1. 技術・人文知識・国際業務
概要
理工学系の「技術」分野、文系の「人文知識」分野、そして通訳・翻訳など多言語対応が求められる「国際業務」分野といった、主にホワイトカラーの職種を対象とする在留資格です。
主な就業例
- 技術分野:ITエンジニア、機械設計など
- 人文知識分野:経理、マーケティング、営業、貿易事務、通訳・翻訳など
- 国際業務分野:海外取引窓口、語学講師、海外向け企画提案など
採用の難易度の目安:★★★☆☆(中程度)
大学卒または10年以上の実務経験が条件となるため、要件を満たせば比較的取得しやすい資格です。
ただし、業務内容と学歴・経験分野の関連性を入国管理局に証明する必要があります。
取得条件(主な要件)
- 大学卒業(学士以上)または関連分野での実務経験10年以上
- 担当する業務と学歴・実務経験の関連性
- 日本人と同等以上の報酬での雇用契約
このビザが向いている企業
- グローバル展開を進めている、または計画している企業
- 外国語対応や海外取引の強化を図りたい企業
- IT・エンジニアリング人材や専門職の確保が難しい企業
- 大卒以上の専門人材を長期的に雇用したい企業
2. 高度専門職
概要
学歴や職歴、年収などをポイント化して判定し、70点以上を獲得した方を「高度専門職」として優遇する在留資格です。研究職やITなど専門性の高い分野で活躍される方に向いており、永住許可の早期取得など大きなメリットがあります。
主な就業例
- AI・クラウドなど先端技術分野のITエンジニア
- 大学や研究機関での研究職、コンサルタント、企業の管理職など
採用の難易度の目安:★★★★☆(やや難)
ポイント制による厳格な審査が行われますが、認められた場合は優遇措置が豊富です。
高度なスキルや知識を求める企業にとっては非常に有益な制度といえます。
取得条件(主な要件)
- ポイント制(学歴・年収・職歴・研究実績・日本語能力など)で70点以上
- 高い専門性を要する業務内容(研究、IT開発、経営など)
- 報酬が日本人と同等以上
このビザが向いている企業
- 先端技術分野での研究開発を行う企業
- グローバルな経営戦略を推進したい企業
- 高い専門性を持つ人材による事業成長を目指す企業
- 将来的に外国人材を幹部候補として育成したい企業
- 外国人材に長期的なキャリアパスを提供できる企業
3. 経営・管理
概要
日本国内で会社を設立・経営する、または既存企業の経営陣として活動する方が対象の在留資格です。 企業の設立やオフィスの確保、資本金など、事業を行うにあたっての実質的要件が必要となります。
主な就業例
- 新規事業の起業家
- 外資系企業の日本支社長、取締役、代表取締役
- ベンチャー企業の共同経営者
採用の難易度の目安:★★★★☆(やや難)
設立手続きや資本金の要件など準備すべき事項が多いですが、実際に取得できれば在留期限の更新も含め安定的に経営活動を続けられます。
取得条件(主な要件)
- オフィス・店舗など事業所の確保
- 資本金(出資額)500万円以上(新規の場合)
- 安定的・継続的な事業運営が可能な計画
このビザが向いている企業
- 外国市場との取引拡大を目指す企業
- 海外の投資家と共同で事業を行う企業
- 外国人の経営視点を取り入れたい企業
- 海外展開を進める中小企業
- 外資系企業の日本拠点
4. 特定技能(1号・2号)
概要
16の特定産業分野で人手不足を補うために設立された新しい在留資格です。業務に必要な技能試験と日本語試験に合格した「即戦力」を受入れることを想定しています。
主な就業例
介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業
採用の難易度の目安:★★★☆☆(中程度)
試験合格者(同業種の技能実習2号終了者)であれば、スムーズに就労可能です。
「1号」は最長5年まで在留可能・家族帯同不可、「2号」は更新可能・家族帯同可といった違いがあります(ただし2号は対象分野が限定)。
取得条件(主な要件)
- 指定の技能試験・日本語試験に合格(同業種の技能実習2号終了者)
- 受入れ先企業と適正な契約を締結
- 在留資格「1号」「2号」で要件や在留期間、帯同家族の可否が異なる
このビザが向いている企業
- 人手不足が深刻な指定16分野の企業
- 即戦力となる実務経験者を求める企業
