外国人採用を成功させる3つのフェーズ
外国人採用を成功させるためには、以下の3つのフェーズを意識した取り組みが重要です。
1.採用準備フェーズ
計画立案から選考まで
2.受入体制構築フェーズ
生活基盤整備から社内体制まで
3.定着促進フェーズ
キャリア形成から多文化共生まで
各フェーズで押さえるべきポイントを、具体例とともに解説します。
フェーズ1:採用準備のポイント
【ポイント1】採用計画の立案 — 明確な目標設定が成功の第一歩
採用の第一歩は、「なぜ外国人材を採用するのか」を言語化し、社内で共有することから始まります。
目的が曖昧なまま動き出すと、必要なスキルやコストが後追いで判明し、手戻りが発生しがちです。
CHECK!
- 採用目的を明確にする(人手不足解消?グローバル対応強化?専門スキル獲得?)
- 人材要件を具体化する(必要日本語レベル、専門スキル、経験など)
- 受入体制の事前検討を行う(言語サポート、生活支援体制など)
- 予算・コストを見積もる(採用活動費、在留資格申請費用、住居支援費など)
- 長期的キャリアパスを設計する(成長機会の提供)
実践ポイント
- 採用目的を具体的な数値や期間で設定する
例:「3年後の海外拠点設立を見据えた多言語対応人材の確保」 - 求める人材像を詳細に描く
例:単なる作業者ではなく将来的な役割まで想定する - 言語能力と専門スキルの基準を明確にする
例:日本語能力N3以上、業界経験3年以上など - 適切な在留資格を選択する
例:将来の役割を見据えた「技術・人文知識・国際業務」の選択 - 長期的な育成計画を事前に作成する
例:3年間の段階的なスキル習得と役割拡大の計画
こうして数値と期限を盛り込んだ計画を作ると、部門間の認識がそろい、後工程(在留資格選択や求人票作成)もスムーズに進みます。
【ポイント2】法的要件の確認 — コンプライアンスを確保する重要性
採用計画が固まったら、次は入管法・労働法の確認です。
ここを軽視すると、せっかくの採用が不許可や罰則の対象になる恐れがあります。
CHECK!
- 在留資格と業務の整合性を確認する(従事予定業務が認められた範囲内か)
- 外国人雇用状況の届出義務を理解する(ハローワークへの届出が必須)
- 雇用条件の平等性を担保する(日本人と同等以上の給与・待遇の保証)
- 在留カードの確認と写しの保管を行う(採用時の必須手続き)
- 在留期限管理の体制を構築する(更新手続きの適切な実施)
実践ポイント
- 担当者の知識向上を図る
例:入管法セミナーや外国人雇用管理研修への参加 - 確認・届出手続きのマニュアル化
例:在留カード確認の手順書や雇用状況届出の業務フロー作成 - 更新管理のシステム化
例:在留期限3ヶ月前からのアラート機能実装 - 責任者と担当範囲の明確化
例:人事部門と現場の役割分担を文書化 - 専門家との関係構築
例:行政書士事務所との顧問契約や相談ルートの確保
これらの実務をマニュアル化し、担当者と権限を明確化しておくと、認定外活動や更新漏れを防げます。
【ポイント3】募集方法の選択 — 適切なチャネルで優秀な人材と出会う
コンプライアンス体制が整ったら、いよいよ募集チャネルの選定です。ここでは「複数チャネルの組み合わせ」をご紹介いたします。
CHECK!
- 専門エージェントを活用する(外国人採用に特化した人材紹介会社)
- 多言語求人情報を作成する(日本語+英語/対象国言語)
- 学校・機関と連携する(日本語学校、専門学校、大学の留学生センター)
- SNSを効果的に活用する(外国人コミュニティでよく使われるプラットフォーム)
- 既存社員からの紹介を促進する(母国の人脈を活用)
実践ポイント
- 複数の募集チャネルを組み合わせる
例:ハローワークだけでなく、専門エージェントや学校連携も活用 - 教育機関との関係構築
例:日本語学校や専門学校との連携協定、定期的な会社説明会の実施 - 既存の外国人社員を活用する
例:母国への情報発信や採用活動への参加依頼 - 多言語での情報発信
例:求職者の母国語での企業紹介資料や動画の作成 - SNSなど多様なメディアの活用
例:外国人コミュニティで影響力のあるSNSプラットフォームの選択
これらを同時並行で走らせることで、「応募ゼロ」のリスクを減らし、多様なバックグラウンドの候補者と出会えます。
【ポイント4】面接・選考の実施 — 言語や文化の壁を超える工夫
選考フェーズでは、評価基準の優先順位づけとコミュニケーション支援がカギとなります。
CHECK!
