【農業×特定技能】日本の未来は外国人材が救う!深刻な人材問題を特定技能人材で解決
日本の農業は、私たちの日々の食卓を支える、まさに生命線です。
しかし、高齢化や後継者不足による深刻な人材不足は、もはや無視できないレベルに達しています。
農林水産省の調査によると、日本の農業を支える基幹的農業従事者数は、2015年から2023年のわずか8年間で、175.7万人から116.4万人へと、約59.3万人(33.8%)も減少しています。毎年平均7.4万人もの減少を意味し、農業の担い手不足が急速に進んでいます。
さらに、高齢化も深刻に…
65歳以上の基幹的農業従事者の割合が、2023年には全体の約70.7%に達し、平均年齢も68.7歳まで上昇し、若い世代の参入が追いついていない現状です。
出典:農林水産省「農業労働力に関する統計」
「求人を出してもなかなか人が集まらない…」
「従業員の高齢化が進み、体力的に厳しい仕事が増えてきた…」
「人手不足で、従業員の負担が大きくなっている…」
「後継者がいなくて、将来が不安だ…」
など、このような悩みを抱えている農家さんも多いのではないでしょうか?
その解決策の一つとして、近年注目されているのが外国人材の活用です。
2019年4月に始まった特定技能制度により、農業分野でも外国人材の採用が可能になりました。この制度を活用することで、人材不足を解消し、生産性向上や国際化を図る農家が増えています。
例えば、北海道のある酪農家では、特定技能制度を利用してフィリピン人材を採用。搾乳作業や牛の世話などを任せることで、人手不足を解消しただけでなく、外国人材の真面目な仕事ぶりが、既存従業員のモチベーション向上にも繋がっているようです。
長野県のある果樹園では、ベトナム人材を採用し、りんごの収穫や選果作業などを手伝ってもらうことで、品質向上と収穫量の増加を実現したそうです。
このように、外国人材の活用は、単なる人手不足の解消だけでなく、農業の活性化、そして 未来への希望 にも繋がる可能性を秘めているのです。
この記事では、特定技能「農業」の詳細要件や、外国人材の雇用プロセスをわかりやすく解説します。
ぜひ、最後まで読んで、特定技能の外国人材採用について理解を深め、あなたの農園でも新たな一歩を踏み出しましょう。
特定技能「農業」は、どのような業務内容?
特定技能「農業」とは、外国人材に農作業に従事してもらうための在留資格です。
すでにご存じの方も多いと思いますが、以下のような業務内容が該当し、耕種農業と畜産農業の2つの分野に分けられます。
<主な業務内容>
分野 | 必須業務 | その他業務 | 例 |
---|---|---|---|
耕種農業 | 栽培管理(種まき、水やり、肥料、収穫など) | 農産物の集出荷、選別、包装など | 野菜の栽培、果樹の栽培、ハウスでのトマト栽培など |
畜産農業 | 飼養管理(餌やり、飼育環境の管理など) | 畜産物の集出荷、選別、包装など | 養豚、養鶏、酪農など |
<関連する業務内容(耕種農業・畜産農業共通)>
関連業務 | 例 |
---|---|
農畜産物の製造・加工 | 野菜の加工、果物の選別、牛乳の加工、肉の加工など |
農畜産物の運搬 | トラックでの運搬、フォークリフトでの運搬など |
農畜産物の販売 | 直売所での販売、市場での販売、インターネット販売など |
冬期間における除雪作業 | トラクターによる除雪、スコップでの除雪など |
どのような場所で働ける?
