送出機関への申し込みから実習生の入国・帰国まで
外国人技能実習生の受け入れは、いくつかの段階を経て進みます。初めてと聞くと難しく感じるかもしれませんが、一つずつステップを踏んでいけば大丈夫です。
全体的には、人材の選定から実習開始まで、およそ6ヶ月程度を見ておくと良いでしょう。これはあくまで目安であり、送出国や時期、手続きの状況によって多少前後します。
受入企業 | 監理団体 | 送出機関 | |
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申し込み |
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2~4週間 |
希望人材の条件提示
年齢、性別、学歴/職歴、志望動機などの希望を伝える。 |
各種書類作成
年齢、性別、学歴/職歴、志望動機などの希望を伝える。 |
技能実習候補者の選抜
受入企業から希望人材イメージをヒアリングし、希望に合った人材を斡旋・選抜する。 |
面接 |
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3か月半~6か月 |
採用者選定
紹介された候補者の面接を実施(現地またはオンライン)。採用者を決定する。 |
入国に必要な手続き
候補者の面接に同席するほか、在留資格申請書類作成/申請、ビザ申請/発給の手続きを実施。 |
採用者の送出準備
受入企業が選定した採用者への告知や健康診断などを実施。 採用者トレーニング開始日本入国までの間、実習生に日本語教育を実施。受入企業の業種・職種に合わせたカリキュラムを組むところもある。 入管申請技能実習生の履歴書、送出元企業概要書、労働省提出書類等を作成し、監督省庁に提出。同時に監理団体にも書類を送付。 |
入国 |
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1か月 |
入国・直前講習
留資格認定証明書とビザの発給を受けて、実習生が入国。来日後には受入企業での実習にスムーズに入れるよう、監理団体が日本語を中心に直前講習を行なう。 |
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第1~2号技能実習開始 |
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3年 |
実習生受け入れ・実習
予め用意していた技能実習日程に沿って実習を行なう。これ以降、受入企業と技能実習生は労働基準法に沿って雇用契約を結ぶことになる。 |
監理・監査
3ヵ月に1度の定期監査、実習生1号については1ヵ月に1度の定期巡回を行ない、技能実習計画に基づいて適正に技能実習が実施されているかを監査・報告を実施する。 |
サポート
受入企業、監理団体、実習生のサポートを実施。 |
技能実習2号への移行申請手続きと技能検定
技能実習生の入国から約10カ月後、技能実習1号の期間中に修得した技能を基に技能検定(基礎2級)を実施し、管轄入国管理局に資格変更許可・期間更新申請を行なう。 |
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第3号技能実習開始 |
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2年 |
技能実習3号への移行申請手続きと技能検定
外国人技能実習機構から優良認定を受けている受入企業/監理団体は第3号技能実習の実施または監理が可能。 |
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帰国 |
受入れプロセスの中で登場する主な関係者の役割
受入企業(実習実施者)
受入れ体制の準備、希望人材の条件提示、面接への参加、技能実習計画に基づく実習の実施、実習生との雇用契約締結、生活サポートなどを行います。
監理団体
日本国内で技能実習生を受け入れる企業をサポートする非営利団体です。制度の説明から、実習計画の相談、現地との連携、入国後のサポートまで、様々な場面で企業の「伴走者」となります。特に中小企業は、監理団体を介した「団体監理型」での受け入れが一般的です。
送出機関
実習生を送出する国の機関です。日本の監理団体と連携しており、実習希望者の募集・選抜、日本語や文化の事前研修、日本への渡航手続き(在留資格・ビザ申請サポート)、実習生やその家族へのフォローなどを行います。
各ステップを詳細に解説
ステップ1:準備と人材探し(期間目安:2週間〜1ヶ月)