- わかりやすい日本語を使用する(複雑な敬語や専門用語を避ける)
- 通訳を活用する(必要に応じて母国語でのコミュニケーション)
- 実技テストを導入する(言語に頼らない実力評価)
- 文化的背景に配慮する(国による価値観や表現の違いを理解)
- オンライン面接を活用する(海外在住者の面接手段)
実践ポイント
- 評価項目に優先順位をつける
例:技術職なら言語よりも専門スキルを重視する評価基準の設定 - 実技テストを取り入れる
例:実際の業務を想定した作業課題や技能評価の実施 - 「やさしい日本語」の活用
例:面接官向けの簡易日本語ガイドラインの作成と研修 - 通訳サポートの検討
例:必要に応じてオンライン通訳サービスや通訳者の活用 - 採用後の言語サポート計画
例:入社後の日本語研修プログラムの提供と習得目標の設定
このような面接方法を実施することによって、語学力だけで合否を決めてしまう“もったいない選考”を回避できます。
【ポイント5】在留資格申請準備 — スムーズな受け入れのための事前対策
採用が決定したら、最後にビザ申請書類の整備とスケジュール管理です。
CHECK!
- 申請スケジュールに余裕を持つ(審査には1〜3ヶ月程度必要)
- 必要書類を準備する(雇用契約書、会社概要、財務諸表など)
- 説明資料を充実させる(採用理由や業務内容を具体的に説明)
- 専門家に相談する(行政書士などの専門家の活用)
- オンライン申請を活用する(2020年から開始された申請システム)
実践ポイント
- 余裕のある申請スケジュールを立てる
例:入社希望日の3か月前までに申請準備を完了 - 専門家のサポートを活用する
例:行政書士への相談や申請代行の依頼 - 書類準備のチェックリストを作成する
例:申請書類一覧と社内での準備分担の明確化 - 雇用理由の具体的な説明資料を用意する
例:外国人材を必要とする理由を具体的なスキルや業務内容と共に記載 - 過去の事例を参考にする
例:同業他社の申請事例や入管のガイドラインを研究
これらを徹底することで、ビザ不許可や入社遅延といった“最後の落とし穴”を避けられます。
フェーズ2:受入体制構築のポイント
【ポイント1】生活基盤のサポート — 安定した生活環境が働きやすさを創る
外国人社員が最初にぶつかる壁は、仕事そのものより日常生活の安定化です。言語の壁や慣れない手続きでストレスを感じると、業務への集中力が途切れ、早期離職の引き金にもなります。そこで企業側は、来日直後から以下のような内容を支援すると効果的です。
基盤 | 主な支援内容 | 実践イメージ例 |
---|---|---|
住居 | 保証人問題の解消/社宅・法人契約物件の用意 | 最初の1〜3か月は家具付きレジデンスを提供 |
銀行口座 | 書類案内と手続き同行 | 来日翌営業日に担当者が同行し口座開設 |
携帯電話 | 契約サポートとプラン説明 | 通信費を一部補助するSIMカードを支給 |
生活必需品 | 家具・家電・日用品の初期セット | 布団セットや調理器具を会社備品として貸与 |
交通 | 通勤ルート説明とICカード手配 | 初月分の定期券を会社負担で用意 |
実践ポイント
- 初期手続きの多言語ガイドを作成する
例:体系的入社研修プログラム用意(数日間集中研修) - 来日直後の住居を確保する
例:最初の1~3か月は社宅や契約済み物件を提供 - 必要最低限の生活物品を準備する
例:布団、調理器具、日用品などの初期セットを用意 - 手続き同行の担当者を決める
例:来日後1週間は専任担当者が各種手続きに同行 - 初期費用の支援制度を検討する
例:住居の初期費用補助や生活立ち上げ費用の貸付制度
こうした支援を「多言語ガイド+同行サポート」の2本立てで行うと、手続きの取りこぼしがほぼゼロになります。
【ポイント2】社内受入れ体制の構築 — 組織全体での準備が不可欠
生活が落ち着いたら、次は業務環境の整備です。ここでは「情報の多言語化」と「受入れ部署の意識合わせ」が鍵になります。
CHECK!