<働く事が出来る場所>
就労場所 | 説明 | 例 |
---|---|---|
耕種農業 | 野菜や植物などを育てる仕事 | 露地栽培、施設園芸、野菜、果樹、稲作など |
畜産農業 | 動物を飼育する仕事 | 養豚、養鶏、酪農、養牛など |
関連事業 | 農畜産物の製造・加工、運搬、販売など | 農産物加工場、パックセンター、直売所など |
<働く事が出来ない場所>
就労場所 | 説明 |
---|---|
ゴルフ場 | ゴルフ場における芝・樹木の栽培管理は、娯楽業に該当するため |
きのこ栽培(原木) | 原木を切り出してきのこを出荷する場合は林業に該当するため |
造園業 | 原則として対象外ですが、主な業務が耕種農業で関連業務として造園作業があり、日本人も通常業務として造園作業を行っている場合は従事可能 |
GPセンターでの卵の仕分け | 飲食料品製造業に該当 |
競馬・乗馬目的の馬の飼育 | 畜産局競馬監督課に相談が必要 |
外国人を農業で雇う場合、耕種農業と畜産農業のどちらで受け入れるか迷う場合、その外国人材がどんな仕事をするかで決まります。
例えば、コントラクターやTMRセンターで働く場合を考えてみましょう。
- 主に飼料作物を作っているなら「耕種農業」
- 家畜の世話や管理がメインなら「畜産農業」
となります。
ただし、畜産農業で外国人を雇う場合は、必ず家畜の世話や管理の仕事が含まれていなければなりません。その他の例としては、養鶏場で鶏を捕まえるだけの仕事では、畜産農業で外国人を雇うことはできません。
このように、外国人を雇う際には、その人が実際に行う仕事内容をしっかり確認し、耕種農業と畜産農業のどちらで受け入れるべきかを判断する必要があります。
雇用形態の種類は?
特定技能「農業」の外国人材は、大きく分けて、直接雇用と派遣形態の2つの働き方があります。
・直接雇用
農家や農業法人に直接雇用される働き方です。
・派遣形態
派遣会社に雇用され、複数の農家に派遣されて働く形態です。
派遣の場合、例えばある時期はイチゴ農家で収穫作業を行い、別の時期はトマト農家で栽培管理を行うなど、様々な農作業を経験することができます。
農業は季節によって仕事量が変動しますが、このように複数の農家で働くことで、年間を通して安定して就労できる可能性があります。
ただし、複数の場所で働くには、就労する場所や雇用形態によって条件がありますので、ご注意ください。
雇用形態 | 働き方 | 条件・注意点 |
---|---|---|
直接雇用 | 同一地域内での転職 | 雇用契約終了後、同一地域内の別の農業者と雇用契約を結び、入管で手続き |
直接雇用 | 全国各地に圃場を持つ雇用主 | 雇用主を変えずに全国各地で働ける |
派遣 | 複数の派遣先 | 派遣会社に雇用され、複数の農家に派遣される |
派遣 | 全国規模の派遣 | 農業団体の全国組織が派遣会社となり、全国各地に派遣される |
直接雇用 | 時期ごとに別の農場で働く | 時期ごとに働く農場と雇用契約を結び、入管の許可が必要 |
派遣 | 時期ごとに別の農場で働く | 派遣元と派遣先で契約を結び、入管の許可が必要。新しい派遣先は都度届け出 |
その他 | JA等を通じた場合 | JA等が複数の農家から仕事を受託し、外国人は複数の農家の圃場で働く。農家は外国人に直接指示できず、JA等が指示を出す |
全てのケース | 重要な注意点 | 雇用契約で決められた仕事内容と場所で働く。複数の場所で働く場合は、それぞれの場所で働くための手続きが必要。労働基準法や出入国管理法などの法律を守る。 |
農家だけでなく、以下の事業者でも雇用することができます。
- 農業関連業務を自ら行う事業者(例:農機具の販売・修理、農業資材の販売など)
- 農家から請負って農業関連業務を行う事業者(例:農作業の受託、収穫物の運搬など)
- 農家などを構成員とする団体(例:JAなど)
外国人材を採用すると、どんなメリットがある?
農業において外国人材を雇用することは、人手不足の解消という直接的な効果だけでなく、農業経営の活性化や地域社会への貢献など、様々なメリットをもたらします。
1. 人材不足の解消
高齢化や後継者不足が深刻な農業において、外国人材は貴重な労働力となります。
特に、体力的にきつい作業や、専門的な知識・技術を必要とする作業を担ってもらうことで、既存の従業員の負担を軽減し、より効率的な作業体制を構築することができます。
2. 生産性の向上
外国人材の活用により、労働力不足を解消し、生産量の増加や作業効率の向上が見込めます。
外国人材の中には、母国で農業に従事していた経験を持つ人も多く、彼らの経験や知識を活かすことで、新たな技術やノウハウを導入し、生産性の向上につなげることが期待できます。
3. 国際化
多様な文化背景を持つ外国人材との交流は、新たな技術やアイデアの導入、海外市場への進出など、国際的な視野を広げるきっかけとなります。
外国人材の出身国の食文化や農業技術を学ぶことで、自らの農業経営に新たな視点を取り入れることもできます。
4. 地域社会への貢献
外国人材の受け入れは、地域社会の活性化や国際交流にも貢献します。 外国人材が地域社会に溶け込むことで、地域住民との交流が生まれ、地域の活性化につながります。 また、外国人材を受け入れることで、地域全体の国際的な理解を深めることも期待できます。
このように、外国人材の雇用は、農業経営者にとって多くのメリットをもたらします。 人材不足の解消、生産性の向上、国際化、地域社会への貢献など、様々な効果を期待することができます。
そもそも特定技能制度とは、どんな制度?