- 技能実習修了者の継続雇用を考えている企業
- 中長期的な外国人雇用計画がある企業(特に2号対象分野)
- 一定の日本語能力を持つ外国人の採用を希望する企業
5. 技能
概要
高度な職人技を要する職種に就く方向けの在留資格です。日本人では代替が難しい特殊な技能を持ち、実務経験が証明できることが必要となります。
主な就業例
- 特定の外国料理のシェフ、ソムリエ、伝統菓子のパティシエ
- 建築・左官などの技能職人、宝石加工・工芸品製作など
採用の難易度の目安:★★★☆☆~★★★★☆(中~やや難)
職種ごとに条件が厳格で、実務経験年数や技能証明の提出が必要です。
要件をクリアできれば、特定の専門分野での活躍が期待できます。
取得条件(主な要件)
- 原則10年以上の実務経験(国・職種によって5年に短縮される場合あり)
- 技能証明書や実務経験証明書の提出
- 日本人と同等以上の報酬条件
このビザが向いている企業
- 特定の外国料理店や専門店を運営する企業
- 伝統工芸や特殊技能を必要とする製造業
- 専門的な技術伝承が必要な分野の企業
- 外国人特有の技能・経験が事業に必要な企業
- 熟練した職人技を求める建設・製造業
6. 企業内転勤
概要
海外にある本社や支店など、同じ企業グループから日本法人へ転勤してくる社員向けの在留資格です。 労働条件は「技術・人文知識・国際業務」に準じますが、転勤形態である点が異なります。
主な就業例
- 外資系企業の海外拠点で働く社員が日本支社へ異動
- 多国籍企業のシステムエンジニアが日本チームに合流
採用の難易度の目安:★★★☆☆(中程度)
同一企業での1年以上の勤務実績と明確な転勤命令があれば、比較的取得しやすい傾向です。
取得条件(主な要件)
- 同一企業グループで1年以上勤務
- 企業からの正式な転勤命令
- 業務内容が「技術・人文知識・国際業務」と同等であること
このビザが向いている企業
- 海外拠点を持つグローバル企業
- 海外グループ会社からの人材交流を図りたい企業
- 海外の専門知識や技術を日本拠点に取り入れたい企業
- 多国籍プロジェクトを推進する企業
- 将来的に日本拠点の拡大を目指す外資系企業
7. 技能実習
概要
発展途上国などの人材が日本の企業で技能を実習し、母国の産業発展に貢献することを目的とした制度です。監理団体を通じて受入れるのが一般的です。
主な就業例
現在は91職種168作業が指定されており、その範囲内で技能実習生の受入れが可能です。たとえば、以下のような分野が含まれます。
- 食品製造関連(飲食料品製造、食肉加工、缶詰・レトルト食品製造など)
- 農業関連(耕種農業・畜産農業など)
- 建設関連(型枠施工、鉄筋施工、左官など)
- 機械・金属加工関連(溶接、塗装、プレス加工、機械検査など)
- 漁業関連(漁船漁業、養殖業など)
- 衣類縫製関連(婦人服・紳士服の縫製など)
採用の難易度の目安:★★☆☆☆(やや容易)
監理団体が制度の運用をサポートしてくれるため、受入れ体制が整っている企業であれば比較的導入しやすいです。
取得条件(主な要件)
- 監理団体を通じ、技能実習計画の認定を受ける
- 日本語学習や健康診断などの準備
- 実習生の適正な指導・保護を行う体制を整備
このビザが向いている企業
- 人材育成を通じた国際貢献に関心がある企業
- 製造業・建設業・農業・食品加工業など指定職種の企業
- 監理団体との連携体制が構築できる企業
- 外国人材の受入れ経験を積みたい企業
- 基本的な作業工程の習得を指導できる体制がある企業
8. 育成就労(新制度)
概要
現在の技能実習制度を見直し、より企業主体で外国人材を受入れられるようにする新制度です。2027年以降の導入が予定されています。
主な就業例(予定)
- 建設・製造などを中心に、多岐にわたる分野での人材育成
- 技能実習制度と同様、幅広い業種が対象となる可能性があります
採用の難易度の目安:(制度設計中)
具体的な制度設計が進められている段階です。監理団体を介さず企業が直接受入れる方針のため、柔軟性が高まる一方で企業の責任が増す見込みです。
取得条件(主な要件)
- 制度設計が確定していないため詳細未定
- 企業自らが教育・就労管理を行う枠組みが予定
- 技能実習制度よりも柔軟な運用が想定される
このビザが向いている企業
- より主体的に外国人材の育成に取り組みたい企業