- 受入れ部署への事前説明を行う(背景や特性、期待される役割の共有)
- メンター制度を導入する(業務・生活面の相談役となる先輩社員の指名)
- 多言語対応の実務資料を用意する(業務マニュアルや安全手順書の翻訳)
- コミュニケーション方法を工夫する(チャットツール活用、定例ミーティング設定)
- 社内表示を多言語化する(重要な掲示物や警告表示の翻訳)
実践ポイント
- 受入れ前の社内研修を実施
例:全社員向けの「多文化理解研修」で異文化コミュニケーションを学ぶ - メンター制度を整備
例:業務指導担当と生活支援担当を分けて任命 - 多言語化と視覚化を進める
例:安全関連の掲示物を多言語化し、図や写真も追加 - 受入れ部署との事前ミーティングで協力体制確認
例:配属先メンバーとの事前ミーティングや協力体制の確認 - 段階的な業務習得計画を立てる
例:1週間、1か月、3か月ごとの習得目標を設定
事前に職場環境を整えることで「何を・いつまでに・誰が教えるか」 が可視化され、現場のモヤモヤを軽減することができます。
【ポイント3】オリエンテーションの実施 — 期待と責任の明確な共有
入社初日は、外国人社員にとって会社との“心理的契約”を結ぶ日です。
次の5テーマをストーリー立てて説明すると効果的です。
①業務期待 ②社内ルール ③評価制度 ④安全衛生 ⑤コミュニケーション方法
CHECK!
- 業務内容と期待を明確化する(具体的な説明と期待される成果の共有)
- 社内ルールを説明する(出退勤、休暇申請、報告連絡相談などの基本ルール)
- 評価制度を説明する(評価項目や昇給・昇進の条件)
- 安全衛生教育を実施する(業務上の安全手順や緊急時対応)
- 社内コミュニケーション方法を伝える(報告の頻度や方法、会議でのマナー)
実践ポイント
- 体系的な入社研修プログラムを用意する
例:会社概要、業務内容、職場文化を段階的に学ぶ数日間の集中研修 - 日本の職場文化を丁寧に説明する
例:「報連相」などの概念を具体例を用いて視覚的に解説 - 研修内容の振り返りツールを用意する
例:研修内容の動画記録や多言語マニュアルの提供 - ロールプレイを取り入れる
例:実際の業務シーンを想定した対話練習 - 理解度の確認と追加フォローを行う
例:研修後のフォローアップ面談と理解度チェック
たとえば「報連相」という日本独特の慣習も、単語の説明ではなく“なぜ必要か→実際の手順→良い例・悪い例”まで示すと腹落ちします。研修動画やロールプレイを取り入れ、最後に理解度チェックを行えば定着率が大幅に向上します。
【ポイント4】言語・文化研修の提供 — 相互理解を深める仕組み
仕事の指示は日本語、休憩時間は母国語という環境では誤解が生まれがちです。業務日本語の集中研修と相互文化セミナーを実施することによって、相互理解が深まりコミュニケーションも円滑になります。
CHECK!