特定技能制度は、2019年に始まった制度で、人材不足を解消し、日本の経済を活性化させることを目的としています。一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を受け入れ、即戦力として活用することができます。
技能レベルに応じて、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格が設けられています。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
対象分野 | 16分野全て | 介護分野を除く11分野 |
在留期間 | 最長5年 | 期限なし |
技能レベル | 各分野の技能試験に合格 | より高い技能・知識を持ち、1号の要件を満たす |
家族の帯同 | 不可 | 可能 |
- 転職の自由
同じ職種内であれば、自由に転職することができます。
誰でも特定技能人材になれる?
特定技能「農業」の外国人材は、以下の試験に合格し、必要な技能を習得している必要があります。
- 農業技能測定試験(ASAT)
農業に必要な知識と技能を測る試験
※耕種農業・畜産農業の技能実習2号・3号を良好に修了している場合は、この試験は免除されます。
- 日本語能力試験
日本語の理解を測る試験(N4以上)
※技能実習2号・3号を良好に修了している場合は、日本語能力試験は免除されます。
外国人材を採用する際は、これらの内容をすべてクリアできているか必ず確認しましょう。。
特定技能人材の採用はどうするの?
外国人材を採用する方法は、いくつかあります。
1.人材紹介会社を活用する
特定技能に特化した人材紹介会社を利用することで、適切な人材のマッチングからビザ申請手続き、入国時の対応までサポートを受けることができます。
初めて特定技能外国人を採用する場合に効果的です。
2.登録支援機関を利用する
登録支援機関は、特定技能外国人の生活支援や就労支援を行う専門機関です。 人材紹介会社が登録支援機関を担っているケースもあります。
人材紹介から支援計画の作成、在留手続きのサポートまで幅広いサービスを提供しています。
3.直接外国人材を採用する
海外に住んでいる外国人を直接採用する方法です。 企業が自ら海外の人材と連絡を取り合い、オンライン面接などを通して採用候補者を選考します。
ビザの申請など、必要な手続きもすべて企業自身で行う必要があります。
4.技能実習生から移行する
技能実習生として雇用している外国人を特定技能に変更することができます。
ただし、すべての技能実習生が特定技能「農業」に移行できるわけではありません。
耕種農業・畜産農業の技能実習2号を良好に修了した方、または技能実習3号の実習計画を満了した方が対象となります。
5.留学生を採用する
現在アルバイトとして雇用している留学生がいる場合、特定技能の試験に合格すれば、特定技能に変更することができます。
外国人材を受け入れるための準備内容
外国人材を採用するには、受け入れ企業にもいくつかの条件をクリアする必要があります。
・農業特定技能協議会へ加入する
この協議会は、外国人材の受け入れを支援するための活動を行っており、加入することで、様々な情報やサポートを受けることができます。加入は無料で、初めて外国人材を受け入れてから4ヶ月以内に行う必要があります。
・ 過去の雇用経験
過去5年以内に、同一の労働者を6ヶ月以上継続して雇用した経験が必要です。
これは、企業が適切な労務管理を行えるかを確認するための要件になっています。技能実習生の雇用も含まれますが、6ヶ月未満の短期間の雇用を複数回行っていたとしても、この要件は満たせません。
ただし、過去5年以内に6ヶ月以上、労務管理に関する業務に従事していた経験があれば、この要件を満たすことができます。
例えば、親が農業を営んでおり、その手伝いとして労務管理を行っていた場合や、労務管理の経験がある人が新たに農業法人を設立する場合などが該当します。
・派遣形態で受け入れる場合
派遣会社を通して外国人材を受け入れる場合は、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 農業または農業関連業務を行っている事業者である。
- 地方公共団体または農業関係者が資本金の過半数を出資している。
