インドネシア発 使える日本語「MMHメソッド」

コラム
COLUMN
「外国人技能実習リアルタイム24時」 ー東南アジア各国からの現地報告ー ビル新聞2020年4月27日号/5月25日号掲載「インドネシア発 使える日本語(MMHメソッド)」の話題。

1.Zoomでの再会

世界中で猛威を振るう「新型コロナウイルス感染症 (COVID ―19)」の影響で、今、筆者は日本に留まっている。海外出張どころか、国内で航空機や新幹線に乗ることもない。仕事は完全テレワークとなり、クライアントやスタッフと対面する機会は殆んど無くなった。
そして3月下旬からは、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、カンボジア・・・と、東南アジア各国からの日本入国が規制され、外国人技能実習生たちは、自国に留まらざるを得ない状況が続いている。
「コロナ問題」は、外国人材周辺においても大きなインパクトを与えているのだ。
そんな中、数ヵ月来ずっと会いたかった人物と、オンライン・ミーティングで再会することができた。
インドネシアで日本語学校をはじめとした教育事業を展開しているMMH JAPNAN代表の亀井 正史さん(45歳)だ。
亀井さんの東南アジアとの関わりは、シンガポールで訪日外国人向け旅行代理店を起業したことに始まり、インドネシアの人材事業など、約10年にも及ぶ。決して語学が堪能とはいえないが、持ち前の人懐っこさとバイタリティーで、幅広い人脈とビジネス経験を備えた熱い経営者だ。最初は物見遊山で足を踏み入れた東南アジアだったが、若者たちの活力や、日本へ行きたいという熱量にすっかりはまってしまったという。

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2.「使える日本語」の教育を目指して

MMH亀井さん02
そして、ここ数年は、主にインドネシア国内で技能実習生や特定技能に必要な日本語教育事業に精力的に携わっている。
同氏から見たそれまでのインドネシアにおける日本語教育は、教科書をなぞった一方通行的なものばかりで、そのやり方では半年程度勉強しても、ほぼ用をなさない。
大切なことは、日本の生活や仕事を具体的にイメージした「使える日本語」習得に集中させること。
学問としての日本語ではなく、実践的な日本語学習に特化しているのが、彼の提唱する「MMHメソッド」だ。
MMHは、自社で日本語学校を運営しながら、他の現地の日本語学校からの要請があれば、日本人教師を派遣したり、教育メニューを提供したりと、他ではあまり例のない独自スタイルで展開している。
亀井さんは、今は自社の事業だけに固執するのではなく、広くインドネシアに「MMHメソッド」を伝えていくことで全体のレベルアップを図るべき段階と捉えており、「インドネシアの実習生は優秀だ」と、日本の受入企業に知ってもらうことが重要だという。

「旅行代理店業を通じて、インドネシア人の文化や思考について熟知している。
そして、日本人であるからこそ、これから日本で挑戦しようとするインドネシアの若者たちに伝えられることがある。」

と亀井さんは語る。

3.「MMHメソッド」の誕生

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亀井さんが、実践的な日本語教育「MMHメソッド」へ辿り着くまでの道のりは、苦難の連続だった。
教育内容の具体的なイメージは持っていたものの、その分野のプロではない自分だけでカリキュラムを構築し、それを広く展開することは不可能な話であった。
そこで、賛同してくれるインドネシア在住の有能な日本語教師や、活用してくれる日本語学校、送出機関を求め、亀井さんは約半年もの間インドネシア全土を駆け回ることとなる。

「知り合いの知り合い、そのまた知り合い・・・みたいな感じで、次々と人を紹介してもらったんです。おかげで、たくさんの仲間ができました」

と亀井さん。
持ち前の明るさと粘り強さで、優秀な日本語教師を口説き落とし、日本語学校8校との提携に漕ぎ着けた。
こうして、使える日本語教育「MMHメソッド」は完成し、展開のスタートを切った。
受講者の反応はすぐに表れ、好評を博すこととなる。
当初は疑心暗鬼の様子見であった日本語学校からも、高い評価を得ることとなった。
特に高い日本語能力を求められる介護職種においても、短期的なレベルアップが見られ、多くのN4合格者を輩出している。
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4.オンライン教育ツール「BAGUS-Tube.com」

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そんな「MMHメソッド」は、今年の3月から新たな局面を迎えている。
オンライン教育ツール「BAGUS-Tube.com」(バグスチューブ)のリリースだ。
これは、YouTubeのような動画により、日本語教育を配信するシステムで、「MMHメソッド」のうち8カテゴリー計106コンテンツを、自宅に居ながらにしてスマホで受講することができるというものだ。
「特定技能」人材育成を強く意識した構成であり、「文法」・「語彙」・「筆記」等の基本メニューは非常に実践的で、他の教育ツールとは一線を画している。
また、「日本で働くために必要なこと」、「日本人を知る」など日本の作法に関するパートや、「人の印象は一瞬で決まる」、「自分のことは自分が一番知っている」などの意識改革パートも含まれている。
まさに、これまでの東南アジアにおける日本語教育の既成概念に捕らわれない独自流といってよいだろう。
新型コロナウイルス感染症の影響で日本語学校が休校に追い込まれる中、既に120アカウントの受注が入っているとのことだ。
日本の約5倍という広大な国土でありながら、1万4千もの島々から成るインドネシアにおいては、特に親和性が高いツールといえる。

BAGUS(バグス)とは、インドネシア語で「いいね!」という意味だそうだ。
受講者はもとより、日本の受入企業やインドネシアの教育機関にとっても有益なこのシステムは、アフターコロナにおいても実用的な日本語教育として、しっかりと根付いていくであろう。


(※このコラムは、ビル新聞2020年4月27日/5月25日号掲載「リアルタイム外国人技能実習24時」Vol.16/17を加筆転載したものです。)

この記事を書いたライター
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川口 環

中央大学卒業後、TOTO株式会社を経てWebマーケティング会社 株式会社ジェイティップスを設立。約20年間多数の大手企業Webマーケティングに関与し、グロースハックさせる。昨今は、外国人技能実習の無料相談ポータルサイト「外国人技能実習360°」運営責任者として、海外送出機関のリサーチと受入企業の相談にあたっている。年間20回以上海外出張し、約150日間を東南アジア各国で活動する。