- 業務日本語の研修を実施する(職場で使用する専門用語や表現に特化)
- 「やさしい日本語」を導入する(全社員が理解しやすい簡潔な日本語の使用)
- 相互文化理解のセミナーを開催する(日本人社員も参加する文化交流)
- 実践的コミュニケーション訓練を行う(実際の業務シーンを想定したロールプレイ)
- フォローアップの仕組みを作る(研修後の実践状況を確認する体制)
実践ポイント
- 日本語習得の継続的な機会を提供する
例:週1回の業務後日本語レッスンや学習時間の確保 - 相互学習の仕組みを作る
例:外国人社員と日本人社員がお互いの言語や文化を教え合う制度 - 業務に直結した言語教材を開発する
例:職場で実際に使う用語や表現に特化した対訳集の作成 - 日本人社員向けの研修も実施する
例:「やさしい日本語」や「異文化コミュニケーション」の研修会 - 成果を可視化して評価する
例:言語能力の向上度や業務コミュニケーション改善の測定
「研修で学んだことをすぐ現場で試し、上司がフィードバックする。」このサイクルを回すことで、コミュニケーションの摩擦は目に見えて減ります。
【ポイント5】相談・フォロー体制の確立 — 安心して働ける環境づくり
最後に用意すべきは、継続的な相談窓口と1on1 面談です。週1→月1と頻度を徐々に下げつつ、匿名でも質問できるオンラインフォームを用意すると、些細な不安がエスカレートする前に対処できます。
CHECK!
- 定期的な面談機会を設ける(業務状況や生活面の課題把握)
- 相談窓口を設置する(言語や文化の壁を考慮した体制)
- 多言語対応の健康相談を提供する(健康問題や精神面のケア)
- 生活相談サービスを紹介する(地域の外国人支援団体や行政サービス)
- 緊急時対応を準備する(災害時や急病時の連絡体制)
実践ポイント
- 定期的な1on1ミーティングを設定する
例:入社後3か月は週1回、その後は月1回の定期面談 - 匿名で質問できる仕組みを作る
例:多言語対応のオンライン質問フォームや相談箱の設置 - 多言語での相談環境を整備する
例:母国語でのカウンセリングや相談サービスの提供 - 業務面と生活面の両方をサポートする
例:仕事の悩みと日常生活の課題を一緒に解決できる窓口の設置 - 外部リソースと連携する
例:地域の外国人支援団体や多言語対応の公共サービスとの連携
地域の外国人支援団体や多言語カウンセラーと連携すれば、健康・法律・メンタルの専門相談にもワンストップでつなげることができます。
フェーズ3:定着促進のポイント
【ポイント1】評価・フィードバックの工夫 — 文化的背景を考慮した適切な評価
評価制度が不透明だと「昇給の基準が分からない」「自分だけ不利では?」と不満が生まれます。明確な指標と定期フィードバック、ポジティブ強化を活用しましょう。
CHECK!
- 明確な評価基準を設定する(曖昧さを排除した具体的指標)
- 定期的なフィードバックを行う(年次評価だけでなく、こまめな進捗確認)
- ポジティブ強化を活用する(良い点を認め、改善点は建設的に伝える)
- 成功事例を共有する(ロールモデルとなる外国人社員の成功体験)
- 文化的背景に配慮する(国による評価の受け止め方の違いへの理解)
実践ポイント
- 評価基準と目標を数値化・可視化する
例:月次の目標と達成度を具体的な指標でシート化 - 肯定的フィードバックを多めにする
例:良い点3つ、改善点1つの「3:1ルール」で面談を実施 - 多角的な評価の仕組みを取り入れる
例:直属上司だけでなく他部署の先輩社員も評価に参加 - 定期的な成長確認の場を設ける
例:四半期ごとの成長面談で進捗を確認 - 文化差を考慮したフィードバック方法を工夫する
例:直接的な表現が好まれる文化と間接的な表現が好まれる文化の違いに配慮
文化的背景によっては直接的な指摘を避ける方が伝わりやすい場合もあるため、表現方法を調整することも重要です。
【ポイント2】キャリア開発の支援 — 将来を見据えた成長機会の提供
外国人社員が長く会社で働くかどうかは、スキルアップに繋がるかどうか、そしてキャリアの見通しで決まります。
CHECK!