- 地方公共団体の職員または農業関係者などが役員であるなど、地方公共団体または農業関係者が業務執行に実質的に関与している事業者である。
- 国家戦略特別区域法に規定する「特定機関」である。
さらに、出入国在留管理庁と農林水産省の協議の上、適当と認められる必要があります。
外国人材を採用する流れ
ここまで読んでいただき、すぐにでも外国人材の採用を進めたい!と思っていただけたホテル・旅館関係の方もいるかと思います。
しかし、外国人材の採用は日本人採用とは異なる点がありますので、スムーズに外国人材を採用するために、事前準備からの流れを紹介します。
いずれ受け入れを検討している経営者・人事担当者の方にも、前知識として役立つ情報です。
ステップ | 内容 | 備考 |
---|---|---|
事前準備 | 就業規則、賃金システム、住居、生活環境の整備 | 外国人材を受け入れるための準備を整える |
人材募集 | 人材紹介会社や現地機関の活用、求人サイト、ハローワークなど | 適切な方法で候補者を探す |
面接 | 書類選考、面接(日本語能力、技能、コミュニケーション能力などを評価) | 日本人材の採用と同様の選考プロセス |
雇用契約 | 雇用契約書締結(労働条件を明確にし、外国人材にも理解できるように説明) | 労働条件は法律に基づき、外国人材にもわかりやすく説明する |
ビザ申請 | 特定技能ビザ申請(必要な書類を揃えて申請) | ビザ取得のためのサポートを行う |
入社前準備 | 住居確保、生活環境整備 | 来日前に必要な準備を支援する |
入社オリエンテーション | 会社規則、業務内容、安全衛生教育など | 会社や仕事内容を理解してもらう |
業務開始 | 実際の業務開始、日本人スタッフとのコミュニケーション促進 | 円滑なコミュニケーションを図る |
定期的な面談 | 業務や生活面での課題を早期に発見するための面談 | 定期的な面談で問題を早期に解決する |
外国人材を農業で雇用する上での3つのポイント
外国人材の雇用は、農業における人手不足解消の有効な手段となります。しかし、採用する際には注意すべき点もあります。これらの注意点を理解しておくことで、外国人材とより良い関係を築き、スムーズに業務を進めることができるでしょう。
1. 就労可能な業務範囲
特定技能「農業」の在留資格を持つ外国人材は、農作業に従事できますが、就労可能な業務範囲は決められています。
外国人材に許可されていない業務をさせてしまうと、法律違反になってしまうので、採用前に就労可能な業務範囲をしっかりと確認し、外国人材にも理解させましょう。
2. 適切な就労状況の管理
外国人材の就労状況を適切に管理することは、企業の責任です。
- 在留管理局への届出
採用時や離職時など、外国人材の就労状況に変更があった場合は、入国管理局への届出が必要です。 - 不正就労の防止
許可されていない業務や就労時間外の労働をさせてはいけません。
外国人材が安心して働けるよう、就労状況を適切に管理し、必要なサポートを提供しましょう。
3. 日本語レベルの確認
外国人材を採用する際は、日本語レベルをよく確認しましょう。日本語能力試験に合格しているからといって、必ずしも農作業に必要な日本語を理解できるとは限りません。
- 面接での確認
面接の際に、実際に日本語で会話をして、業務に必要な指示や説明を理解できるかを確認しましょう。 - 日本語教育のサポート
日本語レベルが不十分な場合は、日本語教育のサポートなどを強化しましょう。
外国人材が日本語を習得することで、コミュニケーションが円滑になり、業務効率の向上や安全確保につながります。
これらのポイントを踏まえ、外国人材の採用・雇用を進めることで、人手不足の解消、生産性の向上、より良い職場環境づくりを実現できるでしょう。
まとめ
この記事では、人材不足に悩む農業経営者の皆様に向けて、特定技能制度を利用した外国人材の雇用がいかに有効な解決策となるかをご紹介しました。
外国人材の活用は、単なる人手不足の解消だけでなく、生産性向上、国際化、地域社会への貢献など、様々なメリットをもたらします。
ぜひ、この記事を参考にして、外国人材の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか?
外国人材の活躍が、日本の農業の未来を明るく照らしてくれることを願っています。