用により、業務効率が向上し、生産性向上に繋がる可能性があります。
3.国際化と顧客満足度向上
外国人整備士の言語力や文化理解を活かして、海外の自動車メーカーや部品メーカーとの取引を円滑に進められる可能性があります。また、母国語での接客や文化的背景を考慮したサービス提供により、外国人顧客の満足度向上に貢献できます。
外国語対応可能な外国人材を採用することで、外国人顧客の獲得や顧客満足度向上に繋がる可能性があります。
このように、外国人材の採用は、企業にとって多くのメリットをもたらします。
人材不足の解消、技術力向上、生産性向上、国際化、顧客満足度向上など、様々な効果が期待できます。
そもそも特定技能制度とは、どんな制度?
特定技能制度は、2019年に始まった制度で、人材不足を解消し、日本の経済を活性化させることを目的としています。一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、即戦力として活用することができます。
技能レベルに応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が設けられています。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
対象分野 | 16分野全て | 介護分野を除く11分野 |
在留期間 | 最長5年 | 期限なし |
技能レベル | 各分野の技能試験に合格 | より高い技能・知識を持ち、1号の要件を満たす |
家族の帯同 | 不可 | 可能 |
- 転職の自由
同じ職種内であれば、自由に転職することができます。
誰でも特定技能人材になれる?
特定技能「自動車整備業」の在留資格を取得し、日本で自動車整備士として働くためには、一定の技能と日本語能力を持っていることが必要です。
具体的には、以下の要件を満たしている必要があります。
・自動車整備分野特定技能1号評価試験(動車整備士技能検定試験3級)に合格する
この試験は、自動車整備に必要な知識や技能を評価する試験です。
筆記試験と実技試験があり、自動車の構造、整備方法、安全に関する知識などが問われます。
※自動車整備業の技能実習2号・3号を良好に修了している場合は、この試験は免除されます。
・日本語能力試験 (N4)
日常生活で必要な基本的な日本語力があることを証明する試験です。
※技能実習2号・3号を良好に修了している場合は、日本語能力試験は免除されます。
外国人材を採用する際は、これらの内容をすべてクリアできているか必ず確認しましょう。
特定技能人材の採用はどうするの?
外国人材を採用する方法は、いくつかあります。
1.人材紹介会社を活用する
特定技能に特化した人材紹介会社を利用することで、適切な人材のマッチングからビザ申請手続き、入国時の対応までサポートを受けることができます。
初めて特定技能外国人を採用する場合に効果的です。
2.登録支援機関を利用する
登録支援機関は、特定技能外国人の生活支援や就労支援を行う専門機関です。 人材紹介会社が登録支援機関を担っているケースもあります。
人材紹介から支援計画の作成、在留手続きのサポートまで幅広いサービスを提供しています。
3.直接外国人材を採用する
海外に住んでいる外国人を直接採用する方法です。 企業が自ら海外の人材と連絡を取り合い、オンライン面接などを通して採用候補者を選考します。
ビザの申請など、必要な手続きもすべて企業自身で行う必要があります。
4.技能実習生から移行する
技能実習生として雇用している外国人を特定技能に変更することができます。
ただし、すべての技能実習生が特定技能「自動車整備業」に移行できるわけではありません。
「自動車整備職種」の技能実習2号を良好に修了した方、または技能実習3号の実習計画を満了した方が対象となります。
5.留学生を採用する
現在アルバイトとして雇用している留学生がいる場合、特定技能の試験に合格すれば、特定技能に変更することができます。
外国人材を受け入れるための準備内容
外国人材を採用するには、受け入れ企業側もいくつかの条件をクリアする必要があります。
・認証工場であること
道路運送車両法に基づく地方運輸局長の認証を受けた事業場(認証工場)である必要があります。
認証工場とは、自動車の点検整備を適切に行うための設備と人員を備えていることを証明するものです。
具体的には、以下の条件を満たす必要があります。
必要な設備
車両検査に使用する機器や工具、整備に必要なリフトなどを備えている。
有資格者