- 技能実習制度の制約に課題を感じていた企業
- 独自の教育カリキュラムを持つ企業
- 中長期的な人材育成計画を持つ企業
- 柔軟な雇用形態で外国人材を活用したい企業
9. 永住者/日本人の配偶者等
概要
永住権を取得している方や、日本人の配偶者・子どもなどは就労制限がありません。どのような仕事にも就けるため、企業側の負担が少ないのが特徴です。
主な就業例
- 正社員(事務・営業・技術職などあらゆる分野)
- パート、アルバイト、派遣社員など雇用形態を問わず可能
採用の難易度の目安:★☆☆☆☆(容易)
追加のビザ申請を行う必要がないため、企業としては通常の日本人採用とほぼ同様の手続きで雇用できます。
取得条件(主な要件)
本人が「永住者」または「日本人の配偶者等」の在留資格をすでに保有していること
このビザが向いている企業
- 職種や雇用形態の制限なく採用したい企業
- ビザ更新手続きの負担を避けたい企業
- 長期的・安定的な雇用を提供したい企業
- 日本での生活基盤がすでに確立した人材を求める企業
- パート・アルバイトなど柔軟な雇用形態で採用したい企業
10. 留学生アルバイト
概要
日本の大学や専門学校などに留学中の外国人学生が、資格外活動許可を得てアルバイトをする場合の在留資格です。週28時間以内という就労時間の制限があります。
主な就業例
- 飲食店やコンビニ、スーパーなどの販売スタッフ
- 塾講師や翻訳などの専門的アルバイト
採用の難易度の目安:★☆☆☆☆(容易)
留学生本人が資格外活動許可を取得していれば、受入れはスムーズです。
企業側は就労時間の管理(週28時間まで)に注意する必要があります。
取得条件(主な要件)
- 「留学」ビザ保持者が資格外活動許可を取得
- 週28時間以内のアルバイト(長期休暇中は1日8時間まで可)
- 風俗営業関連の業種では就業不可
このビザが向いている企業
- 短時間勤務の人材を求める小売業・飲食業
- 繁忙期の人材補強を検討している企業
- 将来的な正社員採用を見据えたインターンシップを実施したい企業
- 多言語対応が必要な接客業
- 日本語学習中の留学生でも活躍できる業務がある企業
まとめ
外国人の在留資格は、職種や業務内容によって異なるため、外国人を採用する際には「どの在留資格を持っているか」の確認が必須になります。
正しい在留資格の選択と手続きをした上で、次は「外国人雇用のメリット・デメリット」と「受入企業の注意すべき点」を理解することが重要です。外国人材の強みを最大限に活かし、受入れ時の問題を最小限に抑える準備が成功の鍵となります。
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外国人採用に関係する在留資格一覧
在留資格名 | 概要 | 主な職種例 | 取得条件 |
---|---|---|---|
技術・人文知識・国際業務 | 専門知識を活かすホワイトカラー職 | エンジニア、通訳、営業、貿易事務など | 大卒以上、または関連分野での実務経験10年以上 |
高度専門職 | 優遇措置ありの専門職向けビザ | IT、研究、開発、教育、経営など | ポイント制(学歴・年収・職歴などで70点以上) |
経営・管理 | 会社の設立・経営を行う人向け | 経営者、役員、支店長など | 事業所の確保+資本金500万円以上など |
特定技能(1号・2号) | 特定分野で人手不足を補う | 介護、外食、建設、農業など(16分野) | 技能試験+日本語試験に合格 |
技能 | 熟練した職人向けのビザ | 外国料理の料理人、建築職人など | 実務経験5年以上の熟練技能が必要 |
企業内転勤 | 外国の本社からの転勤者向け | 外資系企業での勤務など | 同一企業で1年以上勤務+転勤命令 |
技能実習 | 技能を学ぶための制度(将来は「育成就労」へ移行) | 製造、農業、建設など | 技能実習計画の認定が必要(監理団体を通じて受入れ) |
育成就労(新制度) | 技能実習に代わる新制度(2027年以降) | 建設・製造など予定 | 監理機関の関与なし。企業主導の受入れへ |
永住者/日本人の配偶者等 | 制限なくどの仕事でも可 | 全職種対象 | すでに在留している方の雇用が可能。採用制限なし |
留学生アルバイト | 留学中の学生が行えるアルバイト | 飲食・販売など | 「資格外活動許可」が必要(週28時間まで) |