- スキルアップ研修を提供する(業務スキルや資格取得支援)
- キャリアパスを明示する(将来どのようなポジションを目指せるかの提示)
- 昇進・昇格機会を平等に提供する(能力と実績に基づく公平な評価と登用)
- チャレンジ機会を創出する(新規プロジェクトや重要タスクへの登用)
- 自己啓発を支援する(勉強会参加や自己学習の奨励)
実践ポイント
- 長期的なキャリアパスを可視化する
例:3年後、5年後、10年後の具体的なポジションや役割の提示 - スキル習得の段階と評価を明確にする
例:5段階の技能認定制度とレベルに応じた手当の支給 - 特別なキャリア機会を設ける
例:本国関連会社への短期派遣や特別プロジェクトへの参加機会 - 個別のキャリア面談を定期的に実施する
例:半年に1回のキャリア開発面談と目標設定 - 資格取得支援制度を整備する
例:業務関連資格の取得費用補助や学習時間の確保
「頑張れば昇格・昇給・新しい役割が得られる」と示すことで、離職率を大幅に下げることができます。
【ポイント3】多文化共生の職場づくり — 違いを尊重し強みを活かす環境
ダイバーシティは“制度”より“日常の空気”で決まります。月1回のカルチャーデイで各国料理を楽しんだり、業務改善アイデアを外国人社員から公募して報奨金を出したりすると、多様な視点が価値に変わる瞬間を体験できます。
CHECK!
- 文化交流イベントを開催する(各国の食文化や習慣の紹介機会)
- 多様性を活かす業務を設計する(外国人材の視点や経験を活かすプロジェクト)
- ロールモデルを育成する(外国人リーダーや管理職の育成と可視化)
- アンコンシャスバイアス研修を実施する(無意識の偏見に気づき排除)
- インクルーシブな会議を運営する(全員が参加しやすい進行方法)
実践ポイント
- 文化交流の定期的な機会を設ける
例:月1回の「カルチャーデイ」で各国の文化や習慣を紹介 - 多様な視点を活かす仕組みを作る
例:外国人社員からの業務改善や新サービス提案の募集制度 - 提案の実現と評価を明確にする
例:採用されたアイデアへの報奨金制度や表彰制度 - 管理職登用の平等な機会を提供する
例:国籍にとらわれない評価基準による人材登用 - 社内の多文化共生度を測定する
例:定期的な従業員満足度調査で「強みが活かせているか」を確認
【ポイント4】福利厚生の工夫 — 国や文化による多様なニーズへの対応
仕事だけでなく私生活への配慮も、定着には欠かせません。福利厚生の例としては…
CHECK!
- 母国への一時帰国を支援する(長期休暇制度や渡航費補助)
- 家族帯同者に配慮する(配偶者や子どもの生活支援、教育情報)
- 宗教・文化に配慮する(礼拝スペース確保や食事制限への対応)
- 福利厚生情報を多言語化する(制度内容や利用方法の説明)
- コミュニティ形成を支援する(同じ国出身者や外国人社員同士の交流)
実践ポイント
- 母国訪問のための特別休暇を設ける
例:年次有給休暇とは別に「ホームカントリー休暇」制度の新設 - 宗教的配慮を行う
例:礼拝スペースの確保やラマダン期間中の勤務シフト調整 - 家族サポートの制度を整備する
例:子どもの学校行事参加のための特別休暇制度 - 各国の祝日や重要行事を尊重する
例:母国の重要な祝祭日の休暇取得への配慮 - 社内の理解促進を図る
例:異なる文化的背景や習慣についての情報共有
会社が従業員のことを考えた福利厚生を提供することで、従業員は「会社は自分のことをちゃんと理解してくれている」と感じて、会社に対する信頼感が深まります。その信頼感が、「この会社でずっと頑張りたい」という長期的な気持ちを高めます。
【ポイント5】在留資格更新のサポート — 安定的な雇用継続のために
在留資格の更新や変更は、外国人材の雇用継続において極めて重要な手続きです。企業側のサポート体制が、優秀な人材の長期的な確保につながります。ビザの期限切れは就労の即時停止を意味するため、計画的な管理と手続き支援は企業としての責任でもあります。
CHECK!