自動車検査員や自動車整備士などの有資格者が在籍している。
作業場
一定の広さがあり、安全に作業できる環境が整っている。
・自動車整備分野特定技能協議会に加入すること
「自動車整備分野特定技能協議会」に加入し、協議会や国土交通省が行う調査や指導に協力する義務があります。協議会に加入することで、外国人材の受け入れに関する情報やノウハウを得たり、他の企業と情報交換を行ったりすることができます。
・サポート体制
外国人材が安心して働けるよう、生活や仕事のサポート体制を整える必要があります。
例えば、住居の提供、日本語教育の支援、生活に必要な情報の提供などを行うことが大切です。
これらの条件を満たすことで、企業は外国人材を受け入れる準備が整ったとみなされます。外国人材の採用を検討している企業は、事前にこれらの要件をしっかりと確認しておきましょう。
外国人材を採用する流れ
外国人材の採用は、日本人採用とは異なる点があります。
スムーズに外国人材を採用するために、事前準備からの流れを紹介します。
ステップ | 内容 |
---|---|
事前準備 | 就業規則、賃金システム、住居、生活環境の整備 |
人材募集 | 人材紹介会社や現地機関の活用、求人サイト、ハローワークなど |
面接 | 書類選考、面接(日本語能力、技能、コミュニケーション能力などを評価) |
雇用契約 | 雇用契約書締結(労働条件を明確にし、外国人材にも理解できるように説明) |
ビザ申請 | 特定技能ビザ申請(必要な書類を揃えて申請) |
入社前準備 | 住居確保、生活環境整備 |
入社オリエンテーション | 会社規則、業務内容、安全衛生教育など |
業務開始 | 実際の業務開始、日本人スタッフとのコミュニケーション促進 |
定期的な面談 | 業務や生活面での課題を早期に発見するための面談 |
外国人材を雇用する上での3つのポイント
外国人材の雇用は、人材不足解消の有効な手段となります。
しかし、採用する際には注意すべき点もあります。これらの注意点を理解しておくことで、外国人材とより良い関係を築き、スムーズに業務を進めることができるでしょう。
1.就労可能な業務範囲
特定技能「自動車整備業」の在留資格を持つ外国人材は、自動車の点検・整備などの業務に従事することができます。
許可されていない業務をさせてしまうと、法律違反となりますので、ご注意ください。
2.適切な就労状況の管理
外国人材の就労状況を適切に管理することは、企業の責任です。在留管理局への届出や不正就労の防止など、必要な対応を行いましょう。
- 在留管理局への届出
採用時や離職時など、外国人材の就労状況に変更があった場合は、入国管理局への届出が必要です。 - 不正就労の防止
許可されていない業務や就労時間外の労働をさせてはいけません。 - 派遣社員として雇用
外国人材の雇用安定と適切な労働条件の確保を目的としており、直接雇用のみが認められています。
万が一、特定技能外国人を派遣、もしくは派遣された者を受け入れた場合、法律違反となってしまい、その後5年間は特定技能外国人の受け入れができなくなります。
外国人材が安心して働けるよう、就労状況を適切に管理し、必要なサポートを提供しましょう。
3.日本語レベルの確認
外国人材を採用する際は、日本語レベルをよく確認しましょう。業務に必要な日本語レベルを習得しているか、面接の際に、実際に日本語で会話をして確認することが大切です。もし、日本語レベルが不十分な場合は、日本語教育のサポートなどを強化しましょう。
外国人材が日本語を習得することで、結果的にコミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や安全確保にもつながります。
まとめ
この記事では、人材不足に悩む自動車整備業界の企業の皆様に向けて、特定技能制度を利用した外国人材の雇用がいかに有効な解決策となるかをご紹介しました。
外国人材の採用は、単なる人手不足の解消だけでなく、技術の継承、新たな視点の獲得、生産性向上など、様々なメリットをもたらす可能性があります。
ぜひ、この記事を参考にして、外国人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか?
新たな視点や発想を取り入れることで、今までにないサービス提供や顧客満足度向上など、新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
外国人材の活躍が、自動車整備業界の未来を明るく照らしてくれることを願っています。