まず、「どんな人材に来てほしいか」を具体的に整理します。年齢、性別、学歴、経験、そして何よりも「どんな仕事で活躍してほしいか」といった希望条件を明確にします。
このステップのチェックポイント
- 採用したい人材像の明確化
- 受入れ人数の決定(常勤職員数に応じた上限を確認)
- 信頼できる監理団体の選定と契約
- 監理団体へ希望条件を詳細に伝達
この段階で重要なパートナーとなるのが、「監理団体」と「送出機関」です。
貴社の希望条件を監理団体に伝え、監理団体を通じて現地の送出機関に打診してもらい、条件に合う候補者を探してもらいます。送出機関から、候補者の履歴書や職務経歴などが送られてきます。
ステップ2:面接と人選(期間目安:3ヶ月半〜6ヶ月)
送られてきた候補者の中から、「この人に会ってみたい」という実習生がいれば、いよいよ面接です。面接は、現地に赴いて行うこともありますが、最近ではオンライン(ZOOMなど)で実施することも増えています。
監理団体や送出機関が面接のセッティングをサポートしてくれますのでご安心ください。面接を通じて、候補者の日本語能力や仕事への意欲、人柄などを確認し、受入れる実習生を決定します。
面接のポイント
日本語コミュニケーション能力はもちろん、学習意欲や協調性、将来のキャリアビジョンなども確認しましょう。受入企業の業務内容や求める人材像を明確に伝えることで、ミスマッチを防げます。
ステップ3:入国前の手続きと研修(期間目安:面接後〜入国まで)
受入れる実習生が決まったら、日本への入国に向けた手続きが始まります。主に、送出機関と監理団体が連携して進めます。
在留資格認定証明書の申請
日本で活動するために必要な証明書を、地方出入国在留管理官署に申請します。
ビザ(査証)の申請
在留資格認定証明書が交付されたら、それを持って日本大使館や領事館でビザの申請を行います。
並行して、現地では送出機関による実習生向けの入国前研修が行われます。ここでは、実践的な日本語や、日本の文化・習慣、技能実習制度のルールなどを学びます。
ステップ4:いよいよ日本へ(期間目安:1ヶ月)
必要な手続きと現地での研修を終えたらいよいよ来日です。日本に到着した後、すぐに実習が始まるわけではありません。まずは監理団体による入国後講習を受けます。
この講習では、日本の法律(労働基準法など)や交通ルール、防災、そして配属先の企業に関する情報などを学び、日本での生活や仕事にスムーズに入れるよう準備をします。通常、1ヶ月程度の期間で行われます。
ステップ5:技能実習スタート(期間目安:技能実習1号・2号で3年間)
入国後講習を終えれば、いよいよ貴社の事業所で技能実習がスタートです!
ここで、実習実施者である貴社と技能実習生との間で、日本の労働関係法令に基づいた雇用契約が結ばれます。賃金や労働時間などは、日本人従業員と同等以上にすることが法律で定められています。
事前に作成・認定を受けた技能実習計画に基づいて、実習生に技能・知識を移転していく責任があります。監理団体は、技能実習が適切に行われているかを定期的に訪問して確認したり(監査)、実習生からの相談に乗ったりするなど、貴社と実習生をサポートします。
技能実習は、1年目の1号、2・3年目の2号とステップアップしていきます。2号へ移行するためには、技能評価試験に合格する必要があります。
ステップ6:期間更新と帰国、そしてその先へ(期間目安:技能実習3号で最長2年間)
技能実習2号を良好に修了し、さらに専門的な技能を習得したい場合は、一定の要件を満たせば技能実習3号へ移行し、さらに最長2年間実習を続けることができます。技能実習3号へ移行した場合、合計で最長5年間の技能実習が可能となります。
技能実習の期間を終えた実習生は、原則として帰国することになります。しかし、技能レベルや日本語能力など、一定の要件を満たせば、「特定技能」*という別の在留資格に移行し、日本でさらに働く道も開かれています。
まとめ
外国人技能実習生の受入れプロセスは、いくつかのステップがあり、様々な関係者が関わります。初めてとなると、「難しそう」「どこから手をつければいいか分からない」と感じてしまうかもしれません。
実際には、頼りになる監理団体や送出機関と連携しながら、一つ一つの段階をクリアしていくことで、着実に進めることができます。特に、監理団体は初めての企業にとって心強いパートナーとなってくれます。
技能実習生の受入れは、単なる「人手不足対策」ではなく、「社内の活性化」「業務プロセスの改善」「若手人材の育成」「国際貢献」など、多面的な価値をもたらします。この機会を最大限に活かし、Win-Winの関係を構築していきましょう。