- 更新時期を管理する(期限切れを防ぐためのリマインド体制)
- 必要書類の準備を支援する(在職証明書や給与証明書などの迅速発行)
- 申請手続きをサポートする(行政書士の紹介や手続き同行)
- キャリアに合わせた資格変更を支援する(適切な在留資格への変更)
- 永住許可取得をサポートする(長期就労希望者への永住申請支援)
実践ポイント
- 更新時期の管理システムを構築する
例:人事システムと連動したアラート機能で更新期限を事前通知 - 更新手続きの専任担当を設ける
例:ビザ更新に関する書類準備や申請プロセスを支援する担当者の配置 - 資格変更のキャリアパスを明示する
例:「技術・人文知識・国際業務」から「高度専門職」へのステップアップ支援 - 申請書類の作成支援を行う
例:更新に必要な日本語書類の作成補助や翻訳サポート - 長期的なビザ計画を提示する
例:入社時から永住許可取得までのロードマップ提示
外国人社員の在留資格のサポートは、単なる手続きではなく、その人の将来の仕事や生活に関わる大切なことです。会社がしっかりとサポートすることで、外国人社員は安心して長く働くことができ、会社にとっても良い結果につながります。特に「高度専門職」への資格取得は、多くのメリットがあるので積極的に支援しましょう、ということです。
外国人採用成功の鍵 ― 5つのポイント
外国人採用を成功させるためには、最初の計画から採用した後のサポートまで、途切れない取り組みが必要です。この記事で説明した内容をまとめると、特に重要な5つのポイントが見えてきます。
1. なぜ採用するのか? どんな人が欲しいのか? をハッキリさせる
最初に「何のために外国人を採用するのか?」を明確にすることが一番大切です。 ただ人が足りないからなのか、海外のビジネスを広げたいからなのか、特す。別なスキルを持った人が欲しいのか、目的をはっきりさせましょう。
その目的に合わせて、どんな在留資格の人を採用すべきか、どのように採用活動を進めるかを考えます。
採用する人が、将来会社でどんな役割を担ってほしいかまで考えて計画を立てることで、採用した後に「思っていた人と違った」という失敗を防ぐことができます。
2. ルールを守る体制をしっかり作る
日本の在留資格の制度や、働く上での法律を正確に理解し、きちんと守るための体制を整えることは、会社にとって非常に重要です。 これを怠ると、後で大きな問題につながる可能性があります。
担当者の知識を増やしたり、確認の手順をマニュアルにしたり、在留資格の更新時期を管理するシステムを作ったりするなど、会社全体で取り組む必要があります。
法律を守ることは、採用活動の基本的な土台となります。
3. 言葉や文化の壁を乗り越える工夫をする
言葉のコミュニケーションをスムーズにし、お互いの文化を理解するための継続的な取り組みが、職場の仲間意識を高めます。簡単な日本語(やさしい日本語)を使ったり、色々な言語に対応した仕事の資料を用意したり、文化の違いを理解するためのセミナーなどを開催したりすることが有効です。
一方的な対応ではなく、お互いに歩み寄る姿勢が大切です。
4. 生活のサポートを充実させて、安心して働ける環境を作る
住む場所の確保から、日常生活のちょっとした困りごとのサポートまで、外国人社員が安心して生活できる環境を整えることが、長く働いてもらうためには重要です。
日本に来たばかりの頃の生活立ち上げを手伝ったり、定期的に話を聞く機会を設けたり、色々な言語で相談できる窓口を用意したりするなど、仕事以外の面でのサポートが、仕事への意欲につながります。
5. 成長できる機会と将来の道筋を示す
外国人社員が「この会社で長く成長していける」と思えるような環境と、どのように評価され、成長していけるかの仕組みを作ることが、優秀な人材を確保するために不可欠です。
スキルアップのための研修を用意したり、将来どのようなキャリアパスがあるかを明確に示したり、外国人社員の得意なことを活かせるような仕事の設計をしたりすることが大切です。
これらのポイントを総合的に実践することで、外国人材はその能力を最大限に発揮し、企業の成長に大きく貢献してくれるでしょう。重要なのは「日本人と同じ扱い」ではなく「それぞれの強みを活かせる環境づくり」です。
さらに詳しい情報や具体的なアドバイスが必要な場合は、ぜひ当社の無料相談サービスをご利用ください。御社の状況に合わせた最適な外国人採用プランをご提案させていただきます。
外国人材の力を借りて、貴社のさらなる発展を実現しましょう。